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さしはさ
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“
挾
(
さしはさ
)” の例文
新字:
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苟
(
いやしく
)
も歴史家たる身分に
負
(
そむ
)
かないやうに、公平無私にその話をするだらうと云ふことには、恐らくは誰一人疑を
挾
(
さしはさ
)
むものはあるまい。
十三時
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
ガラツ八と錦太郎はゴクリと
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。事件のあまりに不思議な展開に、考へることも、異議を
挾
(
さしはさ
)
むことも出來なかつたのです。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
福田氏の抄本を見るに、「十月」の
傍
(
かたはら
)
に「原書のまま」と註してある。按ずるに福田氏も亦此「十」字に疑を
挾
(
さしはさ
)
んでゐるらしい。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
吾々の此の日常生活というものに対して
些
(
さ
)
の
疑
(
うたがい
)
をも
挾
(
さしはさ
)
まず、
有
(
あら
)
ゆる感覚、有ゆる思想を働かして自我の充実を求めて行く生活、そして何を見
絶望より生ずる文芸
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
なんでも自分に千万無量の奇蹟や、意外の出来事が発見せられるやうに思つて、其間に何の疑をも
挾
(
さしはさ
)
まなかつた。己は
忽然
(
こつぜん
)
強烈な欲望を感じた。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
▼ もっと見る
併し自分がさうした人になつてゐると云ふ事には疑を
挾
(
さしはさ
)
まない。自分の目で見た奇蹟をば、自分も信ぜずにはゐられない。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
それと同じく、小さなる感情を
挾
(
さしはさ
)
む人には、いかに善きことも、いかに
大
(
だい
)
なることも、けっして真の性質を
会得
(
えとく
)
しえない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
思
(
おも
)
へば
臆病
(
おくびやう
)
の、
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
いでや
歩行
(
ある
)
きけん、
降
(
ふり
)
しきる
音
(
おと
)
は
徑
(
こみち
)
を
挾
(
さしはさ
)
む
梢
(
こずゑ
)
にざツとかぶさる
中
(
なか
)
に、
取
(
と
)
つて
食
(
く
)
はうと
梟
(
ふくろふ
)
が
鳴
(
な
)
きぬ。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
為永春水
(
ためながしゅんすい
)
の小説を読んだ人は、作者が叙事のところどころに自家弁護の文を
挾
(
さしはさ
)
んでいることを知っているであろう。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
三つ四つ食臺をつなぎ合せた上に、一齊に濃い湯氣を立てゝ居る牛鍋を兩側から
挾
(
さしはさ
)
んで、口も箸も忙しく動いた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
ふびんなリツプは、何んにも悪意は
挾
(
さしはさ
)
まず、唯だ何時も此処に来る、近処の
知己
(
ちかづき
)
を捜しに来たと答へました。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
たといそれがやむにやまれぬ
慨世
(
がいせい
)
のあまりに出た言葉だとしても、天子を
挾
(
さしはさ
)
むというはすなわち武家の考えで、篤胤の
弟子
(
でし
)
から見れば多分に
漢意
(
からごころ
)
のまじったものであることは争えなかった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし私心を
挾
(
さしはさ
)
まずに議論を闘はすことの出来る相手は滅多に世間にゐないものである。僕はその随一人を谷崎潤一郎氏に発見した。これは或は谷崎氏は
難有
(
ありがた
)
迷惑であると云ふかも知れない。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
イワンは己の
喙
(
くちばし
)
を
挾
(
さしはさ
)
んだのを不快に思つたと見えて、叫ぶやうに云つた。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
お祖父さんは今日も例の通り荒川さんと碁盤を
挾
(
さしはさ
)
んで坐った時
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そうして少しも疑念を
挾
(
さしはさ
)
んでおらんように見えた。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
孰
(
たれ
)
か云ふ
挾
(
さしはさ
)
む所無しと
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
要するに二世瑞仙霧渓の時に至るまでは、京水が錦橋の実子たることに異議を
挾
(
さしはさ
)
むものはなかつたのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
日本にはまだクーレンカンプの真価に疑いを
挾
(
さしはさ
)
む人も少くないようであるが、試みにベートーヴェンの『ヴァイオリン協奏曲』を取って、クライスラーなり、シゲティーなり
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
月
(
つき
)
の
世界
(
せかい
)
と
成
(
な
)
れば、
野
(
の
)
に、
畑
(
はた
)
に、
山懷
(
やまふところ
)
に、
峰
(
みね
)
の
裾
(
すそ
)
に、
遙
(
はるか
)
に
炭
(
すみ
)
を
燒
(
や
)
く、それは
雲
(
くも
)
に
紛
(
まが
)
ふ、はた
遠
(
とほ
)
く
筑摩川
(
ちくまがは
)
を
挾
(
さしはさ
)
んだ、
兩岸
(
りやうがん
)
に、すら/\と
立昇
(
たちのぼ
)
るそれ
等
(
ら
)
の
煙
(
けむり
)
は、
滿山
(
まんざん
)
の
冷
(
つめた
)
き
虹
(
にじ
)
の
錦
(
にしき
)
の
裏
(
うら
)
に
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
武家の学問は多分に
漢意
(
からごころ
)
のまじったものだからである。たとえば、水戸の人たちの中には実力をもって京都の実権を握り天子を
挾
(
さしはさ
)
んで天下に号令するというを何か丈夫の本懐のように説くものもある。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
元来わたくしの
所謂
(
いはゆる
)
誤謬は余りあからさまに露呈してゐて、人の心附かぬ筈は無い。然るに何故に人が疑を其間に
挾
(
さしはさ
)
まぬであらうか。わたくしは頗るこれを怪む。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
挾
部首:⼿
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