小野おの)” の例文
小野おの小町こまち几帳きちょうの陰に草紙そうしを読んでいる。そこへ突然黄泉よみ使つかいが現れる。黄泉の使は色の黒い若者。しかも耳はうさぎの耳である。
二人小町 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それは二枚折の時代のついた金屏風で、極彩色の六歌仙が描かれていたが、その丁度小野おの小町こまちの顔の所が、無惨にも一寸いっすんばかり破れたのだ。
心理試験 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
父吉左衛門は和算を伊那いな小野おの村の小野甫邦ほほうに学んだ人で、その術には達していたから、半蔵も算術のことは父から習得した。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しゅうたおのずとわたくしくちいてたのもそのときでございます。真嶺さねし、相摸さがむ小野おのに、ゆるの、火中ほなかちて、いしきみはも……。
例えば彼の在留中、小野おのも立腹したと見え、私にむかって、最早もはや御用も済みたればお前は今からきに帰国するがよろしいとうと、私が不服だ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
先ほどの粗末そまつな下人の装束しょうぞくで、何やらおさがたい血気が身内にみなぎっている様子ようすである。舞台の右方に立ち、遠くから小野おのむらじをきっと凝視みつめる。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
小野おのが、教壇きょうだんうえたされて、あたまをかいていると、おんな尾沢先生おざわせんせいが、山田やまだをつれて教室きょうしつにはいってこられました。
政ちゃんと赤いりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
於通は、のら息子の三蔵を利用し——三蔵は於通をかどわかすつもりで——この二人が家出したのを、お沢は、あの小野おのさとのあばら屋で、後で、どんなに悲しんだことだろうか。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恋しさのおさえられない大将はまたも小野おのの山荘に宮をおたずねしようとした。
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
小野おのさん」と女が呼びかけた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大勢おおぜい神将しんしょう、あるいはほこり、あるいはけんひっさげ、小野おの小町こまちの屋根をまもっている。そこへ黄泉よみの使、蹌踉そうろうと空へ現れる。
二人小町 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
行者達の魂ごいの呼ばい声・鈴の音は遠く消え去り、取り残されたように神楽かぐらの笛の音がかすかにしている。左手より清原きよはら秀臣ひでおみ小野おのむらじ、話し合いながら登場。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
まさちゃんは、このりんごを学校がっこう小野おの山田やまだうばって、先生せんせいたされたことをおもしました。
政ちゃんと赤いりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
ナニ殺されるではなし、イザと云えば川崎辺まで出て行けばいと申して居る中、その翌日か翌々日か小野おのまた来て、前の事は取消しになったとうので事はみました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「家は、岐阜ぎふ大垣おおがきのあいだの、小野おのさとでございます。その小野を出て、稲葉山いなばやまの裏道で、連れの者と、待ちあわせる約束をしたのに、どうしたのか、その男がもどって来ませぬ……」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小野おのも、山田やまだも、こっちへくるんだ。」と、先生せんせいは、おそろしいかおつきをなさいました。
政ちゃんと赤いりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
使 あなたは小野おの小町こまちの代りに地獄へちることになったのです。
二人小町 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
小野おのの里の、於通おつうと申すものか」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小野おのむらじ
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)