“たちき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
立木42.3%
立樹30.8%
断切5.8%
切断3.8%
截切3.8%
截斷1.9%
断截1.9%
斷切1.9%
立切1.9%
絶切1.9%
裁切1.9%
裁断1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
惜しい夜もけた。手をきよめに出て見ると、樺の焚火たきびさがって、ほの白いけむりげ、真黒な立木たちきの上には霜夜の星爛々らんらんと光って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
風が出たとみえて、庭の立樹たちきがゴウッ——潮騒しおざいのように鳴り渡って、古い家である、頭のうえで、家棟やむね震動しんどうがむせび泣くように聞えてくる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
……断切たちきった様に笑声がやんだかと思うと、一瞬間に元の生真面目な顔が戻って来た。男は又囁き声で始めた。
白昼夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
見れば種牛はもゝから胴へかけて四つの肉塊かたまり切断たちきられるところ。右の前足の股の肉は、既に天井から垂下たれさがる細引に釣るされて、海綿を持つた一人の屠手が頻と其血を拭ふのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
手は刀を離さず、必死となっ夢我むが夢中、きらめくやいばは金剛石の燈下にまろぶ光きら/\截切たちきる音はそらかく矢羽やばねの風をる如く、一足退すさって配合つりあいただす時はことの糸断えて余韵よいんのある如く、こころ糾々きゅうきゅう昂々こうこう
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
瀧口殿は六波羅上下に名を知られたる屈指の武士、希望に滿てる春秋長き行末を、二十幾年の男盛をとこざかりに截斷たちきりて、樂しき此世を外に、身を佛門に歸し給ふ、世にも憐れの事にこそ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
日の出だ! 大きく盆のようなのが、黒々と見ゆる山査子さんざしの枝に縦横たてよこ断截たちきられて血潮のようにくれないに、今日も大方熱い事であろう。
このはなし何事なにごと分明ぶんめいになつた。それにけても濱島武文はまじまたけぶみむかしながら壯快おもしろ氣象きしやうだ、たゞ一人ひとり帝國ていこく軍人ぐんじん養成ようせいせんがめに恩愛おんあいきづな斷切たちきつて、本國ほんごくおくつてやるとは隨分ずゐぶんおもつたことだ。
「ああ、ひどい目につた。どうもああ乱暴ぢや為様が無い。火事装束ででも出掛けなくつちやとても立切たちきれないよ。馬鹿にしてゐる! 頭を二つばかりぶたれた」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それが無くなる、ある時は机の上に置いた英和辞典を縦横たてよこ絶切たちきって、それにインキで、輪のようなものを、目茶苦茶に悪書あくがきをしてある。
一寸怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その溝の色を白く裁切たちきって刎橋のかかったままのがあった。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
瞬間、白光が、二人の間を裁断たちきった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)