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摺違
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すれちが
ふりがな文庫
“
摺違
(
すれちが
)” の例文
と
背後
(
うしろ
)
から、
跫音
(
あしおと
)
を立てず
静
(
しずか
)
に来て、早や一方は窪地の蘆の、
片路
(
かたみち
)
の山の根を
摺違
(
すれちが
)
い、慎ましやかに前へ通る、すり
切
(
きれ
)
草履に
踵
(
かかと
)
の霜。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
○
縁日
(
えんにち
)
の夜、
摺違
(
すれちが
)
ひに若き女のお尻を
抓
(
つね
)
つたりなんぞしてからかふ者あり。これからかふにして何もその女を姦せんと欲するがために非ず。
猥褻独問答
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
宿
(
やど
)
の者
等
(
ら
)
此人を
目科
(
めしな
)
「
様
(
さん
)
」とて特に「
様
(
さん
)
」附にして呼び、帳番も廊下にて
摺違
(
すれちが
)
うたびに此人には帽子を脱ぎて
挨拶
(
あいさつ
)
するなど
大
(
おおい
)
に
持做
(
もてなし
)
ぶりの違う所あるにぞ
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
一度会ったら忘れる事の出来ない特徴のある人だから、その後往来で
摺違
(
すれちが
)
う
度
(
たび
)
にアノ人だなと思った。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
衝突というわけではないが、危なく
摺違
(
すれちが
)
って、見ると、これは穏やかならぬ同勢でありました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
と金を
※
(
あらた
)
め
請取
(
うけとり
)
を置いて出て
往
(
ゆ
)
きますと、
摺違
(
すれちが
)
って
損料屋
(
そんりょうや
)
が入ってまいりました。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
途中は長い廊下、
真闇
(
まっくら
)
の
中
(
なか
)
で何やら
摺違
(
すれちが
)
つたやうな物の
気息
(
けはい
)
がする、
之
(
これ
)
と同時に何とは無しに
後
(
あと
)
へ引戻されるやうな心地がした。けれども、別に意にも
介
(
と
)
めず、用を
済
(
すま
)
して寝床へ帰つた。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
妾宅からの帰途横町の曲角で見覚えのある葉山に
摺違
(
すれちが
)
った事もあった。見馴れない男持の
巻煙草入
(
まきたばこいれ
)
がお千代の用箪笥の上に載せてあるのを見た事もあった。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と
黒
(
くろ
)
い
呼吸
(
いき
)
を
吐掛
(
はきか
)
けて
居
(
ゐ
)
たんださうです……
釣臺
(
つりだい
)
が
摺違
(
すれちが
)
つて
入
(
はひ
)
ります
時
(
とき
)
、びたりと、
木戸
(
きど
)
の
柱
(
はしら
)
にはつて、
上
(
うへ
)
を
一
(
ひと
)
つ
蒼黄色
(
あをきいろ
)
い、むくんだ
掌
(
てのひら
)
で
撫
(
な
)
でましたつて……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
青葡萄
(
あおぶどう
)
』という作に、自分は
鞭
(
むち
)
と
縄
(
なわ
)
とで弟子を薫陶するというような事をいってるが、門下の中には往来で
摺違
(
すれちが
)
った時、ツイ
迂闊
(
うかつ
)
して
挨拶
(
あいさつ
)
しなかったというので群集の中で呼留められて
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
竜之助が万年橋の
詰
(
つめ
)
のところまで来かかると、ふと
摺違
(
すれちが
)
ったのが
六郷下
(
ろくごうくだ
)
りの
筏師
(
いかだし
)
とも見える、旅の
装
(
よそお
)
いをした男で、振分けの荷を肩に、何か鼻歌をうたいながらやって来ましたが、竜之助の姿を見て
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鼻
呼吸
(
いき
)
を吹いた
面
(
つら
)
を並べ、手を挙げ、胸を
敲
(
たた
)
き、
拳
(
こぶし
)
を振りなど、なだれを打ち、足ただらを踏んで、
一時
(
ひといき
)
に四人、
摺違
(
すれちが
)
いに木戸口へ、茶色になって
湧
(
わ
)
いて出た。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
摺違
(
すれちが
)
いざまに腰を
曲
(
かが
)
めて
急
(
いそ
)
がし気に行過ぎるのは
札差
(
ふださし
)
の店に働く
手代
(
てだい
)
にちがいない。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
小児
(
こども
)
が社殿に遊ぶ時、
摺違
(
すれちが
)
って通っても、じろりと
一睨
(
ひとにら
)
みをくれるばかり。威あって
容易
(
たやす
)
く口を利かぬ。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
宗吉が夜学から、
徒士町
(
おかちまち
)
のとある裏の、空瓶屋と
襤褸屋
(
ぼろや
)
の間の、貧しい下宿屋へ帰ると、
引傾
(
ひきかし
)
いだ
濡縁
(
ぬれえん
)
づきの六畳から、男が一人
摺違
(
すれちが
)
いに出て
行
(
ゆ
)
くと、お千さんはパッと障子を開けた。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雪枝
(
ゆきえ
)
は
一文字
(
いちもんじ
)
に
其
(
そ
)
の
前
(
まへ
)
を
突切
(
つゝき
)
つて、
階子段
(
はしごだん
)
を
駆上
(
かけあが
)
り
状
(
ざま
)
に、
女中
(
ぢよちゆう
)
と
摺違
(
すれちが
)
つて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
摺
漢検準1級
部首:⼿
14画
違
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
“摺”で始まる語句
摺
摺鉢
摺寄
摺物
摺足
摺剥
摺付
摺硝子
摺抜
摺餌