トップ
>
台辞
>
せりふ
ふりがな文庫
“
台辞
(
せりふ
)” の例文
旧字:
臺辭
彼は
両眼
(
りょうがん
)
をカッと見開き、この一見意味のない
台辞
(
せりふ
)
を
嘔
(
は
)
きちらしていたが
軈
(
やが
)
てブルブルと
身震
(
みぶる
)
いをすると、パッと身を
飜
(
ひるがえ
)
して駈け出した。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「すっかりうまくいったわ。」ただ一つ彼女は、他人の
台辞
(
せりふ
)
はもっと削ってもらいたく、自分のは削らないようにしてほしいだけだった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
……
店頭
(
みせさき
)
をすとすと離れ際に、「
帰途
(
かえり
)
に寄るよ。」はいささか珍だ。白い妾に対してだけに、河岸の
張見世
(
はりみせ
)
を
素見
(
すけん
)
の
台辞
(
せりふ
)
だ。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何卒これにお
懲
(
こ
)
りにならずに是非又お世話をして戴きたく、と、この間も云った
台辞
(
せりふ
)
を云うと、井谷は急に声をひそめて
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
という
台辞
(
せりふ
)
には、暗さや哀しさはほとんど感じられなかった。それ故にこそその言葉は、今の栄介にとって、
千鈞
(
せんきん
)
の重みを持ってのしかかって来る。
狂い凧
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
▼ もっと見る
が、きいて頂きたいことがあるのだ、相談にのって頂きたい、力になって貰いたい、と手前勝手な
台辞
(
せりふ
)
ばかりならべるのは、なんとも恥しい話です。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これは果たしてフランス語であろうか、人間の大国語であろうか? 既に舞台に上がるばかりになっており、罪悪に
台辞
(
せりふ
)
を与えるばかりになっている。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
道具の汚いのと、役者の絶句と、演芸中に舞台裏で大道具の釘を打つ音が
台辞
(
せりふ
)
を邪魔することなぞは、他では余り見受けない景物である。寒い芝居小屋だ。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「上ッたか、下ッたか、何だか、ちッとも、知らないけれども、
平右衛門
(
へいえもん
)
の
台辞
(
せりふ
)
じゃアないが、酒でもちッと
進
(
めえ
)
らずば……。ほほ、ほほ、ほほほほほほほ」
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
「彼女」の
台辞
(
せりふ
)
だって、
切々
(
きれぎれ
)
に覚えている。そんなことを考えていると、新子は姉に対する、肉親らしい感激で、さっきとは別人のように、興奮してしまった。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そのうちに芝居は進行して、——妾を逃がして下さらないこと? という
台辞
(
せりふ
)
のところまできました。
華やかな罪過
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
惚れた弱味は、いつの日に、頼みまするといはれても、その事ならば否とはいはぬ。殺す役目は真平御免。いつかのお前の
台辞
(
せりふ
)
じやないが、外を尋ねて下さんせか。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
皆は
寄々
(
より/\
)
その事を話して気遣つたものだ。すると初日の幕が
開
(
あ
)
いた。待ち設けた車曳となつた。皆は
身体
(
からだ
)
ぢゆうを耳のやうにして、その
台辞
(
せりふ
)
を待つた。菊之丞は叫んだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それがハムレツトの
台辞
(
せりふ
)
よろしくあつて、だんだんあいつが
太夫
(
たいふ
)
につめよつて来た時に、
間
(
ま
)
の悪い時は又間の悪いもので、
奈良茂
(
ならも
)
の大将が一杯機嫌でどこで聞きかじったか
南瓜
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれども、虎だから、
台辞
(
せりふ
)
を言うことがないので稽古にも出る必要がない。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
と、これがルチアノの帰りしなの
台辞
(
せりふ
)
だった。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
自由な魂の避難所たるフランスへ逃げ込んだのだと言い——(熱狂的な愛国心の
台辞
(
せりふ
)
を並べるにはいい口実である)
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
また取れようもないわけなんだ。能役者が謡の弟子を取るのは、歌舞伎
俳優
(
やくしゃ
)
が
台辞
(
せりふ
)
の
仮声
(
こわいろ
)
を教えると同じだからね。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此の
台辞
(
せりふ
)
の間に、ふとんの上から足で私の体を揺すぶったり、或は上の夜具を一枚まくったりする
所作
(
しょさ
)
が入る。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ジュリアはまるでレビュウの舞台に立っているかのように、美しい
台辞
(
せりふ
)
をつかった。側に立つルネサンス風の高い照明灯は、いよいよ明るさを増していった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
久子の
台辞
(
せりふ
)
のおわらぬうちに、樹陰から、前に出てきたのと同じような仮面の男が、忽然として、しかし静かに現れ、四人の方へピストルの
銃口
(
つつぐち
)
を向けながら直立している。
探偵戯曲 仮面の男
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
読めと云ふから読んで見ると、テエマが面白いのにも関らず、無暗に
友染縮緬
(
いうぜんちりめん
)
のやうな
台辞
(
せりふ
)
が多くつて、どうも永井荷風氏や谷崎潤一郎氏の
糟粕
(
さうはく
)
を
嘗
(
な
)
めてゐるやうな観があつた。
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
南北は
橡
(
とち
)
の葉のやうな大きな
掌面
(
てのひら
)
で押へつけるやうにして、急に雀右衛門の気に入りさうな
台辞
(
せりふ
)
を
出鱈目
(
でたらめ
)
に幾つか附け足すので、一旦曇つた女形の眼は急にまた明るくなつて来る。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
もうもう、そんな時代な
台辞
(
せりふ
)
で、私を
誰が罪
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
なんかと云って
筆者
(
わたくし
)
は、話の最初に於て、
安薬
(
やすぐすり
)
の
効能
(
こうのう
)
のような
台辞
(
せりふ
)
をあまりクドクドと述べたてている
厚顔
(
こうがん
)
さに、自分自身でも
夙
(
と
)
くに気付いているのではあるが
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と娘が引取った、我が身の姿と、この場の
光景
(
ようす
)
、踊のさらいに
台辞
(
せりふ
)
を云うよう、細く
透
(
とお
)
る、が声震えて
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また彼女は、
扉
(
とびら
)
に耳を押しあてて、
台辞
(
せりふ
)
を繰り返してる役者たちに耳を傾けた。そして一人で廊下の
掃除
(
そうじ
)
をしながら、彼らの台辞回しを小声で
真似
(
まね
)
たり、身振りをしたりした。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
稽古中に突然あの人のことを思い出して
台辞
(
せりふ
)
を忘れたことなどもあったくらいです。
華やかな罪過
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
役の
振当
(
ふりあて
)
もあらかた済んで、さて
愈々
(
いよ/\
)
本読
(
ほんよみ
)
にかかると、延若も、雀右衛門も、その
他
(
ほか
)
の俳優も折角自分が楽みにして待ち設けた
台辞
(
せりふ
)
が無いので、てんでに変な顔をしてゐるが、実をいふと
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ところが例の「カフェの送り出し」のところで、玲子の云う
台辞
(
せりふ
)
がまるで違っている個所があった。
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「うんえ、あの
台辞
(
せりふ
)
で、あなたの桟敷を見て笑ったのを見て、それで気がついた、あなたの来ているのが。……といったわけなんですもの、やすい祝儀じゃでけんでねえ。」
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そういう教育法は長くつづくはずだったが、彼女はあるとき不謹慎にも、役者の室から
台辞
(
せりふ
)
の台本を盗み出した。その役者はひどく怒った。女中よりほかにだれも彼の室にはいった者はなかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
鼓村氏は芝居の
台辞
(
せりふ
)
がかつた調子で言つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そう思って
堪
(
たま
)
らなかったんですが、気が着きますとね、待てよ、
私
(
わっし
)
が思った
通
(
とおり
)
を口へ出して謂やあ、
突然
(
いきなり
)
伝を向うへまわして、ずらりと並べる
台辞
(
せりふ
)
になる、さあ、おもしろい、素敵妙だ。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まるでお
伽噺
(
とぎばなし
)
に出てくる人間の姿をした神様の
台辞
(
せりふ
)
みたいですね。そんなまどろこしいことをいわないで、早く教えてください、一体われわれが遠き未来において、どんな生活をするかを……」
今昔ばなし抱合兵団:――金博士シリーズ・4――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は彼女の
台辞
(
せりふ
)
に多少不安を感じて、
懸念
(
けねん
)
のあまり尋ねた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
とこの際、障子の内へ聞かせたさに、捨吉相方なしの
台辞
(
せりふ
)
あり。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いやに気の小さい
台辞
(
せりふ
)
を仰せられまする」
心臓盗難:烏啼天駆シリーズ・2
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
子供芝居の取留めのない
台辞
(
せりふ
)
でも、ちっと変な事を言う。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ばたばたと
煽
(
あお
)
いで、
台辞
(
せりふ
)
。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“台辞”の意味
《名詞》
台辞(だいじ)
科白。台詞。
(出典:Wiktionary)
台
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
辞
常用漢字
小4
部首:⾟
13画
“台”で始まる語句
台
台詞
台所
台湾
台風
台場
台命
台盤所
台石
台尻