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ぎょうぎょう
ふりがな文庫
“
仰々
(
ぎょうぎょう
)” の例文
いやに儀式ばった
挨拶
(
あいさつ
)
を来る人たちへ
強
(
し
)
いられたり、着たくもない妙な
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい着物を着せられるのであるそれが泣くほど
辛
(
つら
)
かった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
そこには予期した通り、いや予期以上の
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しさで、百貨店の珍事が報道してあった。二面の大半がその激情的な記事で
埋
(
うず
)
まっていた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それが、一同
対
(
つい
)
の鼠いろの
木綿袷
(
もめんあわせ
)
に浅黄の袴、
足半
(
あしなか
)
という古式の
脚絆
(
きゃはん
)
をはいているところ、今や
出師
(
すいし
)
の鹿島立ちとも見るべき
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しさ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しいのねえ、お前は! そんな筈はありませんよ。栗林さんにも新井さんにも私から呉れ/″\も頼んであるんですもの」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お松は何のことだかわかりませんで、ただこの女のお客が自分を見て
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい表情をしたことを、少しくおかしく思いながら
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
頼長はそれをひと目見て、彼女の
僭上
(
せんじょう
)
を責めるよりも、こうした
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい姿にいでたたせた兄忠通の非常識に対して十二分の
憤懣
(
いきどおり
)
を感じた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ぐっと
伸
(
の
)
ばした
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
手先
(
てさき
)
へ、
春重
(
はるしげ
)
は
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく
糠袋
(
ぬかぶくろ
)
を
突出
(
つきだ
)
したが、さて
暫
(
しばら
)
くすると、
再
(
ふたた
)
び
取
(
と
)
っておのが
額
(
ひたい
)
へ
押
(
お
)
し
当
(
あ
)
てた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
如何なる名探偵と
雖
(
いえど
)
も、絶対に歯を立て得ない迷宮事件の核心を作るものは、外ならぬこの「純粋犯罪心理」……とか何とか
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく吹き立ててあった。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい旗さし物だの、家の紋だのを、背中にさして戦うのは、名誉慾の
印
(
しるし
)
をかかげているようなものだ。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あのように
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しさと費用とをもってした南洋探険隊〔英国のサー・ジェームス・ローズが率いた一八三九—四三年の遠征〕の意味したことは結局、精神世界には
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
チベット人はいつも嘘を
吐
(
つ
)
いたり
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい事を言うのが癖で、もし途中でこのお方は法王の侍従医だなんて、仰々しい事を言われるとかえって
妨
(
さまた
)
げになるだろうと思い
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
恁
(
こ
)
う
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく
言出
(
いいだ
)
すと、
仇
(
かたき
)
の
髑髏
(
しゃれこうべ
)
か、毒薬の
瓶
(
びん
)
か、と驚かれよう、
真個
(
まったく
)
の事を言ひませう、さしたる儀でない、
紫
(
むらさき
)
の
切
(
きれ
)
を掛けたなりで、一
尺
(
しゃく
)
三
寸
(
ずん
)
、
一口
(
ひとふり
)
の
白鞘
(
しらさや
)
ものの刀がある。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
福徳の
大神
(
おおかみ
)
に祟られた物狂いでも踊っているか、さもなければ
迂闊
(
うかつ
)
な
近江商人
(
おうみあきゅうど
)
が、
魚盗人
(
うおぬすびと
)
に荷でも
攫
(
さら
)
われたのだろうと、こう私は考えましたが、あまりその騒ぎが
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しいので
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
警部モロは、電話で相手とはなしながら、長官アンドレ大佐に、
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい目配せをした。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
酔いの残っている範覚は、こう云うと
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく胸を張り、金剛杖をつき
反
(
そ
)
らして見せた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
看護婦が二人おりますでしょう?
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく二人置いてあるわけではないのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
悲しく
逝
(
い
)
った、浪路にして見れば、一たん、そこから
遁
(
のが
)
れて来た、松枝町の三斎屋敷になき
骸
(
がら
)
を持ちかえされて、
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく、おごそかな
葬
(
はぶ
)
りの式を挙げられようより、いのちを賭けた雪之丞の
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
私は物堅いのに少し驚ろいて、そして出しなに
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しいとは思いながら、招待の紋服を着て来たことを、自分で手柄に思った。娘もこの間の宴会帰りとは違った隠し紋のある
裾模様
(
すそもよう
)
をひいている。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
児戯に類した点や、わざとらしい感激や、言葉身振り態度の
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい虚偽などに、彼はいかにも恥ずかしい気がして、管絃楽を指揮しながらも時々、指揮棒を振り上げる力がなくなるほどだった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
鬼婆で名高い
浅茅
(
あさじ
)
ヶ原に近いだけに、鬼娘の噂がそれからそれへと
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく伝えられて、残暑の強いこの頃でも、気の弱い娘子供は日が暮れると
門涼
(
かどすず
)
みに出るのを恐れるようになった。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そのほか、
日傘
(
ひがさ
)
をかざすもの、
平張
(
ひらばり
)
を空に張り渡すもの、あるいはまた
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく
桟敷
(
さじき
)
を路に連ねるもの——まるで目の下の池のまわりは時ならない
加茂
(
かも
)
の祭でも渡りそうな景色でございます。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「左様なことはこちらの知ったことではない、それしきのことに、
斯様
(
かよう
)
に
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく多勢が打連れて参るのは、
上
(
かみ
)
を怖れぬ振舞、表沙汰に致すとその分では済ませられぬ、今のうちに帰れ、帰れ」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しさが彼には困惑なのである。男山の奇禍はかたく口止めしておいたのに、もうすべてに洩れているらしい。おおいがたい激昂が彼らにみえる。それが尊氏には心にそむくものらしい。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
最前の若者が
謝礼心
(
れいごころ
)
でしたに相違ないことを
無下
(
むげ
)
に
退
(
しりぞ
)
けるのも
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しい……といってこれは
亦
(
また
)
、何という念入りな計らい……年に似合わぬ不思議な気転……と思ううちに又しても異妖な前髪姿が
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「それは女である。しかも若い女である」と帆村は
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく云った。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この晩、調べに来た役人というのは
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しいものでありました。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さてはと思ったのみで、
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく立ち騒ぎもしなかった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
々
3画
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仰々子