たら)” の例文
われ手をもてわが身を飾るをねがふごとくに彼その美しき目を見るをねがふ、見ること彼の、行ふこと我の心をたらはす。 一〇六—一〇八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
古人こじんいはく近きをはかればたらざるが如く遠きに渡れば乃ち餘り有りと爲す我國わがくに聽訟ちやうしようを云ふ者大概おほむね青砥藤綱あをとふぢつな大岡忠相おほをかたゞすけの兩氏が明斷を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いやしくもこの光陰をもって、これを勉強に施さば、中人ちゅうじんといえどもまた必ず一事業を成すにたらんか。余ここに感ずることありて、日曜日の説を作る。
日曜日之説 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
そも/\越後国は北方の陰地いんちなれども一国いつこくの内陰陽いんやう前後ぜんごす。いかんとなれば天は西北にたらず、ゆゑに西北をいんとし、地は東南にたらず、ゆゑに東南をやうとす。
拾ったとか、なくなったとか、落したとかいう事は多数の児童こどもを集めていることゆえ常に有り勝で怪むにたらないのが、今突然この訴えに接して、自分はドキリ胸にこたえた。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
大伴家持が長歌の一節に、「老人おいびと女童児をみなわらはも、が願ふ、心たらひに、撫で給ひ、治め給へば」
君臣相念 (新字旧仮名) / 亀井勝一郎(著)
豊雄ここに迎へられて見るに、此の富子がかたちいとよく、三〇六よろづ心にたらひぬるに、かのをろち懸想けさうせしことも三〇七おろおろおもひ出づるなるべし。はじめの夜は事なければ書かず。
なげくは愛情まごゝろふかしるしぢゃが、あまりにふかなげくは分別ふんべつたらはぬしるしぢゃ。
するのみならずそれたらねば糸を入れます
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ゆるされのさがたらひぬ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
ベアトリーチェを直ちに照らせる永遠とこしへの喜びその第二の姿をば美しき目に現はしてわが心をたらはしゐたりしとき 一六—一八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
餘程たらぬ生れ付にて下女仲間にても馬鹿々々ばか/\とて遊びものにされる者あり吾助は思ふやう此女ならば必定ひつぢやう我が言ことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もしそれ虚妄きょもうなるがごとき、なんぞ信を開明の民に得るにたらん。いわゆる神教政治なるもの、その実は神教にあらずして、愚民を哄騙こうへんするの術なり。蛮王、一詭道きどうをもって万民を統御とうぎょせんとほっす。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
たらはぬところ相勵あひはげみてつぐのまうさん。
また汝先に立つ者我に請へる者よ、聞くべきことあらばいへ、我はいかなる汝の問ひにもたらはぬ事なく答へんと心構こゝろがまへして來れるなれば。 八二—八四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
をしへよサア平左衞門どうぢや/\と急立せきたてければ平左衞門は微笑ほゝゑみながら夫のことは物のかずたらずと申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
されば彼の待ちあこがるゝを見、我はあたかも願ひに物を求めつゝ希望のぞみに心をたらはす人の如くになれり 一三—一五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
默想に心をたらはしつゝ、橄欖かんらんしる食物くひもののみにて、輕く暑さ寒さを過せり 一一五—一一七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)