折々おり/\)” の例文
うちうちしんとして折々おり/\溜息ためいきこゑのもれるにわたしられるよりなさけなく、今日けふは一日斷食だんじきにせうとちゝの一こといひすまではしのんでいきをつくやうで御座ござんした。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あれには兄弟も親族みよりもない者だから、行々ゆく/\おれ里方さとかたに成ってほかへ養子にやり、相応な侍にしてやろうと仰しゃいますから、わたくし折々おり/\うちの家来善藏ぜんぞうなどに
折々おり/\、西洋奇術の貼札はりふだが紅いへらへら踊の怪しい景氣をつけるほかには、よし今のやうに、アセチリン瓦斯をけ、新たに電氣燈でんきをひいて見たところで、格別
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
余りに日本化して使はれてゐる為め、折々おり/\は諒解されない事があるとか云ふ話も聞いた。
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
只今たゞいま明家あきやになつてをりますが、折々おり/\よるになると、とらまゐつてえてをります。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
と心のうちに祈らぬ日とてはござりませぬ。別に話し相手というもなく、だ船をつくろうことにのみ屈托くったくして居りまする。折々おり/\木を切りうおりますごとに、思わず
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
返事へんじはなくて吐息といき折々おり/\ふと身動みうごきもせず仰向あほのきふしたる心根こゝろねつらさ、其身そのみになつてもおりきことわすれられぬが、十ねんつれそふて子供こどもまでもうけしれにこゝろかぎりの辛苦くろうをさせて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
永「いや庄吉は怠けていかぬからわし折々おり/\割るのさ、酒を飲んだ時はこなれていよ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
隣りずからの心安さに折々おり/\いでになる所から、お前は此の源さまと不義密通いたずらを働いた末、お前方が申し合せ、殿様を殺し、有金大小衣類きるいを盗み取り、お屋敷を逃げておいでだろうがな
あの酔漢よっぱらい丸山本妙寺まるやまほんみょうじ中屋敷に住む人で、元は小出こいで様の御家来であったが、身持みもちが悪く、酒色しゅしょくふけり、折々おり/\抜刀すっぱぬきなどして人をおどかし乱暴を働いて市中しちゅう横行おうぎょうし、或時あるときは料理屋へあがり込み
殿様貴方御酒ばかり召上って居てうも困りますなア奥様は御不快で余程御様子が悪いし、ことには又お熊さんはあゝやって懐妊だからごろ/″\して居り、折々おり/\奥様は差込むと仰しゃるから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此の上は死ぬより外はないと仰しゃるのを聞いて、長家中の者がお気の毒に思い、折々おり/\食物たべものを進ぜました、今日こんにちも納豆売の彦六おやじ握飯むすびを御老母に上げてる処へ、おあさ殿が帰って来て
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
またかみに置かせられてもお聞き及びの通り御病中ゆえ、碌々ろく/\お訪ね申さんが、予の病気より梅の御殿の方が案じられると折々おり/\仰せられます、今日こんにちは御病気伺いとして御名代ごみょうだいまかり出ました
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)