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半刻
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はんとき
ふりがな文庫
“
半刻
(
はんとき
)” の例文
やや
半刻
(
はんとき
)
ほどは、灯も白々と、以後の物語りで二人とも持ちきった。そして、上杉憲房の蔭での大きな働きに話はやがて移っていた。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あと
半刻
(
はんとき
)
ぐらいだと思います」と登は云った、「意識もないし、もう苦痛も感じないでしょう、半刻はもたないかもしれません」
赤ひげ診療譚:02 駈込み訴え
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「さようでござりやす。気分がすぐれぬとか申して、てまえがこちらへ出かける
半刻
(
はんとき
)
ほどまえに、親もとへ帰りましたげにござりやす」
右門捕物帖:31 毒を抱く女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「親分方へ正伝寺と言ったが、あれは広徳寺の間違いだから、大急ぎで親分方に教えて来ると言って、
半刻
(
はんとき
)
ばかり前に出かけましたよ」
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鉢巻をしめて頭上に
松明
(
たいまつ
)
をさしこみ、これに火をともして荒れ模様の夜の海を
半刻
(
はんとき
)
あまりも泳いできたのである。
わが血を追ふ人々
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
さて其の後、二人とも
何処
(
いづこ
)
にか行きけむ。声も無く、足音もきこえず。
半刻
(
はんとき
)
あまりの間、寺内、森閑として物音一つせず。谷々に啼く山鶯の声のみ
長閑
(
のどか
)
なり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
角町から三筋通り、辻を曲がって藪小路、さらに花木町緑町、
聖天
(
しょうでん
)
前を右へ抜け、しばらく行くと坂本町……二人の武士は附かず離れず
半刻
(
はんとき
)
あまりも歩いて行った。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これから
半刻
(
はんとき
)
ばかり以前の事である。
藤判官
(
とうほうがん
)
の屋敷を、表から襲った
偸盗
(
ちゅうとう
)
の一群は、中門の右左、車宿りの
内外
(
うちそと
)
から、思いもかけず射出した矢に、まず肝を破られた。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「まだお帰りではねえのです。
半刻
(
はんとき
)
ほど前から、お客さんが見えて、待っていなさるけれど」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
天地は広大だが、われらの眼の力は、十里の先は及ばない。いまという今は、
海原
(
うなばら
)
しか見えないが、便り船はついそこまで来ていて、
半刻
(
はんとき
)
のうちに、帆影を見せまいものでもない。
藤九郎の島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
半刻
(
はんとき
)
ほども黙って坐っていると、藪蚊が四方から物凄いほどに唸って来た。
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すべてはものの
半刻
(
はんとき
)
と
経
(
た
)
たぬ、ほんの
僅
(
わず
)
かの
間
(
ま
)
のことでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ものの
半刻
(
はんとき
)
ばかりで、お由利もかえってまいりました
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それから小半日——いや實は四
半刻
(
はんとき
)
(三十分)とも經たないのですが、外で待つてゐる八五郎には、小半日ほどの長さに感じたのです。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その間に船津橋をくぐってすぐに左の三角
洲
(
す
)
、えびす島の船番所で、川支配の役人から
定例
(
じょうれい
)
のとおりな
船検
(
ふなあらた
)
めをされる。この間が約
半刻
(
はんとき
)
。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一カ所は方面違いの
厩河岸
(
うまやがし
)
ぎわですがね、その飛び離れたところへ、
半刻
(
はんとき
)
と違わねえのに同一人らしいおかしな野郎が押し込みゃがってね
右門捕物帖:13 足のある幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
姫への教授は一回に
半刻
(
はんとき
)
と定っていた。磯野女史によく注意されたが、ほんの型を教えるだけで、それもごく控えめにやらなければならない。
みずぐるま
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
半刻
(
はんとき
)
あまりも経った頃、正次と篠姫と和田兵庫とが、書院でつつましく話していた。正次の前には三宝に載せた「養由基」の一巻があった。姫から正次へ譲られたものである。
弓道中祖伝
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あのさむらいものはまだ
半刻
(
はんとき
)
、小半刻ここにいる。その間に帰ったら、また明日出直してこい。お彼岸ももうすぎた、今日でなければ網をおろせないということもあるめいからの。
顎十郎捕物帳:04 鎌いたち
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ひかれて一年間ただ遊ばせた利子は母家から返済していただかねばなりません。年利一割半の算用で、ちょうど今日が満一年目、元日に
半刻
(
はんとき
)
かかっても二年目の利子をいただきまする
屋根裏の犯人:――『鼠の文づかい』より――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
三度三度その通りで、
半刻
(
はんとき
)
も経って行ってみると、膳の物は綺麗にたべ尽してあるそうでございます。まあ、それで当分は何事もなかったのでございますが、四月の
二十日
(
はつか
)
のことだと申します。
半七捕物帳:20 向島の寮
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それから約
半刻
(
はんとき
)
……と申しますと只今の一時間で御座いますな。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
皆川半之丞は、再三再四断りましたが、平次はそれに押っ冠せて、根気よく、頼み込み、とうとう
半刻
(
はんとき
)
(一時間)ほど経った頃
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
半刻
(
はんとき
)
の余も、泳いでは河原に上がって、太陽に肌を
焦
(
や
)
き、また、川へ躍り入っては、
河童
(
かっぱ
)
のように、存分水と
戯
(
たわむ
)
れていた信長は
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寝所へはいり、灯を暗くして、夜具の中へ横になってから、およそ
半刻
(
はんとき
)
あまりすると、さらに思いがけないことが起こった。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とぼとぼと出かけていったその伝六が、駕籠をつらねて可賀ともどももどり帰ったのは、
半刻
(
はんとき
)
とたたないまもなくでした。
右門捕物帖:31 毒を抱く女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
この時から
半刻
(
はんとき
)
ばかり経った時、龕燈の光で
往来
(
みち
)
を照らしながら、老人と少年と女猿廻しとが、秋山様通りの辺りを通っていた。
昨夜
(
ゆうべ
)
御用地の林の中にいた、その一組に相違なかった。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その声におどろかされて、ある人々はかれの指さす方に眼をやったが、広い
干潟
(
ひがた
)
に潮のよせてくるような景色はみえなかった。きょうの夕潮までにはまだ
半刻
(
はんとき
)
あまりの間があることは誰も知っていた。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
でも、ほんの四
半刻
(
はんとき
)
の又半分ほどの間に二千五百兩の小判の入つた三つの錢箱が、左吉松の手で爐の下に隱されたことは確かだ。
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「これやあ、城とも呼べない小城じゃないか。
陪臣者
(
ばいしんもの
)
の佐久間の家来が住むにはかっこうな
虫籠
(
むしかご
)
だ。踏みつぶすには、
半刻
(
はんとき
)
ともかかるまい」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それはほぼ
半刻
(
はんとき
)
くらい経ってからのことであるが、彼女がそう思ったのと符を合わせたように、甲斐がおくみと呼びかけた。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
城主
丹羽
(
にわ
)
長国は、置物のようにじっと
脇息
(
きょうそく
)
に
両肱
(
りょうひじ
)
をもたせかけて、わざと
灯
(
あか
)
りを消させた奥書院のほの白い
闇
(
やみ
)
の中に、もう
半刻
(
はんとき
)
近くも端座し
乍
(
なが
)
ら
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
(ナーニ
半刻
(
はんとき
)
のご辛棒で。自然と息を吹き返しまさあ)
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そのうえ床を
剥
(
は
)
いだり、天井を覗いたり、清吉まで手伝って
半刻
(
はんとき
)
(一時間)ばかり掻き廻しましたが、小判はおろか、
鐚
(
びた
)
一枚出て来ません。
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
半刻
(
はんとき
)
も経ったろうか。もう剣槍のひびきもなく、館もあらまし焼け落ちたかと思われる頃、井戸のふちで明智の兵の声がした。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半刻
(
はんとき
)
ばかりまをつなぐのが双方とも精いっぱいだったろう、女中が火のはいった行燈を持って来たのをしおに、さわは立ってその座敷を去った。
榎物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
秋たちこめた江戸は、松に栄えた
濠
(
ほり
)
ばたあたり、柳並み木の行き行く道に、わびしげなわくら葉を散らして、豆名月の月の出にはもう
半刻
(
はんとき
)
とない暮れ六ツ少し手前でした。
右門捕物帖:18 明月一夜騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「おおよそ
半刻
(
はんとき
)
、半刻前じゃ」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、都田川を
背水
(
はいすい
)
にしいて、やや、
半刻
(
はんとき
)
あまりの苦戦をつづけていると、フイに、思いがけぬ
方角
(
ほうがく
)
から、ワーッという
乱声
(
らんせい
)
があがった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次と八五郎は、それから
半刻
(
はんとき
)
(一時間)ばかり、舞台の下の土まで掘って捜しましたが、そこには金の茶釜などを隠した様子もありません。
銭形平次捕物控:092 金の茶釜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は
半刻
(
はんとき
)
ばかりそうしていた、自分の孤独な性分や、母と折合えない淋しさや、生きることがいかに退屈であるか、などということを云い続けた。
おばな沢
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かれこれも
半刻
(
はんとき
)
近くにもなるのに、どうしたことかなしのつぶてでしたから、物に動じない名人もいささか腹をたてて、いぶかりながらふたりのお小屋へ自身迎えにいってみると
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
出口は
錠前
(
じょうまえ
)
、窓は鉄格子、
半刻
(
はんとき
)
あまりも押したり探ったりしているうち、隅の床板に、指が一本入るくらいな穴を見つけた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに、時計もラジオもない世の中で、
半刻
(
はんとき
)
(一時間)や
四半刻
(
しはんとき
)
(三十分)の喰い違いは、どうにでも
誤魔化
(
ごまか
)
せたのです。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ゆみは
半刻
(
はんとき
)
ほどまえに発作を起こしたが、いつもの薬を飲んで熟睡したから、鍵を掛けて出て来た、ともお杉は云った。
赤ひげ診療譚:01 狂女の話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
丁日
(
ちょうび
)
は呉服橋北町お番所の面々、
半日
(
はんび
)
は
数寄屋橋
(
すきやばし
)
南町お番所詰めの面々が、秋口のひと月間、一日おきにこのお馬場へやって来て、朝のうちの
半刻
(
はんとき
)
ずつ馬術を練るならわしなのです。
右門捕物帖:33 死人ぶろ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
だいたい五十回ばかりの予定で始めたのであるが、第一日の講義を
半刻
(
はんとき
)
ほど聴いたとき、とつぜん「ああ」という奇妙な
呻
(
うめ
)
きのような声をあげた。
桑の木物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それから
半刻
(
はんとき
)
ともたたないうち、喜連格子はちゃんと閉まって、元の通り、ここに何の異常も認められなくなっている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ところで番頭さん、あれだけの
鋸引
(
のこぎりび
)
きが、聞えなかつたのは何う言ふわけだらう。あんな大穴を二つもあけるには、どうしたつて
半刻
(
はんとき
)
はかゝるが」
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
半刻
(
はんとき
)
たっても、一刻たっても、奇態と姿を見せなかったものでしたから、名人も少々不審の首をかしげているとき——、ドコドコ、ドコドンと景気よく鳴りだしたのは、娘手踊りの小屋からか
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
半
常用漢字
小2
部首:⼗
5画
刻
常用漢字
小6
部首:⼑
8画
“半”で始まる語句
半
半分
半纏
半襟
半纒
半身
半年
半切
半歳
半間