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慄然
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ぞつ
ふりがな文庫
“
慄然
(
ぞつ
)” の例文
別れる?
吁
(
ああ
)
!
可厭
(
いや
)
だ! 考へても
慄然
(
ぞつ
)
とする! 切れるの、別れるのなんて事は、
那奴
(
あいつ
)
が来ない前には夢にだつて見やしなかつたのを
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二
(
ふた
)
ツも
三
(
みつ
)
ツも。
私
(
わたし
)
に
何
(
なに
)
を
談
(
はな
)
すのだらう、
私
(
わたし
)
に
何
(
なに
)
を
談
(
はな
)
すのだらう、
鳥
(
とり
)
がものをいふと
慄然
(
ぞつ
)
として
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
が
慄立
(
よだ
)
つた。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分
(
じぶん
)
も
恁
(
か
)
く
枷
(
かせ
)
を
箝
(
は
)
められて、
同
(
おな
)
じ
姿
(
すがた
)
に
泥濘
(
ぬかるみ
)
の
中
(
なか
)
を
引
(
ひ
)
かれて、
獄
(
ごく
)
に
入
(
いれ
)
られはせぬかと、
遽
(
にはか
)
に
思
(
おも
)
はれて
慄然
(
ぞつ
)
とした。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
然し、私は日本酒だけは、どうしても口にする気がしないです……
香気
(
にほひ
)
を嗅いだ丈けでも
慄然
(
ぞつ
)
とします。
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
道臣は足音を
偸
(
ぬす
)
んで近づいて行くと、其處の大きな杉の幹へ、蝉のやうにピタリとくツ付いてゐるのは、寢衣姿の京子であつたから、道臣は
慄然
(
ぞつ
)
として棒のやうに突つ立つた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
「しかし能く来てくれたね。まさか君が今頃来ようとは思はないもんだから、ふつと顔を見たときには、君の幽霊か、僕の目のせゐで
幻
(
まぼろし
)
が映つたのかと思つて、
慄然
(
ぞつ
)
としたよ。」
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
引たりける此時は天一坊は既に玄關迄來りしが向の
壁
(
かべ
)
に懸し
笈摺
(
おひずり
)
を見て
偵
(
さすが
)
大膽不敵の天一坊なれど
慄然
(
ぞつ
)
と身の毛よだち思はず二足三足跡へ
退
(
しりぞ
)
くを見て取越前守大音に寶澤待と聲を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
終
(
しまひ
)
にはあの『ざまあ見やがれ』の一言を思出すと、
慄然
(
ぞつ
)
とする
冷
(
つめた
)
い
震動
(
みぶるひ
)
が
頸窩
(
ぼんのくぼ
)
から背骨の髄へかけて流れ下るやうに感ぜられる。今は
他事
(
ひとごと
)
とも思はれない。
噫
(
あゝ
)
、丁度それは自分の運命だ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「名を聞いても
慄然
(
ぞつ
)
とする? さう、大きにさうだ。けれど、又考へて見れば、あれに罪が有る訳でも無いのだから、さして憎むにも当らんのだ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
而
(
そ
)
して
誰
(
たれ
)
も
居
(
ゐ
)
ない
八畳
(
はちでふ
)
の
真中
(
まんなか
)
に、
其
(
そ
)
の
双六巌
(
すごろくいは
)
に
似
(
に
)
たと
言
(
い
)
ふ
紫縞
(
むらさきじま
)
の
座蒲団
(
ざぶとん
)
が
二枚
(
にまい
)
、
対坐
(
さしむかひ
)
に
据
(
す
)
えて
有
(
あ
)
つたのを
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
ると、
天窓
(
あたま
)
から
水
(
みづ
)
を
浴
(
あ
)
びたやうに
慄然
(
ぞつ
)
とした。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『
是
(
これ
)
が
現實
(
げんじつ
)
と
云
(
い
)
ふものか。』アンドレイ、エヒミチは
思
(
おも
)
はず
慄然
(
ぞつ
)
とした。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それを襖の隙間から覗いた竹丸は、
慄然
(
ぞつ
)
として、お駒から聽いた化猫の話が、いよ/\確められたやうな氣がした。道臣は袴も脱がずに
竊
(
そつ
)
と竹丸を小手招きして、便所の横の戸棚の前へ連れて行き
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
慄然
(
ぞつ
)
とするほど厭であつた。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「あの
時
(
とき
)
の
事
(
こと
)
はお
忘
(
わす
)
れなすつて
下
(
くだ
)
さいまし……
思出
(
おもひだ
)
しても
慄然
(
ぞつ
)
とするんでございますから……」
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いやさう言れると
慄然
(
ぞつ
)
とするよ、実は
嚮
(
さつき
)
停車場
(
ステエション
)
で例の『
美人
(
びじ
)
クリイム』(こは美人の高利貸を戯称せるなり)を見掛けたのだ。あの声で
蜥蜴啖
(
とかげくら
)
ふかと思ふね、
毎
(
いつ
)
見ても美いには驚嘆する。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
思
(
おも
)
はず、
肩
(
かた
)
から
水
(
みづ
)
を
浴
(
あ
)
びたやうに
慄然
(
ぞつ
)
としたが、
聲
(
こゑ
)
を
續
(
つゞ
)
けて
鳴出
(
なきだ
)
したのは
梟
(
ふくろふ
)
であつた。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
云
(
い
)
ふのも
聲
(
こゑ
)
が
震
(
ふる
)
ふ、
坂上
(
さかがみ
)
は
又
(
また
)
慄然
(
ぞつ
)
とした。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わたし
)
は
何
(
なん
)
となく
慄然
(
ぞつ
)
とした。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
唯吉
(
たゞきち
)
は
又
(
また
)
慄然
(
ぞつ
)
とした。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“慄然”の意味
《形容動詞》
恐怖で震えおののくさま。
(出典:Wiktionary)
慄
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“慄然”で始まる語句
慄然々々