中腹ちうふく)” の例文
このほこらいたゞく、鬱樹うつじゆこずゑさがりに、瀧窟たきむろこみちとほつて、断崖きりぎし中腹ちうふく石溜いしだまりのいはほわづかひらけ、たゞちに、くろがね階子はしごかゝ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのをか中腹ちうふくにて、櫻木大佐等さくらぎたいさら手巾ハンカチーフり、帽子ぼうしうごかして姿すがたも、やが椰子やし橄欖かんらんがくれにえずなると、それから鐵車てつしや全速力ぜんそくりよくに、はずやまはず突進つきすゝ
相憐あひあはれんで曰く泣面なきづらはちとは其れ之をふ乎と、午後五時井戸沢山脈中の一峯にのぼ露宿ろしゆくる、高四千五百尺、かへりみれば前方の山脈其中腹ちうふく凹所わうしよに白雪を堆くし、皚々眼を射る
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ときおつぎのこゝろにはなゝめ土手どて中腹ちうふくへつけられた小徑こみち見出みいだしてほど餘裕よゆうがなかつたのである。土手どて内側うちがは水際みづぎはからしのが一ぱい繁茂はんもして夜目よめにはそれがごつしやりと自分じぶんあつしてえる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いま弦月丸げんげつまる側面前方そくめんぜんぱうやく米突メートル以内いない接迫せつぱくきたつた海蛇丸かいだまるは、忽然こつぜんその船首せんしゆ左方さほう廻轉くわいてんするよとに、そのするど衝角しようかくあたか電光石火でんくわうせきくわごとく、本船ほんせん中腹ちうふく目撃めがけてドシン※