平日いつも)” の例文
學生がくせい平日いつもよりはかず不足ふそくであつた。不審ふしんことには、自分じぶんより三四さんよまへかへつてゐるべきはず安井やすゐかほさへ何處どこにもえなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いや、有難う。』と竹山は例になく禮を云つたが、平日いつもの癖で直ぐには原稿に目もくれぬ。渠も亦平日いつもの癖でそれを一寸不快に思つたが
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
冷した珈琲はやっぱり平日いつもの通り小匙二杯の珈琲へホンのすこしの水と玉子のからを二つぶり細かく砕いて入れて火の上でき廻しながらせんじます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
林「心配しんぺいしねえでもえ、大丈夫だよ、少し理由わけがあるだ、おけくさん、ま一盃えっぺい飲めなせえ、おまえ今日は平日いつもより別段におつこしいように思われるだね」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お茶番のいる広い土間の入口のくぐり戸をはいってゆくと、平日いつもに増してお茶番の銅壺どうこにえたち、二つの茶釜ちゃがまからは湯気がたってどこもピカピカ光っていた。
ければ更けるほど益々身が入って、今ではその咄の大部分を忘れてしまったが、平日いつもの冷やかな科学的批判とは全く違ったシンミリした人情の機微に入った話をした。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
猶気になる事のみ気にすればにや多けれど、また云ひ出さば笑はれむと自分でしかつて平日いつもよりは笑顔をつくり言葉にも活気をもたせ、溌〻いき/\として夫をあしらひ子をあしらへど
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「ちッと早く出るかも知れませんよ。」と、産婆はすぐに白い手術着をて産婦の側へ寄って行った。産婦は蒼脹あおぶくれたような顔をしかめて、平日いつもよりは一層せつなげなうなり声を洩らしていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
隣に床を延べているお久はと覗いて見ると平日いつもは寝付が悪いと口癖のように云っている彼女かれが、今夜に限って枕に顔を押付けるかと思うと、何にも云わずによぎをすっぽりと引被ってしまった。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いや、有難う。』と竹山はいつになく礼を云つたが、平日いつもの癖で直ぐには原稿に目もくれぬ。渠も亦平日いつもの癖でそれを一寸不快に思つたが
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
御米およね発作ほっさはようやく落ちついた。今では平日いつものごとく外へ出ても、うちの事がそれほど気にかからないぐらいになった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この時勝手口より顔を出す牛肉屋の御用聞き「今日こんにちは何を持って参りましょう」妻君「やっぱり平日いつものように上等のロースを一きん持って来ておくれ」男「ヘイヘイ」と帰り去る。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
と、平日いつも口重くちおもな、横浜生れではあるが、お母さんは山谷さんや八百善やおぜんの娘であるところの、ことの名手である友達は、小さな体に目立めだたない渋いつくりでつつましく、クックッと笑った。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
なお気になることのみ気にすればにや多けれど、また云い出さば笑われんと自分でしかって平日いつもよりは笑顔をつくり言葉にも活気をもたせ、いきいきとして夫をあしらい子をあしらえど
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
平日いつもならば自分は今正に高等科の教壇に立つて、課外二時間の授業最中であるべきであるが、この日は校長から、お互月末の調査しらべもあるし
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
二日目になってようやく学校へ出て見ると、教師はまだ出揃でそろっていなかった。学生も平日いつもよりは数が不足であった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
平日いつもならば自分は今正に高等科の教壇に立つて、課外二時間の授業最中であるべきであるが、この日は校長から、お互月末の調査しらべもあるし
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
御米およね發作ほつさやうやいた。いまでは平日いつもごとそとても、うちことがそれほどゝらないぐらゐになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これも平日いつもの癖で、頭を右左に少し振つて見たが、重くもなければ痛くもない。二三度やつて見ても矢張同じ事だ。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
これも平日いつもの癖で、頭を右左に少し振つて見たが、重くもなければ痛くもない。二三度やつて見ても矢張同じ事だ。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
翌日あくるひは日曜日、田舎の新聞は暢気のんきなもので、官衙やくしよや学校と同じに休む。私は平日いつもの如く九時頃に目を覚ました。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
翌日は日曜日、田舍の新聞は暢氣のんきなもので、官衙や學校と同じに休む。私は平日いつもの如く九時頃に眼を覺した。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
野村良吉は平日いつもより少し早目に外交から歸つた。二月の中旬過の、珍らしく寒さのゆるんだ日で、街々の雪がザクザク融けかかつて來たから、指先に穴のあいた足袋が氣持惡く濡れて居た。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
野村良吉は平日いつもより少し早目に外交から帰つた。二月の中旬過なかばすぎの、珍らしく寒さの緩んだ日で、街々の雪がザクザク融けかかつて来たから、指先に穴のあいた足袋が気持悪く濡れて居た。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)