身悶みもだえ)” の例文
つひに倒れし宮は再びつべき力も失せて、唯声をたのみに彼の名を呼ぶのみ。やうやおぼろになれる貫一の影が一散に岡を登るが見えぬ。宮は身悶みもだえしてなほ呼続けつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
白墨狂士は何とかしけむ、そのままどたどたと足を挙げて、苦痛に堪えざる身悶みもだえして、呻吟うめく声ゆるがごとし。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ま、ま、お前さん何でございます、手荒なことを。」とばばは居合腰に伸上って、たもとを取って分けようとするのを、身悶みもだえして振払い、振向いてきっと見て
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
帯緊おびしめながら女はそのはしを振りて身悶みもだえせるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「おお、おお、苦しいから白魚しらおのような手をつかみ、足をぶるぶる。」と五助は自分で身悶みもだえして
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
身悶みもだえして宮のすがるを
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いえぢやあござんせぬ、それ、それ、お法衣ころもそでひたるではありませんか、)といふと突然いきなり背後うしろからおびをかけて、身悶みもだえをしてちゞむのを、邪慳じやけんらしくすつぱりいでつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よじって伸ばす白い咽喉のどが、傷々いたいたしく伸びて、蒼褪あおざめる頬の色が見る見るうちに、その咽喉へくまを薄くにじませて、身悶みもだえをするたびに、踏処ふみどころのない、つぼまった蹴出けだしが乱れました。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(いえじゃあござんせぬ、それ、それ、お法衣ころもそでひたるではありませんか、)というと突然いきなり背後うしろから帯に手をかけて、身悶みもだえをして縮むのを、邪慳じゃけんらしくすっぱりいで取った。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ぬまふち追迫おひせまられる、とあしかふ這上はひあが三俵法師さんだらぼふしに、わな/\身悶みもだえするしろあしが、あの、釣竿つりざをつた三にんのやうに、ちら/\とちういたが、するりとおとして、おびすべると
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
といって、愛吉は椅子にかかりながら身悶みもだえをして見せた、金之助はやけにあごでて
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と微笑をうかべて串戯じょうだんらしく、身悶みもだえをして迫りながら、桂木のひとみすわつた。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
八口やつくちくれないに、腕の白さのちらめくのを、振ってんで身悶みもだえする。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蝶吉が身悶みもだえするのを、主婦おかみは構わずくすぐったが、吃驚びっくりして肩を抱いた。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いやだ、厭だ。」と、しやにむに身悶みもだえして、声高こわだかになると
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
不意ふいたれたやうにさけんで身悶みもだえをしたのは婦人をんな
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)