うべ)” の例文
汝深く我を愛しき、是またうべなり、我もし下界に長生ながらへたりせば、わが汝にあらはす愛は葉のみにとゞまらざりしなるべし 五五—五七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
彼がこの時において、その同志をつのり、安政大獄の下手げしゅ者、間部詮勝を刺し、以て尊王討幕軍の先駆たらんと欲せしも、またうべならずや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
四、彼は昨日さくじつ小咄こばなし文学」を罵り、今日こんにち恬然てんぜんとして「コント文学」を作る。うべなるかな。彼の健康なるや。
病牀雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いと奥まりて、在りとも覚えぬあたりに六畳の隠座敷の板道伝わたりづたひに離れたる一間に案内されしもうべなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
うべしこそ、近藤は、執着しゅうじゃくの極、婦人おんなをして我に節操を尽さしめんか、終生空閨くうけいを護らしめ、おのれ一分時もそのそばにあらずして、なおよく節操を保たしむるにあらざるよりは
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
立錐りつすゐの地なしと門前の警官が、絶叫したるもうべなりけり、しもに広き青年会館の演説場も、だ人を以て埋めたるばかり、爛々らん/\たる電燈も呼吸の為めに曇りて見えぬ、一見
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
うべなるかな。已にそれらの能書は、多くある高僧墨蹟の中から特にやかましい存在となっている。しかるにそれらの書が、今の書道界に果して喧ましい存在となっているであろうか。
春屋の書について (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
驚きしもうべなりけり、蒼然そうぜんとして死人に等しきわが面色めんしょく、帽をばいつのまにか失い、髪はおどろと乱れて、幾度か道にてつまずき倒れしことなれば、衣はどろまじりの雪によごれ
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
人定まって天人に勝つとは古人の金言うべなるかな、もとより水泡銭あぶくぜにの事なれば身につく道理のあるべき訳はなく、翌年の四月頃から伴藏は以前の事も打忘れ少し贅沢ぜいたくがしたくなり
水なるかな、ヨハネが生命いのちの川の水を夢み、熱砂に育ちしマホメツトの天国が四時しゞ清水流れ果樹実を結ぶ処なるも、うべなるかな。自然の乳房に不尽の乳を満たせし者に永遠とこしへ光栄ほまれあれよ。
狂妄きやうまうほとんど桓玄司馬倫のに類す、うべなるかなくびすかへさずしてちゆうに伏するや
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
これは俗に泣黒子と云つて、幸にも自分の一族、乃至は平生畏敬して居る人々の顔立には、ついぞ見当らぬ道具である。うべなる哉、この男、どうせ将来好い目に逢ふ気づかひが無いのだもの。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
うべなりやかくありてこそひととして
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
うべこそ、いまそがる
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
汝いづこより來りしや、また誰なりや、我等汝の恩惠めぐみをみていたく驚く、たえてためしなきことのかく驚かすはうべなればなり。 一三—一五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
彼らが罪名をただして、その要領を得ざりしは、またうべならずや、何となれば原来罪名の指定すべきものなきを以てなり。もし強いて罪名を付せんとせば、過激罪というの外なけん。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
驚きしもうべなりけり、蒼然として死人に等しき我面色、帽をばいつの間にか失ひ、髪はおどろと乱れて、幾度か道にてつまづき倒れしことなれば、衣は泥まじりの雪によごれ、処々は裂けたれば。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ふたたび郷平ごうへい橋を渡りつつ、赤平川を郷平川ともいうは、赤平の文字もと吾平と書きたるを音もて読みしより、なまりて郷平となりたるなりという昔の人の考えをうべない、国神野上も走りに走り越し
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
千々岩の身辺に嫌疑けんぎの雲のかかれるもうべなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
その後ELエルと呼ばれにき、是亦うべなり、そは人の習慣ならはしは、さながら枝の上なる葉の、彼散りて此生ずるに似たればなり 一三六—一三八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
始めてここにしものの応接にいとまなきもうべなり。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
いざ喜べ、汝しかするはうべなればなり、汝富めり、汝泰平なり、汝さとし、わがこのことばの僞りならぬは事實よくこれをあかしす 一三六—一三八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
始めてこゝに來しものゝ應接にいとまなきもうべなり。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
此故にこゝにとゞまれ、罰をうくるはうべなればなり、かくして汝にカルロを侮らしめし不義の財貨たからをかたくまもれ 九七—九九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
始めてこゝにしものゝ応接にいとまなきもうべなり。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)