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かがや
ふりがな文庫
“
赫
(
かがや
)” の例文
そういう
赫
(
かがや
)
かしい
日和
(
ひより
)
を何か心臓がどきどきするほど美しく感じながら、かわいそうなお前の起きてくるのを心待ちに待っていた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
大人か
小児
(
こども
)
に物を言うような
口吻
(
こうふん
)
である。美しい目は軽侮、
憐憫
(
れんみん
)
、
嘲罵
(
ちょうば
)
、
翻弄
(
ほんろう
)
と云うような、あらゆる感情を
湛
(
たた
)
えて、異様に
赫
(
かがや
)
いている。
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
無論それで好いじゃないか。己が死に向って進んで行くのに、あいつが薄赤い顔をして目を
赫
(
かがや
)
かしていなくてはならないというのだろうか。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
優
(
やさ
)
しい鬼の娘たちに恋をすることさえ忘れたのか、黙々と、しかし嬉しそうに
茶碗
(
ちゃわん
)
ほどの目の玉を
赫
(
かがや
)
かせながら。……
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
又或人が法然から念珠を貰って夜昼名号を唱えていたが、或時フト竹釘に懸けて置くとその一家が照り
赫
(
かがや
)
いていた。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
けれども、うら若い佛蘭西人の目が、一瞬、異樣に
赫
(
かがや
)
いた。彼は小さな薔薇にくちづけをしたのだつた。さうしていま、その薔薇は彼の胸の上でしづかに
萎
(
しを
)
れてゐるだらう。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
それに海近く
棲
(
す
)
んでいる人種の常で、秘密らしく大きく開いた、妙に
赫
(
かがや
)
く目をしている。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
人間が睡たくなるというのは、よくよく考えると日光が真上に
赫
(
かがや
)
いて樹のかげが縮まっているような姿に似ている。——そんなときに、わたしはまた明るい暑い庭さきに立って何か考えている。
とかげ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
だが心の中には明るい火が
赫
(
かがや
)
いている。11500
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
日に
赫
(
かがや
)
ける砂のうへに
額
(
ひたひ
)
すりよせ
生けるものと死せるものと
(旧字旧仮名)
/
アンナ・ド・ノアイユ
(著)
此
赫
(
かがや
)
きと色とを
五月の空
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そういう
赫
(
かがや
)
かしい
日和
(
ひより
)
を何か心臓がどきどきするほど美しく感じながら、かわいそうなお前の起きてくるのを心待ちに待っていた。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私は二階に上がって、隅の方にあった、主のない
座布団
(
ざぶとん
)
を占領した。戸は
悉
(
ことごと
)
く明け放ってある。国技館の電燈がまばゆいように
半空
(
なかぞら
)
に
赫
(
かがや
)
いている。
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
三右衛門は治修にこう問われると、
昂然
(
こうぜん
)
と浅黒い顔を起した。その目にはまた前にあった、不敵な
赫
(
かがや
)
きも宿っている。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
女の姿は、
赫
(
かがや
)
く霧の中へ隠れてしまって、その霧の中から、女の
笑声
(
わらいごえ
)
が聞える。幸福の笑声、歓喜の笑声である。そしてその霧が散ってしまうと、女の踊っているのが見える。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
西忍はその前の晩に満月の光
赫
(
かがや
)
いたのが袂に宿ると夢を見てあやしんでいたのに法然が着いたと聞いて、このことだと思い合わせ、薬湯を設け、美膳をととのえ、さまざまにもてなした。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
たぶん、さうだらう。太陽は、まるで我々のふるさとの眞夏のやうに、重苦しい。しかし、我々が
暇
(
いとま
)
を告げて出立してきたのは、夏の日だつた。女たちのきものが緑のなかにいつまでも
赫
(
かがや
)
いてゐた。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
お姿が
赫
(
かがや
)
いておあらわれなされたのだ。8505
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「そうですかしら。」M君はもう見当がつかないような様子をして、ただ窓の向うに白く
赫
(
かがや
)
いている八つが岳のほうを見つづけていた。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
秀麿は別に病気はないのに、元気がなくなって、顔色が
蒼
(
あお
)
く、目が異様に
赫
(
かがや
)
いて、これまでも多く人に交際をしない男が、一層社交に遠ざかって来た。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼の筐底の古写真は体と不吊合に頭の大きい、徒らに目ばかり
赫
(
かがや
)
かせた、病弱らしい少年を映してゐる。
大導寺信輔の半生:―或精神的風景画―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「もうお
廃
(
よ
)
しなさいよ。あんまり軽はずみですわ。あしたは早く起きなくてはならないのですから、もうお寝なさいよ。」女は男の頬の赤くなって、目の
赫
(
かがや
)
いているのに気が付いた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
どの宝よりも
赫
(
かがや
)
くのだ。あれ、あの形の美は霊の
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
私達の不幸は
赫
(
かがや
)
くことだらう!
窓
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
しかし太陽が
赫
(
かがや
)
いて地上をいくら温めても、前日の
凍
(
こご
)
えからすっかりそれをよみ返らせられないような、高原の冬の日々だった。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
黙って
衝
(
つ
)
っ
伏
(
ぷ
)
して聞いていた文吉は、詞の切れるのを待って、頭を
擡
(
もた
)
げた。
睜
(
みは
)
った目は異様に
赫
(
かがや
)
いている。そして一声「
檀那
(
だんな
)
、それは違います」と叫んだ。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼の
筺底
(
きょうてい
)
の古写真は体と
不吊合
(
ふつりあい
)
に頭の大きい、
徒
(
いたず
)
らに目ばかり
赫
(
かがや
)
かせた、病弱らしい少年を映している。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は彼女の目がいつになく
赫
(
かがや
)
いているのを認めた。——しかし私はさりげなさそうに、今の小さな叫びが耳にはいらなかったらしい様子をしながら
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
取り上げた皿一枚が五分間も手を離れない。そしてお玉の顔は活気のある淡紅色に
赫
(
かがや
)
いて、目は
空
(
くう
)
を見ている。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼は実際顔の赤い、妙に目ばかり
赫
(
かがや
)
かせた、——つまり猿じみた青年だった。のみならず身なりも貧しかった。彼は冬も
金釦
(
きんボタン
)
の制服に古いレエン・コオトをひっかけていた。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「まあ、あなたでしたの?」菜穂子は漸っとふり返ると、少し
窶
(
やつ
)
れたせいか、一層大きくなったような眼で彼を見上げた。その眼は一瞬異様に
赫
(
かがや
)
いた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
お上さんは小さい目を
赫
(
かがや
)
かして、熱心に聞いていたが、この時甘えたような調子でこう云った。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
辰子は
円卓
(
えんたく
)
の上へのり出したまま、黄色い電燈の笠越しに浅黒い顔を
赫
(
かがや
)
かせていた。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
まあ彼女たちはどんなに目を
赫
(
かがや
)
かす事だろう……と、そんな事を考えているうちに、ふいと
眼頭
(
めがしら
)
の熱くなりそうになった目をいそいで脇へ転じると、其処では
木の十字架
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼は海へ張り出した
葭簾張
(
よしずば
)
りの茶屋の手すりにいつまでも海を眺めつづけた。海は白じろと
赫
(
かがや
)
いた帆かけ船を
何艘
(
なんそう
)
も浮かべている。長い煙を空へ引いた二本マストの汽船も浮かべている。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「うん、おれも仕事をするとなりあ」と私は目を
赫
(
かがや
)
かせながら、元気よく答えた。「うんと散歩もするよ」
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
兎の皮の
耳袋
(
みみぶくろ
)
をした顔も妙に生き生きと
赫
(
かがや
)
いていた。
寒さ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いないような目つきをしているのに
漸
(
や
)
っとお気がつきになると、急に御自分も目を
赫
(
かがや
)
かせられながら
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼女はベッドに寝たままそれを受取ると、急に少女らしく目を
赫
(
かがや
)
かせながら、それを読み出した。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それから約三十分後には、僕は何か
赫
(
かがや
)
かしい目つきをしながら、村を北のほうに抜け出し、
平群
(
へぐり
)
の山のふもと、
法輪寺
(
ほうりんじ
)
や
法起寺
(
ほっきじ
)
のある森のほうへぶらぶらと歩き出していた。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
やっとその古墳のそばを離れて、その草ふかい丘をずんずん下りてゆくと、すぐもう麦畑の向うに、橘寺のほうに往くらしい白い道がまぶしいほど日に
赫
(
かがや
)
きながら見え出しました。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そうして、来るときは殆ど
駈
(
か
)
けっこをするようにして突切って来た広い野を、こんどは二人並んでしょんぼりと歩き出した。ところどころにある水溜りがきらきらと西日に
赫
(
かがや
)
いていた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そんな谷あいの山かげに、他の雑木に
雑
(
まじ
)
って、何んの木だか、目立って大きな葉を
簇
(
むら
)
がらせた一本の
丈高
(
たけたか
)
い木が、その枝ごとに、白く
赫
(
かがや
)
かしい花を一輪々々ぽっかりと咲かせていた。……
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
小さな
落葉松林
(
からまつばやし
)
を背負いながら、夕日なんぞに
赫
(
かがや
)
いている木の十字架が、町の方からその水車の道へはいりかけると、すぐ、五六軒の、ごみごみした、薄汚ない民家の間から見えてくるのも
木の十字架
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
一行はその日の暮、一つの川を真ん中に、薄赤い穂を一面になびかせている或広々とした
芒野
(
すすきの
)
を前にしていた。その芒野の向うには又、こんもりと茂った何かの森が最後の夕日に
赫
(
かがや
)
いていた。
姨捨
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
私達の不幸は
赫
(
かがや
)
くことだらう。
詩集「窓」
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
赫
漢検準1級
部首:⾚
14画
“赫”を含む語句
赫々
赫耀
目赫
赫灼
赫奕
赫燿
威赫
赫夜姫
赫耶
赫怒
真赫
赫奕姫
赫土
赫光
赫然
赫映姫
赫耶姫
恐赫
赫爾洪得
赫熱
...