谿河たにがは)” の例文
とこわきの袋戸棚ふくろとだなに、すぐに箪笥たんす取着とりつけて、衣桁いかうつて、——さしむかひにるやうに、長火鉢ながひばちよこに、谿河たにがは景色けしき見通みとほしにゑてある。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ほししたんでかへつて、温泉いでゆ宿やどで、準備じゆんびを、とあしく、ととほはなれた谿河たにがはながれが、砥石といしあらひゞきつたへる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わしこさへものとおもひながら、不気味ぶきみがつて、なにひと仕掛しかけてく、おとりのやうに間違まちがへての。谿河たにがはながいかだはしからすまつてもるだよ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なにが、みづ谿河たにがはながれいてめたではうて、むかしからの……此処こゝほりみづそこかよふとふだね。……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むかうのやまえて、れせまる谿河たにがはに、なきしきる河鹿かじかこゑ。——一匹いつぴきらしいが、やまつらぬき、をくいて、こだまひゞくばかりである。かつて、はなながとき箱根はこねおもふまゝ、こゑいた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)