可忌いまは)” の例文
ばれた坂上さかがみは、こゑくと、外套ぐわいたうえりから悚然ぞつとした。……たれ可厭いやな、何時いつおぼえのある可忌いまはしい調子てうしふのではない。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
常に可忌いまはしと思へる物をかく明々地あからさまに見せつけられたる貫一は、得堪えたふまじくにがりたる眉状まゆつきしてひそかに目をそらしつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わたしむねけるほど亭主ていしゆ言葉ことばさはつた。死骸しがいつてる、とつたやうな、やつ言種いひぐさなんとももつ可忌いまはしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
荒尾は可忌いまはしげにつぶやきて、やや不快の色をうごかせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
つきかげかげともしびかげゆきはな朧々おぼろ/\のあかりにも、かげのないひまはなし……かげあれば不氣味ぶきみさ、可厭いやさ、可恐おそろしさ、可忌いまはしさに堪兼たへかねる。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
はるかにいぬ長吠ながぼえして、可忌いまはしく夜陰やいんつらぬいたが、またゝに、さとはうから、かぜのやうにさつて、背後うしろから、足代場あじろばうへうづくまつた——法衣ころもそでかすめてんだ、トタンになまぐさけものにほひがした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
けれども、可厭いやな、可忌いまはしいこゑかずにはむまい、とおもふとあんぢやう……
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)