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ぢよがくせい
ぞろ/\と十四五
人、いろの
袴と、リボンで、
一組總出と
云つたらしい
女學生、十五六から
二十ぐらゐなのが
揃つて
來ました。
「
貴方そんな
所へ
寐ると
風邪引いてよ」と
細君が
注意した。
細君の
言葉は
東京の
樣な、
東京でない
樣な、
現代の
女學生に
共通な
一種の
調子を
持つてゐる。
此で
思ふと……
石を
投げた
狂人と
云ふのも、
女學生を
連れた
黒い
媼さんの
行列も、
獸のやうに、
鳥のやうに、
散つた、
駈けたと
云ふ
中に、
其が
皆
何事も
自分で
勇氣を
起し、
難しい
事でも
分らない
事でも
何でも
自分が
主に
成てする
氣でなければ
决して
物は
上達しません。どうも
今日の
女學生には
兎角、
自主獨立といふ
心に
乏しいであります。
ずらりと
女學生たちを
從へて、
頬と
頤をだぶ/″\、
白髮の
渦を
卷かせて、
恁う
反身に
出て
來た
所が、
何ですかね
私には、
彼處に
居る、
其の
狂人を、
救助船で
濟度に
顯れたやうに
見えたんです。