其處此處そここゝ)” の例文
新字:其処此処
其處此處そここゝには救助すくひもとむるこゑたえ/″\にきこゆるのみ、わたくしさひはひ浮標ブイうしなはで、日出雄少年ひでをせうねんをば右手めてにシカといだいてつた。
こゝにおいて、はじめは曲巷ちまた其處此處そここゝより、やがては華屋くわをく朱門しゆもんされて、おくらざるところほとんすくなく、かれすもの、不具ふぐにしてえんなるををしみて、金銀きんぎん衣裳いしやうほどこす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
至極しごくそゝくさとおちつききが差配さはいのもとにきたりて此家このいへたしといふ、案内あんないして其處此處そここゝ戸棚とだなかずなどをせてあるくに、其等それらのことは片耳かたみゝにもれで、たゞ四邊あたりしづかとさはやかなるをよろこ
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
甲板かんぱん其處此處そここゝには水兵すいへい一群いちぐん二群にぐん、ひそ/\とかたるもあり、たのわらふもあり。武村兵曹たけむらへいそう兩眼りやうがんをまんまるにして
……ひとみ水晶すゐしやうつたやうで、薄煙うすけむりしつとほして透通すきとほるばかり、つき射添さしそふ、とおもふと、むらさきも、萌黄もえぎも、そでいろ𤏋ぱつえて、姿すがた其處此處そここゝ燃立もえたは、ほのほみだるゝやうであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくし三々五々さん/\ごゞむれをなして、其處此處そここゝつてる、顏色いろ際立きはだつてしろ白耳義人ベルギーじんや、「コスメチツク」で鼻髯ひげけんのやうにかためた佛蘭西フランス若紳士わかしんし