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小粋
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こいき
ふりがな文庫
“
小粋
(
こいき
)” の例文
家業は自分の夫の方が
小粋
(
こいき
)
で、モダンなんだが、家風がばかに古くって、伯母の家とはてんでおはなしにならない、違いかただった。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
船宿などに奉公する女であるから、どこか
小粋
(
こいき
)
でありながら、下卑ていない。身持もよくて、これまでに浮いた噂もないという。
恨みの蠑螺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の
羽織
(
はおり
)
、
唐繻子
(
たうじゆす
)
の
帯
(
おび
)
を
〆
(
し
)
め、小さい
絹張
(
きぬばり
)
の
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
を
傍
(
そば
)
に置き、
後丸
(
あとまる
)
ののめりに
本天
(
ほんてん
)
の
鼻緒
(
はなを
)
のすがつた
駒下駄
(
こまげた
)
を
履
(
は
)
いた
小粋
(
こいき
)
な
婦人
(
ふじん
)
が、女
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小粋
(
こいき
)
な
細格子
(
ほそごうし
)
の中をのぞいたが、庄次郎は、
気
(
き
)
が
怯
(
ひる
)
んでしまって、少年の
動悸
(
ときめき
)
に似たものが、顔へ、のぼってきた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逢うてみにゃわからんけど、たいそう
小粋
(
こいき
)
な別嬪さんとのこと。……その人、いつか、東京から、お父さんの財布を
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
▼ もっと見る
半次郎 三十過ぎた
小粋
(
こいき
)
な男か。そんならゆうべ話をした兄弟分の
番場
(
ばんば
)
の
哥児
(
あにい
)
だ。どれ、それを見せてくれ。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
善哉屋の筋向うにある
小粋
(
こいき
)
な小料理屋の狭苦しい入口から、足の濡れるほど水を撒いた
三和土
(
たゝき
)
の上に立つた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
やがて、
燕尾服
(
えんびふく
)
を着た仁丹の
鬚
(
ひげ
)
のある
太夫
(
たゆう
)
が、お客に彼女のあらましの来歴を告げて、それから、ケルリ、ケルリ、と檻に向って二声叫び、右手のむちを
小粋
(
こいき
)
に振った。
逆行
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
路地の奥、
素人家作
(
しもたやづく
)
りの一軒建て、千本格子に磨きがきいて、ちょいと
小粋
(
こいき
)
な
住居
(
すまい
)
だった。
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「ああそのお方でござりますか。さっきお帰りになられました。綺麗な
小粋
(
こいき
)
な若いお方で」
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
全く見なれない
月代
(
さかやき
)
のならずものめいた、色の
生
(
なま
)
っ
白
(
ちろ
)
い奴! その色の生っ白い
小粋
(
こいき
)
がった方が認めたのは、やっぱり案外な若い男の侍でしたから、双方とも
一時
(
いっとき
)
全く当てが外れて
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
思い切った
背抜
(
バックレス
)
や、大胆な純白の
水浴着
(
マイヨオ
)
。お洒落な
寛長衣
(
ベエニヨアール
)
、
小粋
(
こいき
)
な
胸当
(
ブラストロン
)
。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そのくせ楽天家でまた
小粋
(
こいき
)
な人で、髪はいつも艶々と撫で、帯や着物は凝った物を着て、よく南縁に坐っては、徒然になると、柄の短い座敷箒を膝に抱えた。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
博多
(
はかた
)
市を貫流する
那珂川
(
なかがわ
)
、
春吉橋
(
はるよしばし
)
の畔、流れに面した
小粋
(
こいき
)
な
待合
(
まちあい
)
の一室で、二人の奇妙な生活がはじまった。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
それは年ごろ十八九の
小粋
(
こいき
)
な男で、襟のかかった
半纏
(
はんてん
)
を着ていましたが、こんなことが好きなのか、よっぽど面白いのか、我れを忘れたように一心に読んでいるのです。
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「真似をしますのよ、あのひと。あのひとに意見なんてあるものか。みんな女からの影響よ。文学少女のときには文学。下町のひとのときには
小粋
(
こいき
)
に。わかってるわ。」
彼は昔の彼ならず
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
すると
小粋
(
こいき
)
な頬かむり、のみを取っていた三吉猿が、自分の姓名を呼ばれたので、急いで手をとめて振り返った。そうして存在を示すように、キーキーキーとないたものである。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お富のためには真実の叔母ゆえ、
後
(
あと
)
懇
(
ねんごろ
)
に野辺の送りも済ませてから、丁度七日の
逮夜
(
たいや
)
の日に、
本郷
(
ほんごう
)
春木
(
はるき
)
町の廻りの
髪結
(
かみゆい
)
で
長次
(
ちょうじ
)
さんと云う、色の浅黒い、三十二三になる
小粋
(
こいき
)
な男が
遣
(
や
)
って参りました。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すると、その時、近所の若いお
内儀
(
かみ
)
さん——
馴染
(
なじみ
)
なので顔を知っているが、その内儀さんと親しい口をききながら、一緒に出て行った
小粋
(
こいき
)
なのがチラと目についた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
表は
小粋
(
こいき
)
な構えで格子戸を開けて、今日は、と呶鳴りました、玄関に畳表のついた下駄があるので、夫婦暮らしかな、と思いましたが、やがて奥の障子が開いた音がし、すぐに
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
青扇は茶碗をむりやりに僕に持たせて、それから傍に脱ぎ捨ててあった
弁慶格子
(
べんけいごうし
)
の
小粋
(
こいき
)
なゆかたを坐ったままで素早く着込んだ。僕は縁側に腰をおろし、しかたなく茶をすすった。
彼は昔の彼ならず
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
成程その飴売りは三十前後の
小粋
(
こいき
)
な男で、役者の紋を染めた手拭を肩にかけていた。
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこへ、乞食すがたに身を
窶
(
やつ
)
した
劉唐
(
りゅうとう
)
だの、
飴
(
あめ
)
売りの王
矮虎
(
わいこ
)
だの、また、
小粋
(
こいき
)
な茶屋女に化けた一丈青と、
顧
(
こ
)
のおばさん。さらにお
上
(
のぼ
)
りさんに変装した
鄒淵
(
すうえん
)
、
鄒潤
(
すうじゅん
)
。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
マントは、わざとボタンを掛けず、小さい肩から今にも滑り落ちるように、あやうく羽織って、そうしてそれを
小粋
(
こいき
)
な業だと信じていました。どこから、そんなことを覚えたのでしょう。
おしゃれ童子
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「きょうはお天気で好うござんしたね」と、二十四、五の
小粋
(
こいき
)
な女房が云った。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
藍弁慶
(
あいべんけい
)
の
素袷
(
すあわせ
)
に
算盤縞
(
そろばんじま
)
の三尺帯をきりっと横締めにした
小粋
(
こいき
)
な男である。それが絶えず鋭い眼配りを撒いているので、ちょうど編笠の侍を
庇
(
かば
)
っているような風に見える。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
周さんは、宿のどてらに着換えたら、まるで商家の
若旦那
(
わかだんな
)
の如く
小粋
(
こいき
)
であった。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
頭には昔ながらの小さい
髷
(
まげ
)
を乗せて、小柄ではあるが色白の
小粋
(
こいき
)
な男で、
手甲脚絆
(
てっこうきゃはん
)
のかいがいしい
扮装
(
いでたち
)
をして、肩にはおでんの荷を担ぎ、手には
渋団扇
(
しぶうちわ
)
を持って、おでんや/\と呼んで来る。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
尻無川
(
しりなしがわ
)
を裏にした
小粋
(
こいき
)
な四畳半に、うしろ向きになっていたのがお米だった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ちょっと上げて歩く癖は、むかしから利左の癖で、あれがまた
小粋
(
こいき
)
だと言って、わしにも右肩を上げて歩けとうるさくすすめる女があって閉口した事がある。利左に違いない。それ、呼びとめろ。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
富蔵の隣りにお
津賀
(
つが
)
という二十五六の
小粋
(
こいき
)
な女が住んでいる。
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かぶった浪人と
小粋
(
こいき
)
な女が、ここの家へ、駈けこんできたろう
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
小粋
(
こいき
)
な中年増が、門を
覗
(
のぞ
)
いて云った。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「オヤ、
小粋
(
こいき
)
な女がいやがるぜ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“小粋(こいき)”の解説
こいき(小粋)とは、日本たばこ産業が製造し、日本たばこアイメックス株式会社が販売している、煙管(きせる)用の刻みタバコの銘柄である。
(出典:Wikipedia)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
粋
常用漢字
中学
部首:⽶
10画
“小”で始まる語句
小
小児
小径
小鳥
小僧
小言
小路
小遣
小刀
小父