“空閨”の読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
くうけい100.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
仲平は三十五のとき、藩主の供をして再び江戸に出て、翌年帰った。これがお佐代さんがやや長い留守に空閨くうけいを守ったはじめである。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
うべしこそ、近藤は、執着しゅうじゃくの極、婦人おんなをして我に節操を尽さしめんか、終生空閨くうけいを護らしめ、おのれ一分時もそのそばにあらずして
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一番最後に歌った意味は、『老母は愛児の帰りを待ちわび、紅粧の新妻淋しく空閨くうけいを守る。』というようなものである。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
これは友人にも多少の悪巧みはあったにしても、主たる動機は半平という男が細君に死別してからまる二年この方、空閨くうけいを貞淑に守りつづけているのを見ちゃいられなかったせいだった。
幸運の黒子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あるいは玄宗皇帝時代に、空閨くうけいに泣いていたおびただしい宮女たちから受けた感化かも知れないが
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
空閨くうけいを守らせるとはしからん。と、よく中年の男たちが言っていた。操持そうじ高き美しき人として、細川お玉夫人のガラシャ姫よりももっと伝説の人に、自分たちの満足するまで造りあげようとした。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
おせっかいな世間は、武子さんが完全な人となろう、としているときに——外国にいる人も、そちらにいる方が家庭円満であったかもしれないのに、麗人に空閨くうけいを十年守らせるとは何事だと、あちらで職について
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
夫が遠征の百日間は、彼は空しく空閨くうけいを守りたりしが、夫を待ち得しと思いし日より、なお五十日の間、寂しき夜をうらみ明かし、なお幾夜かくあるべくありしなり、阿園には夫婦のむつみいまだ尽きず
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)