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見戍
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みまも
ふりがな文庫
“
見戍
(
みまも
)” の例文
今の
弾丸
(
たま
)
は当らなかった。だが今度浮いて来たら、と伊藤次郎は
眤
(
じっ
)
と海面を
見戍
(
みまも
)
っていたが、ふとその眼を流血船へ移したとたんに
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
童子は、すばやく玄関から次ぎの部屋をぬけ、離亭への踏石へおり立とうとしたとき、一軸の仏画が床の間に掛けられてあるのを
見戍
(
みまも
)
った。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
東を受けた二階の寝室に、再び意識を失ひかけた下枝子が、医師に
見戍
(
みまも
)
られながら、朦朧とした眼を天井に向けてゐた。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
冷静の
象徴
(
サムボル
)
のような真名古を、何がこれほどまでに激発させたのか。総監はもとより、四銃士の面々も呆気にとられて、唖然と真名古の面を
見戍
(
みまも
)
るばかり。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今日も今日、父なる燈台守は、
櫓
(
やぐら
)
のうえに立って望遠鏡を手にし、
霧笛
(
きりぶえ
)
を
鳴
(
なら
)
しながら海の上を
見戍
(
みまも
)
っていた。
おさなき灯台守
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
▼ もっと見る
二人が
見戍
(
みまも
)
っているうちに、法水は長い糸を用意させて、それを外側から
鍵孔
(
かぎあな
)
を
潜
(
くぐ
)
らせ、最初鍵の輪形の左側を巻いてから、続いて下から
掬
(
すく
)
って右側を絡め
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
美しく刺繍をした袍はわしを全くの別人にしてしまつたのである。わしは或型通りに
断
(
た
)
つてある五六尺の布がわしの上に加へた変化の力を、驚嘆して
見戍
(
みまも
)
つた。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
笑い/\、そう言うと、長田は興ありそうに聞いていたが、居なくなると言ったので初めて、
稍
(
やや
)
同情したらしい笑顔になって、私の顔を珍らしく優しく
見戍
(
みまも
)
りながら
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
言葉の修練を積むに従って詩の天地が
開闢
(
かいびゃく
)
する。鶴見はおずおずとその様子を
垣間見
(
かいまみ
)
ていたが、後には少し大胆になって、その成りゆきを
見戍
(
みまも
)
ることが出来るようになった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
うまうまと自分の
陋劣
(
ろうれつ
)
な
術數
(
たくらみ
)
に
瞞
(
だま
)
された不幸な彼女の顏が眞正面に
見戍
(
みまも
)
つてゐられなかつた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
「これを見たまえ」深井が受け取って読むのを、平一郎も息をはずませて
見戍
(
みまも
)
っていた。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
「そいつあ困ったね。」と太い眉を寄せて、私の顔を
見戍
(
みまも
)
っていたが、「じゃ、当分まあ
私
(
わっし
)
の物でも食ってたらどうだね。そのうちに何とかまた、国へ帰るような工夫でもするさ。」
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
グリフォンは
坐
(
すわ
)
り
込
(
こ
)
み、
兩眼
(
りやうがん
)
を
擵
(
こす
)
つて、
見
(
み
)
えなくなるまで
女王樣
(
ぢよわうさま
)
を
見戍
(
みまも
)
り、それから
得意
(
とくい
)
げに
微笑
(
ほゝゑ
)
みました。『
何
(
なん
)
と
滑稽
(
こつけい
)
な!』とグリフォンは、
半
(
なか
)
ば
自分
(
じぶん
)
に、
半
(
なか
)
ば
愛
(
あい
)
ちやんに
云
(
い
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
……なんの色もない、
虚
(
うつ
)
ろな眼であった。彼はまじまじと月心尼の顔を
見戍
(
みまも
)
っていたが、やがて寂しそうに首を振りながら云った。
春いくたび
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
呼吸
(
いき
)
を引きとるその日も、しびれの来た手を重たげに扱ひながら、朝の化粧をすませ、新聞の一面へざつと眼を配る動作を私は黙つて
見戍
(
みまも
)
つてゐた。
妻の日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
そう言って、
凝然
(
じっ
)
として
見戍
(
みまも
)
っている児太郎は、しだいに、その眼底に
髣髴
(
ほうふつ
)
する焦燥をありありと燃え立てさせた。弥吉は、からだの
竦
(
すく
)
みを感じた。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
其間も彼女は、溢るゝ許りの愛情の
微笑
(
ほゝゑみ
)
をもらして、わしをぢつと
見戍
(
みまも
)
つてゐるのである。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
「そうら……本当に?」女はにや/\笑いながら、油断なく私の顔を
見戍
(
みまも
)
った。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
はる/″\故郷を出てきた少年を
見戍
(
みまも
)
りいたわっているようだった。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
男は酒を
注
(
つ
)
いでやりながら、じっと三次のようすを
見戍
(
みまも
)
っていたが、飲終って返す盃を
膳
(
ぜん
)
の上へ置くと、将棋盤を二人のあいだへ引寄せて
暗がりの乙松
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
おあいは、
吃驚
(
びっくり
)
しすぎて、声も出ないで凝然と
見戍
(
みまも
)
っていた。が、すぐに自分の夫であるかどうかさえ気疑いが起っていちどきは悪感をさえかんじた。
蛾
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
吾平はそう思いながら、歯の根も合わず
見戍
(
みまも
)
っていたが、やがて、自分の危険に気付くと夢中で
其処
(
そこ
)
を逃げだして
了
(
しま
)
った。
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それと同じいように女もなかば眠って、ものうげに折々眠元朗を
見戍
(
みまも
)
るだけだった。
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
いつも独りで工場裏の
葦
(
あし
)
の生えた沼地のへりに立っているか、または工場主の鶏舎の前にかがみこんで
鶏
(
にわとり
)
の動作をつくねんと
見戍
(
みまも
)
っているらしかった。
蛮人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「さあ、——」主婦は女客の顔を
見戍
(
みまも
)
った。
三階の家
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そう云う道之進の眼を、伊兵衛は疑わしげに
見戍
(
みまも
)
っていたが、やがてその唇尻にふたたびそっと微笑を刻みながら
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
少しも動ぜず、いささかも
衒
(
てら
)
わず、思うままを流れるように云って憚らぬ団兵衛の態度を、光政はじっと
見戍
(
みまも
)
った。
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しばらくその寝姿を
見戍
(
みまも
)
っていた大蛇嶽、やがて何を思ったか、
掻込
(
かいこ
)
んでいた槍を取直すと、団兵衛の胸先へ
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
老人はすっかり着古してすり切れてしまった
羅紗
(
らしゃ
)
の
外套
(
がいとう
)
をひきかけ、すばらしく大きな古い
麦藁
(
むぎわら
)
帽子をかぶって身動きもせずにじっと遠く沖のかなたを
見戍
(
みまも
)
っていた
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
増上寺の森で渡り遅れた
鵯
(
ひよどり
)
の鳴く声が、ときおり静かな空に聞えるほかは、なんの物音もしない、十人の女中たちはさすがに息を詰め、手綱をひしと汗にしながら
見戍
(
みまも
)
っていた。
粗忽評判記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
始終のようすを、杉林の中からじっと
見戍
(
みまも
)
っていた野火の三次は、次第に色も蒼白め、いつか全身をぶるぶると慄わせていたが、もう我慢ができぬというふうにきっと振返った。
暗がりの乙松
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
宗利はそのとき初めて、老人の眸子が責めるように自分を
見戍
(
みまも
)
っているのをみつけた。
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
戍
漢検1級
部首:⼽
6画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当