豆府とうふ)” の例文
……そんな不料簡ふれうけんなのはひややつことははせない、なま豆府とうふだ。てもふるへあがるのだが、はずにはられない。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
能樂師のうがくし松本金太郎まつもときんたらう叔父をぢてきは、どうふはもとより、うした豆府とうふだいのすきで、したがつて家中うちぢうみなたしなんだ。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ともすると、ちよろ/\、ちよろ/\とくさ清水しみづくやうだから、豆府とうふしたへ、あたまから昆布こんぶかぶせる。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
夕顏ゆふがほには、豆府とうふかな——茄子なすびなへや、胡瓜きうりなへ藤豆ふぢまめ、いんげん、さゝげのなへ——あしたのおつけのは……
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、もづくをひ、豆府とうふはさ容子ようすが、かほいろみにんで、風采ふうさいます/\哲人てつじん三郎助畫伯さぶらうすけぐわはく
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よる風呂ふろふき、炬燵こたつこひしきまどゐに、なつおよいだ河童かつぱの、くらけて、豆府とうふ沙汰さたがはじまる。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
味噌みそ小買こがひをするは、しちをおくほど恥辱ちじよくだと風俗ふうぞくなりしはずなり。豆府とうふつて半挺はんちやう小半挺こはんちやうとてる。菎蒻こんにやく豆府屋とうふやにつきものとたまふべし。おなじなか菎蒻こんにやくキツトあり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
寺院は随一の華主とくいなる豆府とうふ屋の担夫かつぎ一人、夕巡回ゆうまわりにまた例の商売あきないをなさんとて、四ツ谷油揚坂あぶらげざかなる宗福寺にきたりけるが、数十輛の馬車、腕車わんしゃ梶棒かじぼうを連ね輪をならべて、肥馬いななき、道を擁し、馭者ぎょしゃ
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たれしよくするものなかりしが、金澤かなざはひときて、れは結構けつこう豆府とうふつゆにしてつる/\と賞玩しやうぐわんしてより、同地どうちにてもさかんもちふるやうになりて、それまでかりしを金澤茸かなざはたけしようするよし實説じつせつなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)