地響ぢひゞき)” の例文
なんにもつかまらなかつたがちひさなさけごゑ地響ぢひゞき硝子ガラスこわれるおととをきました、其物音そのものおとあいちやんは、うさぎ屹度きつと胡瓜きうり苗床なへどこなかへでもんだにちがひないとおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
が、ぶくりとして、あだじろい、でぶ/\とふとつた肉貫にくかん——(間違まちがへるな、めかたでない、)——肉感にくかん第一人者だいいちにんしやが、地響ぢひゞきつて、外房州そとばうしうはひつた女中ぢよちうだから、ことおこる。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
されば貴人の馬車富豪の自動車の地響ぢひゞき午睡ごすゐの夢を驚かさるゝ恐れなく、夏のゆふべは格子戸の外に裸体で凉む自由があり、冬のは置炬燵に隣家の三味線を聞く面白さがある。
路地 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
所へ遠くから荷車にぐるまおとが聞える。今、静かな横町をまがつて、此方こつちへ近付いてるのが地響ぢひゞきでよくわかる。三四郎は「た」と云つた。美禰子は「はやいのね」と云つた儘じつとしてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
黒ずんだマロニエの木立こだちに白樺がまじつて居て落葉おちばの中に所所ところどころ水溜みづたまりが木の影を映して居る。縦横に交叉して居る大きなみち時時ときどき馬車の地響ぢひゞきを挙げながら、その先は深い自然林の中に消えて仕舞しまふ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
どの汽車よりも大きな地響ぢひゞきを立てて
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
地響ぢひゞきのわれにさきだつ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
わしたまらず真逆まツさかさまたきなか飛込とびこんで、女瀧めたきしかいたとまでおもつた。がつくと男瀧をたきはうはどう/\と地響ぢひゞきたせて、山彦やまびこんでとゞろいてながれてる、あゝちからもつ何故なぜすくはぬ、まゝよ!
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どの汽車よりも大きな地響ぢひゞきを立てて
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)