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尾羽
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おは
ふりがな文庫
“
尾羽
(
おは
)” の例文
しかしどうやら
尾羽
(
おは
)
打ち枯らした、みすぼらしい浪人のようすである。少しばかり酒気も帯びているらしくて、歩く足つきが定まらない。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「いや、いいます。あまりだからいうのです。まるで犬、猫のように、雨露をしのぐ場所もなく、
尾羽
(
おは
)
うち枯らして放浪しておられた——。」
口笛を吹く武士
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
幸いに
生命
(
いのち
)
の助かった落人も、いわゆる
尾羽
(
おは
)
打ち枯らした浪人として、吹く風の音にも心を配りつつ、世を忍んで生きて行かねばなりません。
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
酔「くどい、見れば立派なお侍、
御直参
(
ごじきさん
)
か
何
(
いず
)
れの
御藩中
(
ごはんちゅう
)
かは知らないが
尾羽
(
おは
)
打枯
(
うちか
)
らした浪人と
侮
(
あなど
)
り失礼至極、
愈々
(
いよ/\
)
勘弁がならなければどうする」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二三年この方の重病で
袷
(
あわせ
)
の裏まで
剥
(
は
)
がして売る有様、妹のお雪は二十一二のすぐれた
容貌
(
きりょう
)
ですが、これも、
尾羽
(
おは
)
打枯らして見る影もありません。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
可哀想
(
かわいそう
)
だと云う念頭に
尾羽
(
おは
)
うち枯らした姿を目前に見て、あなたが、あの中学校で生徒からいじめられた白井さんですかと聞き
糺
(
ただ
)
したくてならない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
教えなかったのは私はこんな
尾羽
(
おは
)
打ち枯らした貧乏くさい生活をしているのに柳沢はいつも
洒瀟
(
こざっぱ
)
りとした
身装
(
なり
)
をして
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
水馴棹
(
みなれざお
)
を取落さぬばかりに驚いて、「あっ!」と舌を捲かしめた先方の人影というものは、よく見る
尾羽
(
おは
)
打枯
(
うちから
)
した浪人姿で、編笠をかぶって謡をうたったり
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あの寺子屋の段の通りだったよ。お師匠さんは矢張り浪人だった。弓矢は家に伝えても、今は仕えん君知らず、
羽
(
はね
)
なき
矢間重次郎
(
やざまじゅうじろう
)
。
尾羽
(
おは
)
打
(
う
)
ち枯らしていたのだろう」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
山法師の横暴ぶりは、政権や武家社会からは、完全に追われていたが、
尾羽
(
おは
)
打
(
う
)
ち
枯
(
か
)
らしても、まだ山法師そのものの棲息は、この山に残存していることは勿論である。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とある大字のわきに小さく「
病畜
(
びょうちく
)
入院
(
にゅういん
)
の
求
(
もと
)
めに
応
(
おう
)
じ
候
(
そうろう
)
」と書いてある。板の新しいだけ、なおさら
安
(
やす
)
っぽく、
尾羽
(
おは
)
打
(
う
)
ち
枯
(
か
)
らした、
糟谷
(
かすや
)
の心のすさみがありありと
読
(
よ
)
まれる。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
木理によって、
薄
(
うす
)
いところはホロリと欠けぬとは定まらぬ。たとえば
矮鶏
(
ちゃぼ
)
の
尾羽
(
おは
)
の
端
(
はし
)
が三
分
(
ぶ
)
五分欠けたら何となる、
鶏冠
(
とさか
)
の
蜂
(
みね
)
の二番目三番目が一分二分欠けたら何となる。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それに、死んだシャプリッツキイね——数百万の資産を
蕩尽
(
とうじん
)
して、
尾羽
(
おは
)
打ち枯らして死んだ——あの先生が、かつて若いときに三十万ルーブルばかり負けたことがあったのだ。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
そして、案の定現れた兵六さんは、
尾羽
(
おは
)
うちからした姿で、しかも今度は自分自身を持ちこんできた様子だった。もう居まいと思ったらしい進君がまだいたことで、彼は頭をかかえた。
雑居家族
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
あぶら
蝋燭
(
ろうそく
)
の燃えさし、欠けたナイフやフォーク、
陰気
(
いんき
)
くさいヴォニファーチイ、
尾羽
(
おは
)
うち
枯
(
か
)
らした小間使たち、当の公爵夫人の立居振舞い——そんな
奇怪
(
きかい
)
千万な暮しぶりなんかには
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
打なび
く
(
き
)
春さり来れば
さゝのうれ
(
小竹〈しの〉の芽〈め〉
)
に
尾羽
(
おは
)
打
ふり
(
触れ
)
て鶯鳴くも (巻十、春雑)
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「何に? 気がつかなかったと? その一言からして、無礼であろう。さては貴様は、この方が余儀ない次第で、
尾羽
(
おは
)
打ち枯らしている
故
(
ゆえ
)
に、
士
(
さむらい
)
がましゅう思わなんだというのだな。いよいよ
以
(
もっ
)
て聞き捨てならぬ。それへ直れ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
現われた武士は浪人らしくて、
尾羽
(
おは
)
打ち枯らした
扮装
(
みなり
)
であって、
月代
(
さかやき
)
なども伸びていた。
朱鞘
(
しゅざや
)
の大小は差していたが、鞘などはげちょろけているらしい。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「そのお
拵
(
こしら
)
えは——ははあ、雪の日に、
尾羽
(
おは
)
打
(
う
)
ち枯らした御浪人、刀をさした
案山子
(
かかし
)
という御趣向で、なるほどな、おそれいりました。おそれいりました。」
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
藤「いや面目次第もございません、一時の心得違いから屋敷を出まして、
尾羽
(
おは
)
打ち枯らした身の上、
斯
(
かゝ
)
る処へ中原
氏
(
うじ
)
が参ろうとは存じません、面目次第もございません」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
分っていれば、すぐ院の衛府へ駈けつけて、褒美の
黄金
(
こがね
)
にありつこうというもんじゃねえか。……ところが近ごろは、この四郎も、見たとおり
尾羽
(
おは
)
打ち枯らしての不景気だ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と誰かが、この長屋のひとりで、
尾羽
(
おは
)
打
(
う
)
ち枯らして傘をはっている
南部浪人
(
なんぶろうにん
)
へ呼びかけて
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
貴方は
何
(
なん
)
たるお方かなア、大金を人に恵むに板の間へ手を突いて、失礼の段は詫ると云う、誠に千万
忝
(
かたじ
)
けのうござる、只今の身の上では一両の金でも
貸人
(
かして
)
のない
尾羽
(
おは
)
打枯
(
うちから
)
した庄左衞門に
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
丹頂
(
たんちょう
)
の
姐御
(
あねご
)
も、元を思えば、近頃はまったく
尾羽
(
おは
)
を
打
(
う
)
ち枯らしたものです。
藍気
(
あいけ
)
のさめた
浴衣
(
ゆかた
)
にさえ
襟垢
(
えりあか
)
をつけている旅役者の残党に交じって、
曲独楽
(
きょくごま
)
の稽古をやらなければならない境遇。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
尾羽
(
おは
)
うち枯らした浪人時代——いや、今とても浪人ではござるが、もっとミジメな浪人時代、食うに困って浅草へ出、習い覚えた皿廻し、大道芸を売りましてな、日々の
生活
(
たつき
)
を得てござるよ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
われを忘れたように両手を背後に組んで、円陣の外から、この
尾羽
(
おは
)
打枯
(
うちか
)
らした浪人の太刀さばきに見惚れている。敵味方を超越して、ほほうこれは珍しい
遣
(
つか
)
い手だわいとでもいいたげなようす!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「いや、面目ねえ、相変らずといいてえが、
尾羽
(
おは
)
打
(
う
)
ち枯らしてこの姿だ」
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここのところ、張飛も
尾羽
(
おは
)
打枯
(
うちか
)
らした
態
(
てい
)
たらくなので
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
尾
常用漢字
中学
部首:⼫
7画
羽
常用漢字
小2
部首:⽻
6画
“尾羽”で始まる語句
尾羽打枯
尾羽張
尾羽張神
尾羽根