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口説
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くぜつ
ふりがな文庫
“
口説
(
くぜつ
)” の例文
近頃はお角の弟子達を全部断って、肌寒くなりまさる晩秋の
一夕
(
いっせき
)
を、長火鉢を挟んで
口説
(
くぜつ
)
の糸をたぐるのに余念もなかったのです。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここは
李巧奴
(
りこうぬ
)
の
妓家
(
ぎけ
)
で、通い馴れてもいるらしい。
口説
(
くぜつ
)
、いろいろあって、先生はひそかにうれしくもあり、持て余し気味でもあった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お前さんは
余
(
あんま
)
りな人だとか
何
(
なん
)
とか云って
口説
(
くぜつ
)
でも云う所だから殺す
気遣
(
きづかい
)
はあるまいよ、どんな事をしているか、お前見ておいでよ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
買うというのが不審だとにらんでいたが、ほしいのはしごきじゃなくて、おまえの
口説
(
くぜつ
)
をこめた文が目あてだったというのかい
右門捕物帖:28 お蘭しごきの秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
其夜の夢に
逢瀬
(
おうせ
)
平常
(
いつも
)
より嬉しく、胸あり
丈
(
た
)
ケの
口説
(
くぜつ
)
濃
(
こまやか
)
に、恋
知
(
しら
)
ざりし珠運を
煩悩
(
ぼんのう
)
の
深水
(
ふかみ
)
へ導きし
笑窪
(
えくぼ
)
憎しと云えば、
可愛
(
かわゆ
)
がられて喜ぶは浅し
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
此間
(
こないだ
)
の晩もあるのに、あんまり来ようが遅いから、来たら
些
(
ちょい
)
と
口説
(
くぜつ
)
を言ってやろう、それでも最う来るだろうから、一つ寝入った風をしていてやれ
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
こんな
口説
(
くぜつ
)
よろしくあって、種員は思いも掛けぬ馬鹿に
幸福
(
しあわせ
)
な一夜を過し
翌朝
(
あくるあさ
)
ぼんやり
大門
(
おおもん
)
を出たのであった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
どれこの花束を買ひませう。おやおや氣でもちがつたか。そして心で笑ひつつ、
薔薇
(
ばら
)
の花束ひと
抱
(
かかへ
)
、さきの
口説
(
くぜつ
)
もどこへやら、マノンのとこへ飛んで行く。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
こういう私ですがね、笑い事じゃあるけれども、夢で般若が追廻すどころか、口で、というと、大層
口説
(
くぜつ
)
でもうまそうだ。そうじゃない、心で、お絹さんを……
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
富岡は冷い茶をすゝり
乍
(
なが
)
ら、寒いので、膝を貧乏ゆすりして、ゆき子のヒステリックな
口説
(
くぜつ
)
を聞いてゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
千代の
口説
(
くぜつ
)
は
至極
(
しごく
)
簡短になっていましたが、これは
已
(
や
)
むを得ますまい。いろは送りも無論ありません。
米国の松王劇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
べたべたと客にへばりつき、ひそひそ声の
口説
(
くぜつ
)
も何となく蝶子には気にくわなかったが、良い客が皆その女についてしまったので、追い出すわけには行かなかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
果して全部が偽りの
口説
(
くぜつ
)
であったかどうか、それは、わかったものじゃ無いと私は思って居ります。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「止めたところで止まらねえ俺だ、愚痴も
口説
(
くぜつ
)
も聞き飽きた。未練のあるうちよ、そんなもなア」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「よしんばそれが、ただの
口説
(
くぜつ
)
にしたところで、おいらにゃ一向、身におぼえのないことさ」
ムツェンスク郡のマクベス夫人
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
「ははは、逢えば、そのまま、
口説
(
くぜつ
)
して、と唄の通りだの。それで、富士春、妹なら?」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
よそから
口説
(
くぜつ
)
の多い克子の向こう見ずな振舞が、ただ持前の負けぬ性質からだけではなく、不具の子に与えられた武器なのだと思い、それで克子をとがめだてはできないのだぞと
赤いステッキ
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
とこういう
口説
(
くぜつ
)
なんでげして、その策略がすっかりこうを奏したと思いなせえ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
したがって『八犬伝』の人物は全く作者の空想の産物で、歴史上または伝説上の名、あるいは街談
口説
(
くぜつ
)
の
舌頭
(
ぜっとう
)
に
上
(
のぼ
)
って伝播された名でないのにかかわらず児童走卒にさえ諳んぜられている。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
やたらに昔の
口説
(
くぜつ
)
が恋しくてたまらなくなっていた。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
彼女は
閨房
(
けいぼう
)
の
口説
(
くぜつ
)
にいつもこの手を出すのである。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
脂肪
(
あぶら
)
の
口説
(
くぜつ
)
小熊秀雄全集-02:詩集(1)初期詩篇
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
近頃はお角の弟子達を全部斷つて、肌寒くなりまさる晩秋の一夕を、長火鉢を挾んで
口説
(
くぜつ
)
の絲をたぐるのに餘念もなかつたのです。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
猥談
(
わいだん
)
猥語
(
わいご
)
も出かねない。巧雲はおとりもちを人にまかせて、いつか小部屋の暗がりに如海をひきいれて
口説
(
くぜつ
)
していた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、行きついたその吉原は、
灯影
(
ほかげ
)
に
艶
(
なま
)
めかしい
口説
(
くぜつ
)
の花が咲いて、人の足、脂粉の香り、見るからに浮き浮きと気も浮き立つような華やかさでした。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
外記と馴染みそめたその当座は、自分たちの間にもそうしたおさない他愛ない
痴話
(
ちわ
)
や
口説
(
くぜつ
)
の繰り返されたことを思い出して、三年前の自分がそぞろに懐かしくなった。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さるからに
口説
(
くぜつ
)
の際も常に予を戒めて、ここな性悪者め、
他
(
あだ
)
し
女子
(
おなご
)
に見替えて
酷
(
むご
)
くも我を棄つることあらば
呪殺
(
のろいころ
)
してくれんずと、凄まじかりし顔色は今もなお
眼
(
まなこ
)
に在り。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
惚
(
ほれ
)
た同士が二人きりで
外
(
ほか
)
に誰もいないのでげすから、
偶
(
たま
)
には痴話や
口説
(
くぜつ
)
で夜更しをして思わぬ朝寝もしましょうし、また雨なんかゞ降るときはまだ夜が明けないと存じて
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いはんや
外
(
ほか
)
の芸事とはちがひ
心中物
(
しんじゅうもの
)
ばかりの
薗八節
(
そのはちぶし
)
けいこ致させ
惚
(
ほれ
)
ねばならぬ殿ぶりに宵の
口説
(
くぜつ
)
をあしたまで持越し髪のつやぬけてなど申すところはとりわけ
情
(
じょう
)
をもたせて語るやう日頃
註文
(
ちゅうもん
)
致を
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何が何だか、さっぱりわけのわからない
口説
(
くぜつ
)
になって来た。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
お半はとうとう、独り
口説
(
くぜつ
)
に実が入って、
匕首
(
あいくち
)
まで持出し、一緒に死んでくれとでも言って文三郎に絡み付いた事だろう。
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
さっさと
登
(
あが
)
っていった家は意外と言えば意外ですが、先程宵のうちに待ち伏せていて、恋慕の
口説
(
くぜつ
)
を掻きくどいたあの散茶女郎水浪のいる淡路楼でした。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「はははは。それが新田の親切気か。高氏が遊女でもあることなら、これや、うれしがる
口説
(
くぜつ
)
かもしれん」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お半は到頭、獨り
口説
(
くぜつ
)
に實が入つて、
匕首
(
あひくち
)
まで持出し、一緒に死んでくれとでも言つて文三郎に絡み付いた事だらう。
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いや、弦之丞も人間だから、そりゃ、大望の途中にだって、痴話や
口説
(
くぜつ
)
もやるだろうが、お綱という女がついている。ははあ、それでお米も目がさめたんだな。そうだ、そうに違えねえ。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
菊がねだったのやら、そちが
拗
(
す
)
ねたのやら知らぬが、別れともない、別れて行くはいやじゃ、なら御一緒にと憎い
口説
(
くぜつ
)
のあとで、手に手をとりながら参ったであろうが喃。ウフフ、あはは。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「親分、若旦那は
亥刻
(
よつ
)
(十時)少し過ぎに六間堀に歸つて、小唄の師匠のお勝と泣いたり笑つたり夜半まで
口説
(
くぜつ
)
の擧句、到頭隣長屋から苦情が出たさうですよ」
銭形平次捕物控:179 お登世の恋人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
口説
(
くぜつ
)
に訴えてみせるばかり……。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あの娘もそう言いましたよ、せめて
口説
(
くぜつ
)
は江戸言葉にして下さい——とね」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あの
娘
(
こ
)
もさう言ひましたよ、せめて
口説
(
くぜつ
)
は江戸言葉にして下さい——とね」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「乞食のやうな虎松を引入れて、大變な
口説
(
くぜつ
)
をしたといふのだらう」
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「有難く聽聞してゐるよ——地獄極樂の
口説
(
くぜつ
)
よりは面白さうだ」
銭形平次捕物控:280 華魁崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ピカ/\後光が射して見ねえ、
眩
(
まぶ
)
しくて
口説
(
くぜつ
)
もなるめえ」
銭形平次捕物控:267 百草園の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“口説(クドキ)”の解説
クドキ(くどき)は、浄瑠璃や歌舞伎のクライマックスで俳優と浄瑠璃とで演じる個所。「口説き」ともいう。元来は平曲や謡曲あるいは説経節で登場人物の悲しみを歌う演出であったものが、近世以降各種の口承文芸の演出も加わり多様化した。
(出典:Wikipedia)
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
説
常用漢字
小4
部首:⾔
14画
“口説”で始まる語句
口説落
口説立
口説節