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ぜにかね
ふりがな文庫
“
銭金
(
ぜにかね
)” の例文
旧字:
錢金
「御当家の御親類のお
娘子
(
むすめご
)
をお連れ申しただけのことで、それを
強請
(
ゆすり
)
かなんぞのように
銭金
(
ぜにかね
)
で追っ払いなぞは恐れ入ります」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
長「何だか知りませんが、
他
(
ひと
)
の仕事を疑ぐるというのが
全体
(
ぜんてえ
)
気にくわないから持って帰るんです、
銭金
(
ぜにかね
)
に目を
眩
(
く
)
れて仕事をする職人じゃアございません」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
銭金
(
ぜにかね
)
づくで名乗って来たのじゃござんせん。シガねえ姿はしていても、忠太郎は不自由はしてねえのでござんす。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
いつも
銭金
(
ぜにかね
)
のことが頭に引っかかって夢中になるわけには行かなかった。さればといって、世の中に一途の恋、そんなものが無いとは断じられなかった。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「三十両」と町人は胸で算盤を
弾
(
はじ
)
いてゐた。
逼塞
(
ひつそく
)
した身には三十両といふ
纏
(
まと
)
まつた金は有難かつた。だが、
銭金
(
ぜにかね
)
には替へ難いと思つて来た自慢の髯である。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
○使ふべきに使はず、使ふべからざるに使ふ、是れ
銭金
(
ぜにかね
)
の本質にあらずや。疑義を挟むを要せず。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
まあそう云うなよ。ビクトワール、(「813」及び「黒衣の女」参照)上品で、
銭金
(
ぜにかね
)
で動かされないものは他には無いからね、そんな時にはいつも婆やを思い出して、骨を
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「無理して行って来て、また寝こむようなことになると、
僅
(
わず
)
かな
銭金
(
ぜにかね
)
にゃ代らないよ」。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
並大抵の芸者にはとても
銭金
(
ぜにかね
)
では出来ない
明放
(
あけっぱな
)
しなお千代の様子、それは同じ売女の身をまかすにしても、このお千代ほどその身を根こそぎ勝手自由にさせる女はないと思うと
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ほんというと、家賃くらいは、どうにでもなる。まさかのときにゃ、お宅にでも駈けこめや、玉井さんが、家賃くらいのことはいつでも引きうけてくれる。
銭金
(
ぜにかね
)
じゃなかとたい。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
小苦面
(
こくめい
)
に首を傾げて聞いてゐたが、松太郎の話が終ると、『何しろハア。今年ア作が良くねえだハンテな。奈何だべなア! 神様さア
喜捨
(
あげ
)
る
銭金
(
ぜにかね
)
が有つたら
石油
(
あぶら
)
でも買ふべえドラ。』
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
(
銭金
(
ぜにかね
)
はさて
措
(
お
)
かっせえ、だが、足を濡らすは、厭な
事
(
こん
)
だ。)と云う間も
無
(
ね
)
え。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あたしは
銭金
(
ぜにかね
)
のことなんか云やあしないよ、とおかねはいつも云った。
赤ひげ診療譚:08 氷の下の芽
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「こうなると、
銭金
(
ぜにかね
)
のお
客
(
きゃく
)
じゃァねえ。こちとらの
見得
(
みえ
)
になるんだ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それがこの男にとっては今日
銭金
(
ぜにかね
)
以上の大きな目的になっているのではなかろうか………とこう私は推測しているのでありますが、そうまで考えることはあまりにも
穿
(
うが
)
ちすぎた想像かも知れません。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「よしてくれ、鼻薬なんぞ
嗅
(
か
)
がされると、なお言いにくいや。やくざな弟、ろくでなしな弟。そいつが、たんだ一ぺん。こう兄貴に向って、ちょっぴり威張った顔がしていられるんだ。こいつあ、
銭金
(
ぜにかね
)
に代えられねえ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
銭金
(
ぜにかね
)
を湯水につかふ桜かな
月兎
(
げっと
)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「ちッ! いいかげん待たせやがるぜ、殿様もあれで、
銭金
(
ぜにかね
)
のことになるてえと存外気が長えなあ——できねえもんならできねえで、さっさと引き上げたらいいじゃあねえか。この家ばかりが当てじゃああるめえし。なんでえ! おもしろくもねえ!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
何が物騒なんでしょう、人には親切で、
銭金
(
ぜにかね
)
の切れっばなれはよし、男っぷりだって、まんざらじゃありませんからね。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
舁「何を云うんだ、おらッちは
銭金
(
ぜにかね
)
を貰おうと云うんじゃアねえ、
汝
(
てめ
)
ッちが担ぐというから担げというのだ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「野暮なこと、いいっこなしよ。
銭金
(
ぜにかね
)
で、あたしがやったと思っていなさるの?」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
滝さん、まあ、こうやって、どうする
意
(
つもり
)
だねえ。いいえ、知ってるさ。私だって、そうだったが、殊にお前さん
銭金
(
ぜにかね
)
に不自由はなし、売ってどうしようというんじゃあない、こりゃ
疾
(
やまい
)
なんだ。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを人もあろうに、
銭金
(
ぜにかね
)
にはあんまり縁の遠かりそうな男が、不意にかつぎ込んで来たのですから、大黒童子が戸惑いをして来たようなものです。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
銭が無ければ
宜
(
え
)
い、たゞ埋めて
遣
(
や
)
んべえなどゝいう
捌
(
さば
)
けた坊様だ、其の代りお経なんどは読めねえ様子だが、
銭金
(
ぜにかね
)
の少しぐれえ
入
(
い
)
るような事があって困るなら
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
玉脇
(
たまわき
)
がそれ
鍬
(
くわ
)
の
柄
(
つか
)
を
杖
(
つえ
)
に
支
(
つ
)
いて、ぼろ
半纏
(
ばんてん
)
に
引
(
ひっ
)
くるめの一件で、ああ
遣
(
や
)
って
大概
(
たいがい
)
な華族も及ばん暮しをして、交際にかけては
銭金
(
ぜにかね
)
を
惜
(
おし
)
まんでありますが、
情
(
なさけ
)
ない事には、
遣方
(
やりかた
)
が
遣方
(
やりかた
)
ゆえ、身分
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
銭金
(
ぜにかね
)
のことじゃない。男が、いったん、約束したことは破られん」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
第一、この馬が千両からの
銭金
(
ぜにかね
)
をつけているかいねえか、それまで見きわめちゃいめえがな。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これ
手前
(
てまい
)
は
銭金
(
ぜにかね
)
を無心に参ったのではないが、村方の
商人
(
あきんど
)
が難渋を致す処から再度掛合に参っても侍を権にかい、土民
輩
(
ばら
)
と
侮
(
あなど
)
って不法な挨拶をして帰すので、村方の
商人
(
あきゅうど
)
が難渋致すによって
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それがね、
不可
(
いけ
)
ねえんだ、
銭金
(
ぜにかね
)
ずくじゃないんだってよ。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そりゃ
銭金
(
ぜにかね
)
ずくでは
敵
(
かな
)
わねえけれど
頭数
(
あたまかず
)
で来い、憚りながらこの通り、メダカのお
日待
(
ひまち
)
のように貧乏人がウヨウヨいるんだ、これがみんなピーピーしているからそれで貧乏人なんだ
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ケチな野郎だな、この
銭金
(
ぜにかね
)
という野郎は……
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
銭
常用漢字
小6
部首:⾦
14画
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
“銭”で始まる語句
銭
銭湯
銭塘
銭儲
銭糧
銭函
銭箱
銭勘定
銭形
銭入