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垣間見
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かいまみ
ふりがな文庫
“
垣間見
(
かいまみ
)” の例文
愛吉は心なく
垣間見
(
かいまみ
)
た人に顔を見らるるよう、思いなしか、附添の
婦人
(
おんな
)
の胸にも物ありげに取られるので、うつむいては
天窓
(
あたま
)
を掻いた。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その日、フウバア大統領の前を、
颯爽
(
さっそう
)
と、分列行進をしていった女子選手達のうちに、あなたのりりしい晴れ姿をちらっと
垣間見
(
かいまみ
)
ました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
金はどれほどでも出してやるから手近なところで店でも持ち、ゆくすえ長く
垣間見
(
かいまみ
)
させたもいのう。……と、いうわけなんだ
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それらの人々の間にお君のことが問題となって、それとなく用事をかこつけてはお君を
垣間見
(
かいまみ
)
ようとするようになりました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大隅学士は、欅の葉蔭をとおして
垣間見
(
かいまみ
)
る武夫の変りはてた姿に、思わず
湧
(
わ
)
き出てくる涙をソッと拭った。一体これからどうしたらいいだろう。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
長い間塞がれてゐた孔が開けて、内部の見知らない景色を
垣間見
(
かいまみ
)
る事が出来たのである。人生は忽ち全く新奇な光景を、わしの前に示してくれた。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
あるじの成輔の使いで、再々、
垣間見
(
かいまみ
)
あっていた相思のふたりは、やがて、北山殿の花の
御遊
(
ぎょゆう
)
の折、花の下で結ばれた。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一度嫁したが舅姑に虐げられて脱れ出たという。馬これを
垣間見
(
かいまみ
)
、
瓢金
(
ひょうきん
)
なその妻と謀り自分は飲みに出たと称し妻をして疾に托して王を招かしめた。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
小波の恋が破れて後、その令嬢が縁付いた婚家の近くに住っていた私は時折
美貌
(
びぼう
)
を
垣間見
(
かいまみ
)
、淑徳を聞くにつけて小波のために
頗
(
すこぶ
)
る同情に堪えなかった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼はその人のみめかたちをせめて一と眼でも
垣間見
(
かいまみ
)
たいと願ったが、しかし出来ることならば、単独の彼女よりも
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
小山田氏はある
垣間見
(
かいまみ
)
に静子を深く恋して、
伝手
(
つて
)
を求めて結婚を申込んだ。静子も小山田氏が嫌いではなかった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その時、監房の狭い高い窓から、隣りの廊下の天井に、それが私の
垣間見
(
かいまみ
)
ることのできる唯一の天空だったが、そこに黄ばんだ反映のあるのが目についた。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
無限を
垣間見
(
かいまみ
)
、夢みて、それと比較するために、自分をも事物をも本氣にしない……。自己の無力の感じ。
かめれおん日記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
三月にわたる久きをかの美き姿の絶えず
出入
(
しゆつにゆう
)
するなれば、
噂
(
うはさ
)
は
自
(
おのづ
)
から院内に
播
(
ひろま
)
りて、博士の
某
(
ぼう
)
さへ
終
(
つひ
)
に
唆
(
そそのか
)
されて、
垣間見
(
かいまみ
)
の歩をここに
枉
(
ま
)
げられしとぞ伝へ
侍
(
はべ
)
る。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
傍
(
かたわ
)
らにきちんと
膝
(
ひざ
)
を正されて、易だの朱子だのと申すむずかしいお話に耳を澄ましておられるお姿を、わたくしどももよく
垣間見
(
かいまみ
)
にお見かけしたものでございました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
言葉の修練を積むに従って詩の天地が
開闢
(
かいびゃく
)
する。鶴見はおずおずとその様子を
垣間見
(
かいまみ
)
ていたが、後には少し大胆になって、その成りゆきを
見戍
(
みまも
)
ることが出来るようになった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
今朝
(
けさ
)
は、いつにも似ず早く眼醒めつ。御身の此寺に近付き給へるを
垣間見
(
かいまみ
)
、如何はせむと思ひ惑ひ候ひしが、所詮、人間道を外れし此身。神も仏も此世には
在
(
ま
)
しまさずかし。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だが、わたしがあの岸を去って以来、
木伐
(
きこ
)
りはさらに一段とそこを切り荒らし、ここのところ長年のあいだは、ところどころ水を
垣間見
(
かいまみ
)
しつつ森の廻廊を逍遙することはないであろう。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
人知れず
松葉屋
(
まつばや
)
の前を通って、そっとお糸の姿を
垣間見
(
かいまみ
)
たいとは思ったが、あたりが余りに
明過
(
あかるす
)
ぎる。さらばこのまま路地口に立っていて、お糸が何かの用で外へ出るまでの機会を待とうか。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「が、まだその摩利信乃法師とやらは、
幸
(
さいわ
)
い、姫君の姿さえ
垣間見
(
かいまみ
)
た事もないであろう。まず、それまでは魔道の恋が、成就する気づかいはよもあるまい。さればもうそのように、怖がられずとも大丈夫じゃ。」
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
豆相
(
ずそう
)
の近国でこそ、北条殿の息女といえば、どんな深窓の名花かと、見ぬすがたを、
垣間見
(
かいまみ
)
にでもと、あこがれる
若殿輩
(
わかとのばら
)
もあるが、佳麗な容色は
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傍
(
かたわ
)
らにきちんと
膝
(
ひざ
)
を正されて、易だの朱子だのと申すむづかしいお話に耳を澄ましてをられるお姿を、わたくしどももよく
垣間見
(
かいまみ
)
にお見かけしたものでございました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
私は突然、それまでぼんやり
垣間見
(
かいまみ
)
てるにすぎなかった事を、決定的な瞬間がきてるという事を、自分の判決を聞くために自分は出て来てるという事を、はっきり悟った。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
但
(
たゞ
)
知己
(
ちかづき
)
の人の通り抜け、世話に申す素通りの無用たること、我が
思
(
おもひ
)
もかはらず、
然
(
さ
)
りながらお附合五六軒、美人なきにしもあらずと
雖
(
いへど
)
も、
濫
(
みだり
)
に
垣間見
(
かいまみ
)
を許さず、軒に御神燈の影なく
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
人知
(
ひとし
)
れず
松葉屋
(
まつばや
)
の前を通つて、そつとお
糸
(
いと
)
の
姿
(
すがた
)
を
垣間見
(
かいまみ
)
たいとは思つたが、あたりが余りに
明過
(
あかるす
)
ぎる。さらば
此
(
こ
)
のまゝ
路地口
(
ろぢぐち
)
に立つてゐて、お
糸
(
いと
)
が何かの用で外へ出るまでの機会を待たうか。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
垣間見
(
かいまみ
)
たことすらないのであった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
でなくともお綱の心は、
一途
(
いちず
)
にそこへ向いていた。とにかく、
垣間見
(
かいまみ
)
にでも
覗
(
のぞ
)
いてみたい、声だけでも横顔だけでも——という恋慕が矢のようにはやる。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はすべてを
垣間見
(
かいまみ
)
たが、ついに何物もはっきり見付け得なかった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
野
(
の
)
の
花
(
はな
)
は
少
(
すくな
)
けれど、よし
蘆垣
(
あしがき
)
の
垣間見
(
かいまみ
)
を
咎
(
とが
)
むるもののなきが
嬉
(
うれ
)
し。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
花嫁は、明智家の三女で、時まだ十六の
蕾
(
つぼみ
)
であったが、やがて細川家の内室、ガラシヤ夫人といえば、
垣間見
(
かいまみ
)
たこともない者までが、美人だそうな——と噂した。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
投扇興
(
とうせんきょう
)
、すごろく、
和歌合
(
うたあわ
)
せ、といったような遊戯にも、すぐ飽いてしまうし、誰や彼の、
垣間見
(
かいまみ
)
の男性たちのうわさも、ままにならない身がかえって苦しくなるだけで、恋をするには
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
九条院に仕えていて麗名の高かった頃から始終、
垣間見
(
かいまみ
)
ていたものである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ひそかに、
垣間見
(
かいまみ
)
ました」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
垣
常用漢字
中学
部首:⼟
9画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
“垣間”で始まる語句
垣間