形式的けいしきてき)” の例文
したがつて其方そのはう談判だんぱんは、はじめからいまかつふでにしたことがなかつた。小六ころくからは時々とき/″\手紙てがみたが、きはめてみじかい形式的けいしきてきのものがおほかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
卯平うへいふたゝ煙管きせるくちにして沈默ちんもくした。みなみ亭主ていしゆ勘次かんじ卯平うへいせま戸口とぐちみちびいた。勘次かんじ平常いつもならば自分じぶんこゝろからけつして形式的けいしきてき和睦わぼく希望きばうしなかつたはずである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
時勢じせい変化へんかはこちらからるとじつによくわかります。神霊しんれいるか、いかもあやふやな人達ひとたちから、たん形式的けいしきてきあたまげてもらいましても、ドーにも致方いたしかたがございませぬ。
それにこのあひだに、多人數たにんず下役したやく謁見えつけんをする。受持々々うけもち/\事務じむ形式的けいしきてき報告はうこくする。そのあわただしいなかに、地方長官ちはうちやうくわん威勢ゐせいおほきいことをあじはつて、意氣揚々いきやう/\としてゐるのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
さうして、形式的けいしきてき宗助そうすけはうから依頼いらいすればすぐ安之助やすのすけけるまで自分じぶんらちけたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
形式的けいしきてき顏剃かほそりんでからふたくぎけられた。荒繩あらなはが十文字もんじけられた。晒木綿さらしもめんのこつた半反はんだんでそれがぐる/\とかれた。をけにはさら天葢てんがいせられた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)