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貫禄
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かんろく
ふりがな文庫
“
貫禄
(
かんろく
)” の例文
旧字:
貫祿
いつか「首席」が
渾名
(
あだな
)
になった。いわば首席の
貫禄
(
かんろく
)
がなかったのだ。ふと母親のことや山谷に見せられた怪しい絵のことを想いだすと
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
上座の中央を避けて坐った益山税所は、いつもの煮えきらない
暢
(
のん
)
びりした人に似合わずかなり
貫禄
(
かんろく
)
のあるおちついた態度をみせていた。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
舞台を
覗
(
のぞ
)
いて、「何か、こう、
貫禄
(
かんろく
)
とでも、いったようなものが在りますね。まるで、別人の感じだ。ああ、退場した。」
火の鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
のち三年にして
関脇
(
せきわけ
)
の栄位を修め、
恰幅
(
かっぷく
)
貫禄
(
かんろく
)
ならびにその
美貌
(
びぼう
)
から、一世の人気をほしいままにしたということでした。
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
身長
(
みのたけ
)
九尺六寸といわれる長人孔子の半分位しかない
短矮
(
たんわい
)
な
愚直者
(
ぐちょくしゃ
)
子羔
(
しこう
)
。年齢から云っても
貫禄
(
かんろく
)
から云っても、もちろん子路が彼等の
宰領格
(
さいりょうかく
)
である。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
成るほど此の男は
一廉
(
ひとかど
)
の大名らしい品格と
貫禄
(
かんろく
)
とを備えているけれども、何だか
優男
(
やさおとこ
)
じみていて、二萬の大軍に号令する武門の
棟梁
(
とうりょう
)
の威風がない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
逸見利恭は、その正統を受けた人ですから、机竜之助の剛情我慢を見兼ねて控えろと
抑
(
おさ
)
えたのは当然の
貫禄
(
かんろく
)
があります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
親分という
貫禄
(
かんろく
)
の上に、かなり自省心を強めていた男ですが、こうなるとかれも痴情におどる一個の凡夫にすぎません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたしたちのあいだで見うけられる多くのイギリス人の旅客がどうも
貫禄
(
かんろく
)
があり、なかなか偉そうに見え、しかも、この連中だって自分の国に帰れば
わたくし自身について
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
子息たちをおおぜい引きつれている大臣は、重々しくも頼もしい人に見えた。背の高さに相応して
肥
(
ふと
)
った
貫禄
(
かんろく
)
のある姿で歩いて来る様子は大臣らしい大臣であった。
源氏物語:29 行幸
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そしてまたこの
家
(
や
)
の主人に対して
先輩
(
せんぱい
)
たる情愛と
貫禄
(
かんろく
)
とをもって臨んでいる
綽々
(
しゃくしゃく
)
として
余裕
(
よゆう
)
ある態度は、いかにもここの細君をしてその来訪を
需
(
もと
)
めさせただけのことは有る。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
然し、家柄への同情といっても本人に
貫禄
(
かんろく
)
がなければ仕方がないので、織田信雄が信長の子供だと云っても実力がなければ仕方がない。万事実力が物を言う戦国時代であった。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ひとかど商戦の古つわものらしく、かえって
貫禄
(
かんろく
)
をそなえているのである。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
家附き娘だけあって、
貫禄
(
かんろく
)
はあるし、どこから見たって立派な奥さんだわ。先生は果報者ね。あんな奥さんだったら、養子もまんざらでないでしょう?
春の枯葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
血つづきのせいかおてつに似て、おおまかな
侠気
(
きょうき
)
はだな性分らしく、しかしさすがにおてつよりは
遙
(
はるか
)
におちついた、大きな宿の主婦らしい
貫禄
(
かんろく
)
があった。
契りきぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鼻
(
はな
)
かけ
卜斎
(
ぼくさい
)
の名にそむかず、
容貌
(
ようぼう
)
こそ、いたってみにくいが、さすが
北越
(
ほくえつ
)
の
梟雄
(
きょうゆう
)
鬼柴田
(
おにしばた
)
の腹心であり、かつ
攻城学
(
こうじょうがく
)
の
泰斗
(
たいと
)
という
貫禄
(
かんろく
)
が、どこかに光っている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さすがは天下の執権、ご威勢もさることながら、おのずからに備わるご
貫禄
(
かんろく
)
もまたあっぱれでした。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
きれいで、りっぱによく
肥
(
ふと
)
っていて、位人臣をきわめた
貫禄
(
かんろく
)
の見える男盛りと見えた。院はまだ若い源氏の君とお見えになるのであった。四つの
屏風
(
びょうぶ
)
には帝の御
筆蹟
(
ひっせき
)
が
貼
(
は
)
られてあった。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
いよいよ浜松だ、
日本左衛門
(
にっぽんざえもん
)
で売れたところよ。日本左衛門という奴は、また鼠小僧とは
貫禄
(
かんろく
)
が違う、あの大将は手下に働かせて自分は働かず、
床几
(
しょうぎ
)
に腰をかけて
指図
(
さしず
)
をしていたもんだ。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いわば、伝統の
貫禄
(
かんろく
)
だ。それあるがために、土俵を圧し、国技館の大建築を圧し、数万の観衆を圧している。然しながら、伝統の貫禄だけでは、永遠の生命を維持することはできないのだ。
日本文化私観
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
三十歳前後に至って始めて顔が
赭
(
あか
)
く焼けて来て
脂肪
(
しぼう
)
を
湛
(
たた
)
え急に体が太り出して
紳士
(
しんし
)
然たる
貫禄
(
かんろく
)
を備えるようになるその時分までは全く婦女子も同様に色が白く衣服の好みも随分
柔弱
(
にゅうじゃく
)
なのである。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
貫禄
(
かんろく
)
のある立派な殿様ぶりだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
バルザックにも劣らぬ巨匠たる
貫禄
(
かんろく
)
を見失い、或る勇猛果敢の日本の男は、かれをカナリヤとさえ呼んでいた。
碧眼托鉢:――馬をさへ眺むる雪の朝かな――
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「とにかくてんでんが、愚痴を並べていてもしょうがねえ」銀太が先住民の
貫禄
(
かんろく
)
をみせてこう云った
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
駕籠から降りて
鷹揚
(
おうよう
)
にいいながら、ずいと店先へはいっていったものでしたから、男まえといい、
貫禄
(
かんろく
)
といい、番町あたりの大旗本とでも目きき違いをしたのでしょう。
右門捕物帖:04 青眉の女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そうです。御容貌がりっぱでおきれいで、いかにも重臣らしい
貫禄
(
かんろく
)
がおありになりますよ。
兵部卿
(
ひょうぶきょう
)
の宮は御美貌の点では最優秀な方だと思えますね。女だったら私もあの方の女房になる望みを
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
顔から
手頸
(
てくび
)
、指の先に至るまでむっちりと脂肪分の行き
亘
(
わた
)
った色白な皮膚で、目鼻立ちの整った
豊頬
(
ほうきょう
)
の好男子であるけれども、肥えているために軽薄には見えず、年相応に
貫禄
(
かんろく
)
のついた紳士で
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
額
(
ひたい
)
も
顎
(
あご
)
も両の手も、ほんのり色白くなったようで、お化粧が巧くなったのかも知れないが、大学生を狂わせてはずかしからぬ堂々の
貫禄
(
かんろく
)
をそなえて来たのだ。
狂言の神
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
うしろに若侍をふたり従えて、
眼
(
がん
)
のくばり、体のこなし、おのずから
貫禄
(
かんろく
)
品位の見える老武家です。ずいと静かに、名人右門のほうへ歩みよると、重々しく呼びかけました。
右門捕物帖:36 子持ちすずり
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
玉鬘は人知れず父の大臣に注意を払ったが、
噂
(
うわさ
)
どおりにはなやかな
貫禄
(
かんろく
)
のある盛りの男とは見えたが、それも絶対なりっぱさとはいえるものでなくて、だれよりも優秀な人臣と見えるだけである。
源氏物語:29 行幸
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
貫禄
(
かんろく
)
ゆたかにどっかと上座へ陣取りながら、なにごとか、なんの詮議かというように怪しみ平伏しつつ迎え入れた方丈をずいと眼下に見下して、おのずからなる威厳もろとも
右門捕物帖:26 七七の橙
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
とても、まともには見られない生活が行列をなし、群落をなして存在している。(一行あき。)貴兄のお兄上は、県会の花。昨今ますます青森県の重要人物らしい
貫禄
(
かんろく
)
を
具
(
そな
)
えて来ました。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
さすがに
貫禄
(
かんろく
)
品位じゅうぶん、丁重いんぎんに両手をつくと、そらさずにいいました。
右門捕物帖:16 七化け役者
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
日本画家、洋画家、彫刻家、戯曲家、舞踏家、評論家、流行歌手、作曲家、漫画家、すべて一流の人物らしい
貫禄
(
かんろく
)
を
以
(
もっ
)
て、自己の名前を、こだわりなく涼しげに述べ、軽い冗談なども言い添える。
善蔵を思う
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
越後
(
えちご
)
から米つきに頼まれたんじゃあるめえし、こんなちゃちな詮議にのこのことお出ましになりゃ、
貫禄
(
かんろく
)
がなくなりますよ、貫禄がね。——え! だんな! ね、ちょっと!——かなわねえな。
右門捕物帖:29 開運女人地蔵
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
“貫禄”の意味
《名詞》
貫禄 (かんろく)
外見や態度などから感じられる威厳。
(「貫禄がつく」などの形で)太ることの諧謔的表現。
(出典:Wiktionary)
貫
常用漢字
中学
部首:⾙
11画
禄
漢検準1級
部首:⽰
12画
“貫”で始まる語句
貫
貫之
貫目
貫木
貫徹
貫一
貫主
貫通
貫祿
貫文