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みごしら
ふりがな文庫
“
身拵
(
みごしら
)” の例文
けれど彼女は
衾
(
ふすま
)
には入らなかった。
身拵
(
みごしら
)
えもかいがいしく、密かに尼院を出て、真っ暗な伊豆山の上へと、ただ一人で歩いていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三次、上原、吉川、中野たち、みんな厳重な
身拵
(
みごしら
)
えで、どうやら脱藩するつもりらしい、そのゆきがけの駄賃に意趣をはらそうというのだろう。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
尤
(
もっと
)
も雨の
身拵
(
みごしら
)
えだけは十分にしたことだけれども、大して気にも留めないで土砂降りの中を学校へ出かけて行った。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
(もっとも雨の降る日であったからでもありましょうが、)そう云った
身拵
(
みごしら
)
えで、
早稲田
(
わせだ
)
の
奥
(
おく
)
まで来て下すって
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
聞き
然
(
さ
)
あらぬ
體
(
てい
)
に其所を立出兵庫屋迄行きしが急病と僞り先松葉屋へ立歸りて
心靜
(
こゝろしづか
)
に
身拵
(
みごしら
)
へなし
密
(
そつ
)
と歌浦が座敷を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
壁辰としては、喬之助に繩を打つ時は自分が打つという約束がある。唯ひとり、早速
身拵
(
みごしら
)
えして源助町へ走った。その、壁辰が家を出ようとする時である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
登山服着た青年が二人、同じ
身拵
(
みごしら
)
えの少女が三人。いま大声を発した男は、その一団のリイダア格の、ベレ帽をかぶった美青年である。少し日焼けして、仲々おしゃれであるが、下品である。
八十八夜
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一人の旅人はまだ若い、しかし
凛々
(
りり
)
しく
身拵
(
みごしら
)
えした、気品の勝れた武士であった。もう一人の方は女であった。その武士の妻でもあろうか、旅に
窶
(
やつ
)
れてはいるけれど、美しい
容貌
(
ようぼう
)
は隠せなかった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小者部屋の
行燈
(
あんどん
)
と、食台と、安物の食器だけを残しておいて、大野九郎兵衛の家族は、
身拵
(
みごしら
)
えまでして、そこに集まっていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは東京などで政府反対の演説会があるとき、臨検の警官がみせる
身拵
(
みごしら
)
えで、私はなにかあるなと直感した。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
たとえあの乞食坊主がいつどこで飛び出したところで、帰途の旅は
安穏
(
あんのん
)
しごくというものだ——
身拵
(
みごしら
)
えは江戸へはいる前にでもよッく話してなおしてもらおう。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
付込
(
つけこみ
)
度々無心に來れども
貸
(
かさ
)
ぬ時は
事
(
こと
)
面倒
(
めんだう
)
に成べしと
思案
(
しあん
)
を
爲
(
な
)
して三五郎に向ひ
然
(
さ
)
までに
云
(
いは
)
るゝなれば
我
(
われ
)
今より品川迄用事あつて
行
(
ゆく
)
間
(
あひだ
)
先方
(
せんぱう
)
にて
才覺
(
さいかく
)
致し遣すべしと
頓
(
やが
)
て
身拵
(
みごしら
)
へを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
間もなく厳重に
身拵
(
みごしら
)
えした、東馬と源女とが入って来た。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たった今、家へ逃げ帰って来たお甲は、帰るとすぐ、有合う金や持物を身につけ、旅へ走る
身拵
(
みごしら
)
えに
慌
(
あわ
)
ただしかったが、ふと、
門
(
かど
)
に立った権之助の影に
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは東京などで政府反対の演説会があるとき、臨検の警官がみせる
身拵
(
みごしら
)
えで、私はなにかあるなと直感した。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこ/\に
聞
(
きゝ
)
なし我が
部屋
(
へや
)
に
到
(
いた
)
り
身拵
(
みごしら
)
へして新造禿を引連兵庫屋へ
行
(
ゆく
)
途
(
と
)
中桐屋へ
立寄
(
たちより
)
歌浦さんの御客は上方の衆かと
問
(
とへ
)
ば女房
飛
(
とん
)
で
出
(
いで
)
御前樣の
御言葉
(
おものごし
)
に
能
(
よく
)
似
(
に
)
て
御出
(
おいで
)
なさると云ふを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
櫓
(
ろ
)
音を聞くだけでも、いかに腕強い上手な船頭かがわかるように思われたが、やがて岸へ漕ぎ着けて降りて来た者を見ると、船頭ではない、二人とも旅
固
(
がた
)
めした
身拵
(
みごしら
)
えの
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と休之助に告げ、すぐに
身拵
(
みごしら
)
えをしようとした。それを見て、兵馬がひやかすように云った。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私もその中の一人で、深い
淵
(
ふち
)
へ
墜
(
お
)
ちこみ、寒さは寒し、重い具足や
身拵
(
みごしら
)
え、すんでに凍え溺れるかと思ったところを、繩梯子にすがれと、断崖の上へ、助け上げられたのであります。
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこへ揚羽鶴の家紋を印した
提灯
(
ちょうちん
)
をかざして十四五人の侍たちが殺到し、ぐるっと又三郎をとり囲んだ、みんな足袋はだしに
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだち
)
を取り、
襷
(
たすき
)
、汗止という
身拵
(
みごしら
)
えで、彼をとり囲むとすぐ
野分
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
馬の
沓
(
くつ
)
、火縄、わらじの緒、
身拵
(
みごしら
)
えの構えまで、一瞬の動作が、大きな一体のすがたで忽ち終ると斎藤
内蔵助利三
(
くらのすけとしみつ
)
は、老人とはいえ、百戦に鍛えた武者声をはりあげて、次の如き云い渡しを
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もちまえの気性で、すぐに決心をし、
身拵
(
みごしら
)
えにかかった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
身拵
(
みごしら
)
えも宵とはちがって、
草鞋
(
わらじ
)
をはき、
袴
(
はかま
)
の
裾
(
すそ
)
を巻き
括
(
くく
)
り、大太刀を横ざまに帯びて、
角鷹
(
つのたか
)
のような
険
(
けわ
)
しい眼をあたりへ払っている様子——見るからに
殺伐
(
さつばつ
)
な血のにおいをすぐ思わせる
扮装
(
いでたち
)
なのだ。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
拵
漢検1級
部首:⼿
9画
“身”で始まる語句
身体
身
身上
身装
身扮
身體
身動
身長
身代
身悶