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寸毫
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すんがう
ふりがな文庫
“
寸毫
(
すんがう
)” の例文
義雄の態度は
寸毫
(
すんがう
)
も
假借
(
かしやく
)
しないと云ふ勢ひだ。そして、
忿怒
(
ふんど
)
の爲めに、相手を見つめる目が燃えて來た。昇は然し左ほど熱しない。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
然
(
しか
)
し
卯平
(
うへい
)
は
老衰
(
らうすゐ
)
の
身
(
み
)
を
漸
(
やうや
)
くのことで
投
(
な
)
げ
掛
(
か
)
けた
心
(
こゝろ
)
の
底
(
そこ
)
に
蟠
(
わだかま
)
つた
遠慮
(
ゑんりよ
)
と
性來
(
せいらい
)
の
寡言
(
むくち
)
とで、
自分
(
じぶん
)
から
要求
(
えうきう
)
することは
寸毫
(
すんがう
)
もなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
勇三郎にかゝる疑ひには、
寸毫
(
すんがう
)
の動きがなくとも、なにか新しい證據を、平次の
慧眼
(
けいがん
)
で見付けられないものでもありません。
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たとひ蒹葭堂コレクシヨンは当代の学者や芸術家に
寸毫
(
すんがう
)
の恩恵を与へなかつたとしても、そんなことは僕の問ふ所ではない。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
苟
(
いやしく
)
も
寸毫
(
すんがう
)
も世に影響なからんか、言換ふれば此世を一層善くし、此世を一層幸福に進むることに於て寸功なかつせば彼は詩人にも文人にも
非
(
あらざ
)
るなり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
▼ もっと見る
親に対する孝道なり。家に対する責任なり。朋友に対する礼儀なり。親属にたいする
交誼
(
かうぎ
)
なり。総括すれば社会に対する義務なり。然も我に於て
寸毫
(
すんがう
)
の益する処あらず。
愛と婚姻
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その燈の下で、彼は、最初、聖フランシスの伝記を愛読しようとした。けれども彼は直ぐに飽きた。根気といふものは、彼の体には、今は
寸毫
(
すんがう
)
も残されては居なかつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
平次の描いて行く事件の段取りは、實際と
寸毫
(
すんがう
)
の喰ひ違ひもありません。幸右衞門は口を開いて聞き入るばかりです。
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もし
寸毫
(
すんがう
)
の虚偽をも加へず、我我の友人知己に対する我我の本心を吐露するとすれば、古への
管鮑
(
くわんぱう
)
の交りと雖も
破綻
(
はたん
)
を生ぜずにはゐなかつたであらう。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼
(
かれ
)
は
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
つた
後
(
のち
)
瘡痍
(
きず
)
を
重
(
おも
)
く
見
(
み
)
せ
掛
(
か
)
けようとするのには
醫者
(
いしや
)
の
診斷
(
しんだん
)
が
寸毫
(
すんがう
)
も
彼
(
かれ
)
に
味方
(
みかた
)
して
居
(
ゐ
)
なかつたからである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それらの風景は、
屡
(
しばしば
)
彼の目に現はれた。それの現はれる
都度
(
つど
)
、それは前度のものとは決して
寸毫
(
すんがう
)
も変つたところがなかつた。それもこの現象に伴ふところの一つの不思議であつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
燈
(
あか
)
りに反いた内匠の顏は、心持少し蒼くは見えますが、決然たる
辭色
(
じしよく
)
は、それにも拘らず、
寸毫
(
すんがう
)
の搖ぎもありません。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼等は尊徳の教育に
寸毫
(
すんがう
)
の便宜をも与へなかつた。いや、寧ろ与へたものは
障碍
(
しやうがい
)
ばかりだつた位である。これは両親たる責任上、明らかに恥辱と云はなければならぬ。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
厭
(
や
)
だ/\」といふ
底
(
そこ
)
に一
種
(
しゆ
)
の
意味
(
いみ
)
を
含
(
ふく
)
んだ一
語
(
ご
)
を
投
(
な
)
げ
棄
(
す
)
てゝ
別
(
わか
)
れるのである。
殊
(
こと
)
には
村落
(
むら
)
の
若者
(
わかもの
)
の
間
(
あひだ
)
へは
寸毫
(
すんがう
)
も
遠慮
(
ゑんりよ
)
の
無
(
な
)
い
想像
(
さうざう
)
に
伴
(
ともな
)
ふ
陰口
(
かげぐち
)
を
逞
(
たくま
)
しくせしめる
好箇
(
かうこ
)
の
材料
(
ざいれう
)
を
提供
(
ていきよう
)
したのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
手代風情にこんなところへ呼出された不愉快さを押し隱して、
寸毫
(
すんがう
)
も引け目を感じない、やゝ嚴しい聲です。
銭形平次捕物控:280 華魁崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たとへば神代の豪傑たる
素戔嗚
(
すさのを
)
の尊に徴すれば、尊は正に
千位置戸
(
ちくらおきど
)
の刑罰を受けたのに相違ない。しかし刑罰を受けたにしろ、罪悪の意識は
寸毫
(
すんがう
)
も尊の心を煩はさなかつた。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
寸毫
(
すんがう
)
の隙もない相手の氣組と、その物凄い顏色、わけても思ひもよらぬ言葉に、さすがの平次も驚きました。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
治三郎のお白洲の調べが平次の推理と
寸毫
(
すんがう
)
の喰ひ違ひもなかつたことや、お關幾松母子が、平次の助力で平和な幸せな日を取戻したことは改めて書くまでもありません。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
凄まじい殺氣、
寸毫
(
すんがう
)
のたるみもないのは、此處で二人を音も立てさせずに成敗するつもりでせう。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
懷ろ紙の中に入れて置いた、和泉屋の引窓の釘に引つ掛つてゐた、木綿屑を出して、その破れに當てて見ると、色も寸法もピタリと合つて、最早
寸毫
(
すんがう
)
の疑ひもありません。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
寸毫
(
すんがう
)
の油斷もなく守護いたしたが、——一昨夜いや昨日の曉方と申した方が宜い、あらうことか千兩の大金と共に御奉納品の品々、御墨附まで
烟
(
けむり
)
の如く消え失せてしまつたのぢや
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
沓脱
(
くつぬぎ
)
の上にこそ膝を突きましたが、擧げた
面魂
(
つらだましい
)
は、
寸毫
(
すんがう
)
も引きさうになかつたのです。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その部屋の眞ん中に、座布團を半分敷いて、好い年増が引つくり返り、首に赤い
扱帶
(
しごき
)
を卷いたまゝ、腰から下は、
前褄
(
まへづま
)
をきりゝと合せて、
寸毫
(
すんがう
)
の亂れもないのが不思議に目立ちます。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
強
(
したゝ
)
かな四十男の表情は、若い主人を壓して、
寸毫
(
すんがう
)
も讓る氣色はなかつたのです。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手口は四人とも判で押したやう、
寸毫
(
すんがう
)
の違ひもありませんが、いづれも近々と傍へ寄つてやつたところを見ると、下手人は此界隈に住んで、犧牲者達の顏見知りの者でなければなりません。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お若の言葉は斷定的で、どんな人にも
寸毫
(
すんがう
)
の疑ひも挾ませなかつたのです。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
素より捕物の名人、
寸毫
(
すんがう
)
の
隙
(
すき
)
もありませんが、困つたことに宗壽は思ひの外の剛力で、それに平次は、まる二日物を食はない上、廂から飛降りる
機
(
はず
)
みに足を
挫
(
くじ
)
いて、進退駈引自由になりません。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お時計紛失といふ重大事件が
絡
(
から
)
んでゐるために、せめて錢形平次に現場を見屆けさせるまでと、笹野新三郎の入智惠でこゝへはあまり人も入れず、
寸毫
(
すんがう
)
も模樣を變へないやうにしてゐるのだ——と
銭形平次捕物控:184 御時計師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の説明は星を指すやうで、最早
寸毫
(
すんがう
)
の疑ひもありません。
銭形平次捕物控:214 鼬小僧の正体
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
非常に落着いた、今度こそはの、
寸毫
(
すんがう
)
も狂ひのない襲撃です。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
斯う説き明かされて見ると、もう
寸毫
(
すんがう
)
の疑ひも殘りません。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お藤の言葉には、
寸毫
(
すんがう
)
も疑ひを挾む餘地はありません。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の用意には
寸毫
(
すんがう
)
の手ぬかりも無かつたのです。
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の論告は烈々として
寸毫
(
すんがう
)
の假借もありません。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“寸毫”の意味
《名詞》
寸毫(すんごう)
極めて僅(わず)かなこと。ほんの少し。「毫」は「細い毛」の意。専ら「寸毫も」「寸毫の…も(「…」は名詞)」の形で、かつ否定語「ない」「ず」を後ろに伴って用いる。
(出典:Wiktionary)
寸
常用漢字
小6
部首:⼨
3画
毫
漢検1級
部首:⽑
11画
“寸”で始まる語句
寸
寸分
寸法
寸隙
寸々
寸暇
寸時
寸断
寸志
寸白