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抜擢
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ばってき
ふりがな文庫
“
抜擢
(
ばってき
)” の例文
旧字:
拔擢
僕は
何故
(
なにゆえ
)
にお稲荷さんが、特に女中をしていたお梅さんを
抜擢
(
ばってき
)
したかということまで、神慮に立ち入って究めることは
敢
(
あえ
)
てしない。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
抜擢
(
ばってき
)
されて秘書になったのが普通なら出世の糸口でしょうが、僕の場合はその好いが悪いのです。考えて見ると、勉強をし過ぎました。
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
(あの呂蒙が、自分の代りに荊州の境の守りに
抜擢
(
ばってき
)
したほどの者とすれば、年は若くても、何か見どころのある人物にちがいあるまい)
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして、愛は? 愛は都会の優れた医院から
抜擢
(
ばってき
)
された看護婦たちの清浄な白衣の中に、五月の徴風のように流れていた。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ひじょうに英明の質で、家督を継ぐとともに重役のうちから
竹俣美作
(
たけまたみまさか
)
、
莅戸善政
(
のぞきどよしまさ
)
のふたりを
抜擢
(
ばってき
)
し、かなり思いきった藩政の改革をはじめた。
日本婦道記:不断草
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
歴代の統監、総督の中でも山内正俊大将閣下は、特に吾輩の功績を認めて、一躍、総督府の技師に
抜擢
(
ばってき
)
し、大佐相当官の礼遇を賜う事になった。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
どの方面においても新らしい青壮年の実力ある偉材を英断に
抜擢
(
ばってき
)
して、第一に日本人の耳目を刺戟し、気分の刷新、心情の緊張を計って、ふやけた
三面一体の生活へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ひょっとすると自分をさしおいて右門が先に
抜擢
(
ばってき
)
昇進されるのではないだろうか、という不安がわいたからでした。
右門捕物帖:02 生首の進物
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それに、副官が、自分のような異常な
抜擢
(
ばってき
)
をうけている伍長に、何故前線のことを少しも訊かなかったのかと、不思議でもあり、少し不満でもあった。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
老中阿部伊勢にみとめられ、
小十人頭
(
こじゅうにんがしら
)
から町奉行に
抜擢
(
ばってき
)
された秀才。まだ、三十そこそこの若さである。蒼白い端正な
面
(
おもて
)
を藤波のほうにふりむけると
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その上シャブーイエ氏は前からジャヴェルに目をかけてやっていたので、モントルイュ・スュール・メールの警視から彼をパリー警察付きに
抜擢
(
ばってき
)
した。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
この事件に棚田判事が
抜擢
(
ばってき
)
されて、裁判長として法廷に臨み、被告を懲役三年半に処す! と厳酷な刑を宣言しているところなどが、新聞を
賑
(
にぎわ
)
せていたのです。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
鋳金はたとい
蝋型
(
ろうがた
)
にせよ純粋美術とは云い難いが、また校長には
把掖
(
はえき
)
誘導
(
ゆうどう
)
啓発
(
けいはつ
)
抜擢
(
ばってき
)
、あらゆる
恩
(
おん
)
を受けているので、実はイヤだナアと思ったけれども
枉
(
ま
)
げて従った。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして、これを忠義に推薦した。忠義は彼の武功を聞いて、彼を
抜擢
(
ばってき
)
して
高岡郡
(
たかおかごおり
)
の
郡奉行
(
こおりぶぎょう
)
にした。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
天保十二年五月簡堂は水野越前守忠邦が革政の際総毛の代官より
抜擢
(
ばってき
)
せられて勘定吟味役兼
納戸頭
(
なんどがしら
)
となり、天保十四年六月
但馬国
(
たじまのくに
)
生野
(
いくの
)
銀山の視察に出張し、同年九月帰府の後
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
このうち、強いて適者? として
抜擢
(
ばってき
)
するならば
靭彦
(
ゆきひこ
)
、古径両氏の筆技と人品であろう。
素人製陶本窯を築くべからず:――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
帝は六条院へ好意をお見せになろうとした賀宴をやむをえず御中止になったかわりに、そのころ病気のため右大将を辞した人のあとへ、中納言をにわかに
抜擢
(
ばってき
)
しておすえになった。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
信長は、人を褒賞したり
抜擢
(
ばってき
)
したりする点で、決して
物吝
(
ものお
)
しみする男ではないが、しかしそのあまりに率直な自信のある行動が自分の知らぬ
裡
(
うち
)
に、人の恨みを買うように出来ている。
山崎合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それを改めて、三人のものが監察に
抜擢
(
ばってき
)
せられた。その中の
一人
(
ひとり
)
が岩瀬肥後なのだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そもそもこの青砥左衛門尉藤綱を
抜擢
(
ばってき
)
して
引付衆
(
ひきつけしゅう
)
にしてやったのは、時頼である。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
次に潜水に得意なもの数名を
抜擢
(
ばってき
)
しました。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
伊勢山田の一地方吏から、中央の江戸南町奉行という重要な職に、越前守忠相を
抜擢
(
ばってき
)
した者は、たれでもない、彼自身なのである。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大目付から用人に
抜擢
(
ばってき
)
されたので、おそらくそのまま江戸詰になるだろうということだった。しゅったつする前夜、父は弁之助を呼んでこう云った。
日本婦道記:おもかげ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
社長秘書になったのも成績による
抜擢
(
ばってき
)
でない。前任者が胸を病んで休職になった時、
性
(
しょう
)
の知れた僕が鞄持ちの代役を仰せつかって、そのまゝ今日に及んでいる。
人生正会員
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そうして私の
後釜
(
あとがま
)
には、私が初歩から教育した敏腕家で、この二三年の間に異数の
抜擢
(
ばってき
)
を受けた私の腹心の
志免不二夫
(
しめふじお
)
が、警視に昇進すると同時に坐ることになった。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それゆえにこそ、名君を以て任ずる将軍綱吉公は、この名門の後裔を世に出そうという配慮から、異数の
抜擢
(
ばってき
)
をして問題の人長門守を大阪城代に任じたのが前々年の暮でした。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
八月
晦日
(
かいじつ
)
毅堂は京師に新設せられた総裁局の徴士に
抜擢
(
ばってき
)
せられたので、明倫堂督学の職を辞した。徴士は列藩より人材を推薦して新政府の事務に
与
(
あずか
)
らしめたものをいうのである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
けれど政職だけは、さすがに若い彼を家老に
抜擢
(
ばってき
)
したほどだけの
知己
(
ちき
)
である。ほかの家来が疑っているような事は毛頭考えてもいないふうだった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いってみればわかるさ」八木
隼人
(
はやと
)
がまじめな顔で云った、「——笈川の勘定奉行は近来にない
抜擢
(
ばってき
)
だからな、国許ではきっとてぐすねをひいて待っているぜ」
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
去年
抜擢
(
ばってき
)
されて自叙伝係になった時、報告に上って委細を話したら、先生は
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
伴頭は一たび幕府の命を受け檀林の位に
抜擢
(
ばってき
)
せられる時は
貫主
(
かんじゅ
)
と同等の特遇を受けるという。釈秦冏は翌年天保十二年の冬檀林に叙せられて
結城
(
ゆうき
)
の
弘経寺
(
ぐきょうじ
)
に赴きその法務を
掌
(
つかさど
)
るようになった。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
左右太は、もと
上総
(
かずさ
)
の農家のせがれだったが、越前守に、ふとみとめられて、奉行所の
端役
(
はやく
)
から、
抜擢
(
ばってき
)
された者だった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
玄一郎の自信がどれだけ
慥
(
たし
)
かであるか、敦信にはわからないし、
疑惧
(
ぎぐ
)
があった。——敦信が彼を
抜擢
(
ばってき
)
したのは、財政を改革して、農地開拓と産業を興すことに目的があった。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「この十月から社長秘書に
抜擢
(
ばってき
)
されて、至って都合好くやっています」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
抜擢
(
ばってき
)
されて、今では将軍家師範となっている前例もあるので、これとて案じるほどの障害にはならないかもしれない。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奉行役所に
抜擢
(
ばってき
)
されたということを聞いたとき、拙者は自分の僅かな助力がむだでなかったことを知り、どんなに慶賀していたかわからない、これは誇るに足るりっぱなことだ
日本婦道記:藪の蔭
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
(こんどの南町奉行は、新将軍のお目がねで、山田奉行から御
抜擢
(
ばってき
)
になった、えら者だそうだ。北の中山出雲守とはいい取組み、何か今にやるだろうぜ)
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幕
(
とばり
)
を覗くと、そこには
丹羽
(
にわ
)
、柴田、佐久間、その他の重臣がみな詰め合っていた。じろりと冷ややかな眼が、一斉に、新しく
抜擢
(
ばってき
)
された一将校の彼に
注
(
そそ
)
がれた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呉の大才
魯粛
(
ろしゅく
)
を凡人の中から抜いたのは、その
聡
(
そう
)
です。
呂蒙
(
りょもう
)
を士卒から
抜擢
(
ばってき
)
したのはその明です。
于禁
(
うきん
)
をとらえて殺さず、その仁です。荊州を取るに一兵も損ぜなかったのは、その智です。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、
東京
(
とうけい
)
の
蔡
(
さい
)
大臣が、
蒲東
(
ほとう
)
の
大刀関勝
(
だいとうかんしょう
)
という者を
抜擢
(
ばってき
)
し、彼に大軍をさずけて差しくだしました。ところが、この関勝は、有名な
後漢
(
ごかん
)
の名臣
関羽
(
かんう
)
の子孫。なかなか勇武奇略があるらしい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、命じたのは、信長としても、思いきった
抜擢
(
ばってき
)
であった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
許都の令には、功に依って、
満寵
(
まんちょう
)
が
抜擢
(
ばってき
)
された。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
抜
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
擢
漢検準1級
部首:⼿
17画
“抜”で始まる語句
抜
抜刀
抜身
抜足
抜萃
抜目
抜出
抜衣紋
抜手
抜打