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荊棘
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けいきょく
ふりがな文庫
“
荊棘
(
けいきょく
)” の例文
ところがグージャールは、「ラテン語を知っている」男を相手にしていることを見て取って、用心深く美学の
荊棘
(
けいきょく
)
地に立てこもった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
これは勇敢なる兄に対して捧げられた頌徳の辞であるよりも以上に、おろかなる弟が自らの心に加えた
荊棘
(
けいきょく
)
の鞭であるからである。
三等郵便局
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
と、協議がまとまって進むことになったが……、これまでどおり、巨草
荊棘
(
けいきょく
)
を切りひらいてゆくのではいく月かかるかも知れない。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかし多数の読者を導いてこのルクレチウスの花園に入るべき小径の
荊棘
(
けいきょく
)
を開くにはぜひともこれだけの露払いの労力が必要であると思った。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
孤君信長を
繞
(
めぐ
)
って
虎視眈々
(
こしたんたん
)
な一族がたくさんいた。それが、叔父だの兄弟だの身寄りだのという者だけに、
荊棘
(
けいきょく
)
を
拓
(
ひら
)
くのも、敵以上であった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
茶畑のごとき
荊棘
(
けいきょく
)
の叢林 があります。それを見渡しますとちょうど宇治の茶畑に行ったような観念が起りまして実に我が国を忍ばれるようでした。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
余は一人
尖
(
とが
)
った
巌角
(
がんかく
)
を踏み、
荊棘
(
けいきょく
)
を分け、
岬
(
みさき
)
の突端に往った。岩間には
其処
(
そこ
)
此処
(
ここ
)
水溜
(
みずたまり
)
があり、紅葉した
蔓草
(
つるくさ
)
が岩に
搦
(
から
)
んで居る。出鼻に立って眺める。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
一同はフハンのあとについてゆくと、
荊棘
(
けいきょく
)
路
(
みち
)
をふさぎ、野草が一面においしげて、なにものも見ることができない。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
直言讜議
(
ちょくげんとうぎ
)
、
諱
(
い
)
まず
憚
(
はばか
)
らず、時には国王の
逆鱗
(
げきりん
)
に触れるほどの危きをも冒し、ますます筆鋒を鋭くして、死に至るまで実利主義のために進路の
荊棘
(
けいきょく
)
を
攘
(
はら
)
った。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
ここには人生の
荊棘
(
けいきょく
)
に血を流し
呻
(
うめ
)
く声のかわりに、ハックルベリーの
実
(
み
)
の饗宴に充ち足り、想いをガンジスの悠久な流れにはせる、自信にみちた独白がある。
森の生活――ウォールデン――:01 訳者の言葉
(新字新仮名)
/
神吉三郎
(著)
ここには人生の
荊棘
(
けいきょく
)
に血を流し
呻
(
うめ
)
く声のかわりに、ハックルベリーの
実
(
み
)
の饗宴に充ち足り、想いをガンジスの悠久な流れにはせる、自信にみちた独白がある。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
さていよいよ猟場に踏み込むと、猟場は全く
崎
(
みさき
)
の
極端
(
はずれ
)
に近い山で雑草
荊棘
(
けいきょく
)
生
(
お
)
い茂った山の尾の谷である。僕は始終今井の叔父さんのそばを離れないことにした。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そうすれば個人性は出すまいとしても自然に出ます。清新な句ももとめずともできます。ゆめゆめ近道をしようとして
荊棘
(
けいきょく
)
にひっかかることをしてはなりません。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
杣
(
そま
)
の入るべき
方
(
かた
)
とばかり、わずかに
荊棘
(
けいきょく
)
の露を払うて、ありのままにしつらいたる路を登り行けば、松と
楓樹
(
もみじ
)
の枝打ち交わしたる半腹に、見るから清らなる
東屋
(
あずまや
)
あり。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
それ火中に蓮花を咲かしめ
荊棘
(
けいきょく
)
のうちより葡萄を収穫し、不自由中より自由を生ずるがごとき不可思議の手段に至りては、吾人は実に驚嘆せざらんとするもあたわざるなり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
文角鷲郎もろともに、彼の聴水が教へし路を、ひたすら急ぎ往くほどに、やがて山の
峡間
(
はざま
)
に出でしが、これより路次第に
嶮岨
(
けわし
)
く。
荊棘
(
けいきょく
)
いやが上に
生
(
お
)
ひ茂りて、折々
行方
(
ゆくて
)
を
遮
(
さえぎ
)
り。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
四年の頃この廃園を
購
(
あがな
)
い
荊棘
(
けいきょく
)
を伐り除いて林間に
屋宇
(
おくう
)
を築き
名
(
なづ
)
けて六閑堂と称した。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
岡村君にこう云われて、私は水音を便りに
荊棘
(
けいきょく
)
の間を分けて泉の縁へ降りて行きました。私は岸辺に彳んで向う側を見渡した時、其処に名状し難い
神々
(
こう/″\
)
しさの、美女の立像を認めました。
金色の死
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
で、われ等の仕事が、前途幾多の
荊棘
(
けいきょく
)
に阻まれるべきは、元より覚悟の前であらねばならぬ。われ等の啓示は往々にして、未開なる古代人の心を通じて漏らされた啓示と一致せぬ箇所がある。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
日夜精神を学問に
委
(
ゆだ
)
ねて、その状あたかも
荊棘
(
けいきょく
)
の上に
坐
(
ざ
)
して
刺衝
(
ししょう
)
に堪ゆべからざるのはずなるに、その人の私につきてこれを見ればけっして然らず、眼に経済書を見て一家の産を営むを知らず
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
荊棘
(
けいきょく
)
、密林のことゆえ、これまた一日二日の仕事ではない、とっくりと腹をすえてかからねばなりませぬ、どれが先でも後でもないが、秩序を立てて、この途通ぜざれは再びまみえぬ決心にて
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
見る影もない
荊棘
(
けいきょく
)
の曠原となつてゐたのを嘆き自ら植樹に着手した。
沼津千本松原
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
あらゆる
荊棘
(
けいきょく
)
を踏みしだいて進む巨人の姿である。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
名のない
戦
(
いくさ
)
はしない。まして宗家を攻めるには、義と名分の旗じるしが
要
(
い
)
る。——が彼は、その機会に
荊棘
(
けいきょく
)
の一方を、やっと切り
拓
(
ひら
)
いたのであった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひいらぎバーベリ等の
極寒地方
(
ごくかんちほう
)
に生ずる
灌木
(
かんぼく
)
は、いやがうえに密生して、
荊棘
(
けいきょく
)
路
(
みち
)
をふさいでは、うさぎの足もいれまじく、
腐草
(
ふそう
)
山
(
やま
)
をなしては、しかのすねも没すべく思われた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
丙は時として
荊棘
(
けいきょく
)
の小道のかなたに広大な
沃野
(
よくや
)
を発見する見込みがあるが、そのかわり不幸にして底なしの
泥沼
(
どろぬま
)
に足を踏み込んだり、思わぬ
陥穽
(
かんせい
)
にはまって
憂
(
う
)
き目を見ることもある。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
すると、
一叢
(
ひとむら
)
の
荊棘
(
けいきょく
)
の中から、不意にまた、一頭の鹿が躍りだした。帝は手の
彫弓
(
ちょうきゅう
)
に
金鈚箭
(
きんひせん
)
をつがえて、はッしと射られたが、矢は鹿の角をかすめて
外
(
そ
)
れた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今が初めての
荊棘
(
けいきょく
)
の道ではない。これが最後かと思う一歩前が、実は、次への悠久な道へ出る
暁闇
(
ぎょうあん
)
の
堺
(
さかい
)
であったことを、幼年の頃から幾度も身に
訓
(
おし
)
えられていたからである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして上人の身を
荊棘
(
けいきょく
)
の門から抱え出すと、禅閤はまた、一方のわが
聟
(
むこ
)
と、いとしい
息女
(
むすめ
)
とが、事変以来どう暮しているか——それも心がかりでならなかったことなので
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
育て、行く行くは、身みずからの
荊棘
(
けいきょく
)
を作るにいたる。——愚かしきかな。笑うべき哉
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
九歳の時
董卓
(
とうたく
)
に擁立されて、万乗の御位について以来、戦火
乱箭
(
らんせん
)
の中に幾たびか遷都し、
荊棘
(
けいきょく
)
の道に飢えをすら味わい、やがて許昌に都して、ようやく後漢の朝廟に無事の日は来ても
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
剣というものの絶対性が——また修行の道というものの
荊棘
(
けいきょく
)
には、かかることも踏み越えてゆかねばならないのかと思うと、余りにも自分の行く手は
蕭条
(
しょうじょう
)
としている。非人道的である。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
官を捨て、妻子を捨てて共に
荊棘
(
けいきょく
)
の道を覚悟の上で来てしまったのだ。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幼少すでに彼は
稀代
(
きたい
)
な空想児だった。だが
生
(
お
)
い育つに従って、
荊棘
(
けいきょく
)
の現実は、空想の子を空想の中にのみ夢みさせておかなかった。現実は
艱難
(
かんなん
)
また艱難を与えて、彼に荊棘を切り
拓
(
ひら
)
く快味を教えた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたしはすすんで
荊棘
(
けいきょく
)
へ入る
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
荊
漢検準1級
部首:⾋
9画
棘
漢検1級
部首:⽊
12画
“荊棘”で始まる語句
荊棘何無情
荊棘中
荊棘路
荊棘何妬情