いは)” の例文
三七五 現世に於ける聰慧ある比丘の初とはいはく、感官を護り、滿足し、道徳の規律を擁護し、生活正しく、善友を侶とするにあり。
法句経 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
道法とはいはく聖法なり。言ふこころは、聖法をくすといへども、亦俗法の中に凡夫の事を現じて、機にしたがひて物を化するを乃ち真宴と名づく。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
いはゆる公儀の御役おやくに立たうといふごく單純な考へであつた。然して此心は大抵な人が皆同じであつたらうと思つて居る。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
先々代以来無二の忠義を励み候者共に候、然れば逆臣和泉守に加担して当家へ弓を引かんこと最も其いはれなく候間、此の状軽々けい/\に信ずべきにあらず
この婆さんが滞在中寝て居る部屋を見せて貰つたが、下宿の一番頂辺てつぺんにあるいはゆる屋根裏で、二畳敷程の所に寝台ねだいも据ゑてあれば洗面の道具も揃つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
何も貴方一箇ひとりの悪縁ぢやなし、私だつてこれでも随分ふにいはれない苦労を為てゐるんぢやありませんか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
劉が、裸で、炎天の打麦場にねころんでゐるのには、かう云ふいはれが、あるのである。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
西瓜すいくわを食ふな眞桑瓜まくはうりを食ふな、あるひは章魚たこが惡い生水なまみづが危險だとかいふやうな訓示が懸廳から村役場や警察の手を經て村々へ傳へられるのを、漁夫どもはいはれのない囈言たはごととして聞き流してゐた。
避病院 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
彼等かれらいはゆる『世界改造せかいかいざう偉業ゐげふ』に參加さんかすべき責任せきにんいうしているんぢやないか。國内政治機關こくないせいぢきくわん改造かいざう要求えうきうする人民じんみんこゑ無視むしするわけくまいぢやないか。どうだいきみきみはサウおもはないんか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
されど此掟程いはれなき者はあらじ。
字余りの和歌俳句 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
蒙るいはれなしと一向に受をさめねば忠八は止事を得ず其意に隨ひ彼の印籠を請取うけとつかたちを改め是に就て尋ね申度事たきことあり右夫婦の者は此家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
マリネツティイ氏等はいはゆる新理想主義者の急先鋒なのであらう。しかし同じ未来派でも、僕は絵に於る如き親しみをもつて氏等の詩に同感することは出来ない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
けれども私は高利貸だ。世間から鬼かじやのやうにいはれて、この上も無く擯斥ひんせきされてゐる高利貸だ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
碇泊中の船舶では二万トンのマンチユリアの灯火がもつとも光彩を放つて居た。サンパンに乗つた支那娼婦いはゆる「水妹すゐまい」が薄暗い灯火あかりけて湾内を徘徊して居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
つとめしや外にいは有歟あるかとはるゝに瀬川せがは其儀は御覽ごらんの通りの老母らうぼ一人有之これあり君太夫きみたいふとても永々なが/″\世話せわ相成あひなり居も心苦しく又金七と申者も火難くわなんあひどくに候故相談さうだんの上遊女奉公仕ほうこうつかまつり其金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
有効無ありがひなきこの侵辱はづかしめへる吾身わがみ如何いかにせん、と満枝は無念のる方無さに色を変へながら、ちとも騒ぎ惑はずして、知りつつみし毒のしるしを耐へ忍びゐたらんやうに、得もいはれずひそかに苦めり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
めぐみ下さるべきいはれ無しとたつ辭退じたいに及ぶゆゑ平吉は何卒して我々が誤りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)