トップ
>
蹂躙
>
じうりん
ふりがな文庫
“
蹂躙
(
じうりん
)” の例文
強者は道徳を
蹂躙
(
じうりん
)
するであらう。弱者は又道徳に愛撫されるであらう。道徳の迫害を受けるものは常に強弱の中間者である。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
生
(
い
)
ける
犬
(
いぬ
)
を
屠
(
ほふ
)
りて
鮮血
(
せんけつ
)
を
啜
(
すゝ
)
ること、
美
(
うつく
)
しく
咲
(
さ
)
ける
花
(
はな
)
を
蹂躙
(
じうりん
)
すること、
玲瓏
(
れいろう
)
たる
月
(
つき
)
に
向
(
むか
)
うて
馬糞
(
ばふん
)
を
擲
(
なげう
)
つことの
如
(
ごと
)
きは、
言
(
い
)
はずして
知
(
し
)
るベきのみ。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
嫁側はいよ/\憤慨して医者の証明を添へ、貞操
蹂躙
(
じうりん
)
、名誉
毀損
(
きそん
)
で離婚と共に慰藉料請求の訴訟を提訴したものであつた。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
私は当時の姉の
淫
(
みだ
)
らな行為を聯想して、堪らなく憎悪を感じた。私自身の純な生活をも汚され、
蹂躙
(
じうりん
)
されたやうな、強い屈辱を感ぜざるを得なかつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「馬鹿言つてちや困まる、我社の危急存亡に関する一大事なのだ、我々は
全然
(
まるで
)
、篠田の泥靴に
蹂躙
(
じうりん
)
されたのだ——」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
他を陥れなければ止まない
猜疑心
(
きいぎしん
)
、
泥土
(
でいど
)
に
蹂躙
(
じうりん
)
せられた慈悲、深く
染着
(
せんちやく
)
しつつもその染着をわるいと思はない心、さういふ光景は一々かれの眼に映つて見えた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
少
(
わか
)
き思想の実世界の
蹂躙
(
じうりん
)
する所となる事多し、特に所謂詩家なる者の想像的脳膸の盛壮なる時に、実世界の攻撃に
堪
(
た
)
へざるが如き観あるは、止むを得ざるの事実なり。
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
自分の一生を
蹂躙
(
じうりん
)
した男性といふものが憎くて憎くてたまらず、どうかしてかうした不倫の関係から遁れて、女一人で自ら活き自ら教育したいと思つて誰にも知らさず
恋妻であり敵であった
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
自分達の家の中を土足の
蹂躙
(
じうりん
)
に
委
(
ゆだ
)
ね、天井裏から床下までも、殘る
隈
(
くま
)
なく搜索させるのでした。
銭形平次捕物控:181 頬の疵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其意味
(
そのいみ
)
の
繋
(
つな
)
がらぬ、
辻妻
(
つじつま
)
の
合
(
あ
)
はぬ
話
(
はなし
)
は、
所詮
(
しよせん
)
筆
(
ふで
)
にする
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
ぬのであるが、
彼
(
かれ
)
の
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
を
撮
(
つま
)
んで
云
(
い
)
へば、
人間
(
にんげん
)
の
卑劣
(
ひれつ
)
なること、
壓制
(
あつせい
)
に
依
(
よ
)
りて
正義
(
せいぎ
)
の
蹂躙
(
じうりん
)
されてゐること
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
人の手で
愛
(
いつくし
)
まれて居たその当時の夢を、北方の蛮人よりももつと乱暴な自然の
蹂躙
(
じうりん
)
に任されて
顧
(
かへりみ
)
る人とてもない今日に、その夢を未だ見果てずに居るかと思へるのである。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
ところが
大概
(
たいがい
)
の男は此の無能力者に
蹂躙
(
じうりん
)
され苦しめられてゐる………こりや
寧
(
むし
)
ろ宇宙間に最も
滑稽
(
こつけい
)
な現象と
謂
(
い
)
はなければならんのだが、男が若い血の
躁
(
さわ
)
ぐ時代には、本能の要求で女に引付けられる。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
眼光のみ物すごきまで燃え来りて、遂に狂へる如く其地図を靴底に
蹂躙
(
じうりん
)
し、右手に握れる彼の宝典『世界政策』の一冊をさへ寸裂して河中に投ずるに至り、
逆八
(
さかさ
)
の字の
髯
(
ひげ
)
を掻きむしつて悶々する者は
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其
(
その
)
女性を攻撃するのも弱者を
蹂躙
(
じうりん
)
するニイチエズムに外ならない。また
其
(
その
)
詩中に雑多な印象の並存と混乱とを許するのは従来の自由詩を徹底させたものであつて、
此
(
この
)
派の絵や音楽と同じ
行
(
ゆ
)
き方である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
これ
等
(
ら
)
は
日本語
(
にほんご
)
を
蹂躙
(
じうりん
)
するものといふべきである。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
クリストは一時代の社会的約束を
蹂躙
(
じうりん
)
することを顧みなかつた。(売笑婦や
税吏
(
みつぎとり
)
や
癩
(
らい
)
病人はいつも彼の話し相手である。)
続西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
天つ神の
鋒
(
ほこ
)
から滴る潮の
大和島根
(
やまとしまね
)
を凝り成して以来、我々の真に愛するものは常にこの強勇の持ち主である。常にこの善悪の観念を脚下に
蹂躙
(
じうりん
)
する豪傑である。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
尤
(
もつと
)
も一切の社会的
覊絆
(
きはん
)
を
蹂躙
(
じうりん
)
して、その女と結婚する事が男らしい如く、自分の恋を打明けずにおくのも男らしいと云ふ信念から、依然として、
童貞
(
どうてい
)
を守りながら
創作
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
或声 お前は善悪を
蹂躙
(
じうりん
)
してしまへ。
闇中問答
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“蹂躙”の意味
《名詞》
蹂躙(じゅうりん)
踏みにじること。踏みつけること。
暴力や暴威などにより、他人の権利や社会の秩序などを侵害すること。
(出典:Wiktionary)
蹂
漢検1級
部首:⾜
16画
躙
漢検1級
部首:⾜
23画
“蹂躙”で始まる語句
蹂躙下
蹂躙隊