くはだて)” の例文
如何いかなるくはだてか、内證ないしようはずわざ打明うちあけて饒舌しやべつて、紅筆べにふで戀歌こひうた移香うつりがぷんとする、懷紙ふところがみうや/\しくひろげて人々ひと/″\思入おもひいれ十分じふぶんせびらかした。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
僕のくはだてを推量したのであらうと思つた。此下男は一昨年、僕が始めて東京に往つたとき、僕をおぶつて山越をした男である。
すかんぽ (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
質樸しつぼくな職人気質かたぎから平八郎がくはだての私欲を離れた処に感心したので、ひて与党に入れられたうらみを忘れて、生死を共にする気になつたのである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そこで将門興世王をおほいに恨んで、京に馳せ上つて、将門興世王謀反のくはだてを致し居る由を太政官に訴へた。六孫王の言であるから忽ち信ぜられた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
王者の如くインノチェンツィオにそのいかめしきくはだてあかし、己が分派わかれのために彼より最初の印を受けたり 九一—九三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
いかんとなればおん身は光る石をひろはんとのくはだてにはあらず、妖物ばけもの退治たいぢせんとて川へいたり、おん身よりは我先われさきに川へ飛いり光りものをさぐりあてゝかづきあげしも我なり
願はくは人々彼をいさめて、さる無謀のくはだてを思ひ留まらしめ給へとぞいひける。
多の市が珍らしくお祝の酒を買はせたと聞いた晩、お皆は到頭このくはだての實行に取かゝりました。お濱は其處で氣が付きましたが、母の仕業と知つて、素知らぬ振りで狸寢入りをしてゐたのです。
大佐閣下たいさかつか餘程よほどまへからこのくはだてはあつたので、すでに製圖せいづまで出來できるのだが、海底戰鬪艇かいていせんとうていほういそがしいので、ちからけること出來できず、いづてい竣成しゆんせい製造せいぞう着手かゝらうとおつしやつてるのだが
此度このたびくはだて残賊ざんぞくちゆうして禍害くわがいつと云ふ事と、私蓄しちくあばいて陥溺かんできを救ふと云ふ事との二つをこゝろざした者である。しかるにかれまつたく敗れ、これは成るになん/\としてくじけた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
いかんとなればおん身は光る石をひろはんとのくはだてにはあらず、妖物ばけもの退治たいぢせんとて川へいたり、おん身よりは我先われさきに川へ飛いり光りものをさぐりあてゝかづきあげしも我なり
平次もこの恐ろしいくはだての意味は讀みかねました。
しかし私は創造力の不足と平生の歴史を尊重する習慣とに妨げられて、此くはだて抛棄はうきしてしまつた。
椙原品 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
兄がいはく、光る石をひろしは我がくはだてなり、なんぢは我がちからたすけしのみなり、光る石は親のゆづりにあらず、兄が物なり。家財かざいわかつならばおやのゆづりをこそわかつべけれ、あたふまじ/\。
諧謔味かいぎやくみを帶びたくはだてとも言へるでせう。
兄がいはく、光る石をひろしは我がくはだてなり、なんぢは我がちからたすけしのみなり、光る石は親のゆづりにあらず、兄が物なり。家財かざいわかつならばおやのゆづりをこそわかつべけれ、あたふまじ/\。