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ちうふく
この
祠を
頂く、
鬱樹の
梢さがりに、
瀧窟に
似た
径が
通つて、
断崖の
中腹に
石溜りの
巌僅に
拓け、
直ちに、
鉄の
階子が
架る
其丘の
中腹にて、
櫻木大佐等が
手巾を
振り、
帽子を
動かして
居る
姿も、
頓て
椰子や
橄欖の
葉がくれに
見えずなると、それから
鐵車は
全速力に、
野と
云はず
山と
云はず
突進む
相憐んで曰く
泣面に
蜂とは其れ之を
云ふ乎と、午後五時井戸沢山脈中の一峯に
上り
露宿を
取る、高四千五百尺、
顧みれば前方の山脈其
中腹の
凹所に白雪を堆くし、皚々眼を射る
其の
時おつぎの
心には
斜に
土手の
中腹へつけられた
小徑を
見出して
居る
程の
餘裕がなかつたのである。
土手の
内側は
水際から
篠が一
杯に
繁茂して
夜目にはそれがごつしやりと
自分を
壓して
見える。