年々ねんねん)” の例文
老人「それは神の意志ですね。どう云うものとも云われません。年々ねんねん少しずつ違うようですし、またその違うわけもわからないようです。」
不思議な島 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なんのわたしのいうことに、まちがいがあろう。このしまは、有名ゆうめいになって、年々ねんねんあそびにやってくるひとたちでにぎわうでしょう。
花咲く島の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「相変らず口が悪るい。しかし冗談は冗談として、ああ云う株は持ってて損はないよ、年々ねんねん高くなるばかりだから」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかもそこが、すばらしいみかだということが知れわたってしまいましたので、年々ねんねんそのかずはふえるばかりです。
ねんこのかた、地方自治体ちほうじちたいはようようゆたかになったので、その管下かんか病院びょういん設立たてられるまで、年々ねんねん三百えんずつをこの町立病院ちょうりつびょういん補助金ほじょきんとしてすこととなり
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あなたは方々ほうぼう国々くにぐにをおまわりですから、たぶん御存ごぞんじでしょうが、このむらでも年々ねんねん、それ、あそこにちょっとたかい山がございましょう、あの山の上のかみさまに
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
年々ねんねん酸漿ほおずきが紅くなる頃になると、主婦はしみ/″\彼女をおもい出すと云うて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おつぎもはしとき股引もゝひきはしわらくゝつていた。勘次かんじ開墾かいこん土地とち年々ねんねんとほくへすゝんでつて、現在いまでは例年いつも面積めんせきでは廣過ひろすぎたことをこゝろづいたので、かれすこしの油斷ゆだん出來できなくなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ああ年々ねんねんお前の仲の善いあきあじは死産し
年々ねんねん落ち尽す幾万輪の椿は、水につかって、色がけ出して、腐って泥になって、ようやく底に沈むのかしらん。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
年々ねんねん種子たねのこっていた草花くさばなも、その、だれもをいれるものがなかったので、外国人がいこくじんんでいたいえれるとともに、はなかずすくなくなってしまいました。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
年々ねんねんあきのみのりどきになりますと、このかみさまのがりものに、きている人間にんげん一人ひとりずつそなえないと、お天気てんきわるくなって、あめってもらいたいときにはらないし
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ついこの間まで郊外に等しかったその高台のここかしこに年々ねんねん建て増される大小の家が、年々彼の眼からあおい色を奪って行くように感ぜられる時、彼は洋筆ペンを走らす手をめて
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)