)” の例文
入口いりぐちいし鳥居とりゐひだりに、就中とりわけくらそびえたすぎもとに、かたちはついとほりでありますが、雪難之碑せつなんのひきざんだ、一石碑せきひえました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
北鳴の示した図面によると、今度の二の櫓は、比野町の西端、境町の水田の上に建てることになっていた。構造は前と同じようなものであった。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
日ごろは琵琶びわの祖神蝉丸せみまる像のふくが見える板かべのとこには、それがはずされて、稚拙ちせつな地蔵菩薩像のふくがかけられ、下には一位牌いはいがおかれていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上に坂あり、登りて住職じゆうしよくの墓所あり。かのふちよりいだしたる円石まるいし人作じんさくの石のだいあしあるにのせてはかとす。中央まんなかなるを開山かいさんとし、左右に次第しだいして廿三あり。
言ひ殘せし片言かたごとだになければ、誰れも尼になるまでの事の由を知らず、里の人々相集りて涙と共に庵室の側らに心ばかりの埋葬を營みて、卒塔婆そとばあるじとはせしが
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
東金堂におはします仏法最初の釈迦の像、西金堂に坐ます自然じねん湧出ゆしゆつの観世音、瑠璃るりを並べし四面のらう、朱丹を交へし二階の楼、九輪空に輝きし二の塔、たちまち煙となるこそ悲しけれ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
曉方あけがたの冷えを勘定に入れて大火鉢へ埋火二杯、煙草盆と茶と、菓子と、足の踏みどころもなく配つた上、百日蝋燭らふそくを點けた大燭臺おほしよくだいが四、二つは榮三郎の左右へ、女中のお千代が護つてひか
ここまで足を踏みだして来ながら、わずか一の高札文や、三、四十本の錆刀さびがたなに行き当ったからとて、やわか、一歩でも足を後へ戻してよいものか。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上に坂あり、登りて住職じゆうしよくの墓所あり。かのふちよりいだしたる円石まるいし人作じんさくの石のだいあしあるにのせてはかとす。中央まんなかなるを開山かいさんとし、左右に次第しだいして廿三あり。
赤い鳥居が十ばかり、その奧は一間四方ほどの堂があつて、格子の前には、元大きな拜殿の前にあつたといふ、幅三尺に長さ六尺、深さ三尺五寸もあらうと言ふ法外に大きな賽錢箱さいせんばこがあります。
理に落ちかけると、お小僧はおもしろくなくなったとみえ、小走りに先へ駈けて、草むらの中の一の石を指さし
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うしろへまわって、お厨子ずしをのぞくと、金泥きんでいのとびらがけてあって、なかには一地蔵菩薩じぞうぼさつぞうがすえてある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜気冷やかにまたたいている二の常夜燈。ささ流れをまたいで竹林ちくりんの小道へ入ると、水の声でもないささの葉のそよぎでもない、耳覚えのある尺八の音……時雨堂かられてくる。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふりかえってみると、人影はなく、星の空にそびえている一の十
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、侍側の二人はただ、嘆きから諦めへ、身も心もこごえさせていたところであった。そこへ、はからぬ火桶のゆるしで、七十日ぶりに炭火を見たうえ、夜になると二の燭台まで差し入れられた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
墓地といっても、この地方の習慣では、一人一主義で、ひとり死ぬと一つ墓石が立つ。だから戸数の割合にそれが多い。山の裾にも、畑の端にも、河原の崖ぷちにも、気楽に墓石が団欒だんらんしていた。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)