在所ざいしよ)” の例文
あからめイヱ/\五ヶねん前私し在所ざいしよ柏原の宿へ一夜とまりたれども其節そのせつ父銀五郎病中にて私しは十二さい一夜の旅宿はたごいかで然樣さやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おな白石しろいし在所ざいしようまれなる、宮城野みやぎの信夫しのぶふを、芝居しばゐにてたるさへなにとやらむ初鰹はつがつをころうれしからず。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其時在所ざいしよの者が真言しんごん道場だうじやうであつた旧地へ肉食にくじき妻帯さいたい門徒坊もんとぼんさんを入れるのは面白く無い、御寺の建つ事は結構だがうか妻帯をさらぬ清僧せいそう住持じうぢにしていたゞきたいと掛合かけあつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
新任しんにん奉行ぶぎやうひかるので、膝元ひざもとでは綿服めんぷくしかられない不平ふへいまぎらしに、こんなところへ、黒羽二重くろはぶたへ茶宇ちやうはかまといふりゆうとした姿すがた在所ざいしよのものをおどかしにたのだとおもはれたが
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
絡駅らくえき人馬じんばつづける祭り日の在所ざいしよの見えて白蓮の花
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「お前の在所ざいしよは何處だ」
乳母うば在所ざいしよは草わけの
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
聞ず否々いや/\兄樣あにさまふればとて一日二日のたびではなし天氣てんきよきを見て立ても道にて大雨おほあめに逢まじき者にも非ずと在所ざいしよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
和上のきづ二月ふたつきで癒えたが、其の傷痕きづあとを一目見て鎌首かまくびを上げたへびの様だと身をふるはせたのは、青褪あをざめた顔色かほいろの奥方ばかりでは無かつた。其頃在所ざいしよ子守唄こもりうたに斯う云ふのが流行はやつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
『汽車にお乘りやすのやごわへんか。……この次ぎはキツチリ四時に出ますよつて、まだ一時間ござります。……こんな見るもんもない在所ざいしよへお越しやしとくれやして、……ほんまに仕樣しやうのないとこで、……』
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
決し在所ざいしよの永正寺と云尼寺あまでらへ入みどり黒髮くろかみそり念佛ねんぶつまい生涯しやうがいおくりし事こそ殊勝しゆしようなれされば長庵を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其頃御坊ごばうさんの竹薮たけやぶたけのこを取りにはいつた在所ざいしよの者が白いくちなはを見附けた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)