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苦辛
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くしん
ふりがな文庫
“
苦辛
(
くしん
)” の例文
先輩に聞けば一口にして知り得べき者を数月数年の
苦辛
(
くしん
)
を経て漸く発明するが如きは、やや
迂
(
う
)
に似たれどもなかなかに迂ならず。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
前年と違いよほど
苦辛
(
くしん
)
を重ねたれば少しは技術も進歩せりと思う、
江藤新平
(
えとうしんぺい
)
を演ずるはずなれば、是非御家族を
伴
(
ともな
)
い御来観ありたしという。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
崇拝して句々皆神聖視していたから一字一句どころか言語の排列までも原文に
違
(
たが
)
えまいと一語三礼の
苦辛
(
くしん
)
を
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼等
(
かれら
)
がさういふ
苦辛
(
くしん
)
の
間
(
あひだ
)
に
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
の
身體
(
からだ
)
の
疲
(
つか
)
れを
犧牲
(
ぎせい
)
にしてまでも
僅
(
わづか
)
な
時間
(
じかん
)
を
相
(
あひ
)
對
(
たい
)
して
居
(
ゐ
)
ながら
互
(
たがひ
)
の
顏
(
かほ
)
も
見
(
み
)
ることが
出來
(
でき
)
ないで
低
(
ひく
)
く
殺
(
ころ
)
した
聲
(
こゑ
)
にのみ
滿足
(
まんぞく
)
する
外
(
ほか
)
に
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
やはり立志篇的の
苦辛
(
くしん
)
の日を重ねつゝ、大学にも入ることを得るに至つたので、それで同窓中では最年長者——どころでは無い、五ツも六ツも年上であつたのである。
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
尋ね
恨
(
うらみ
)
を
報
(
むく
)
い申度とて三ヶ年の間
苦辛
(
くしん
)
を
厭
(
いと
)
はず
所々
(
しよ/\
)
尋ね
廻
(
めぐ
)
り候處漸々此程
隅田川
(
すみだがは
)
の
渡船
(
わたしぶね
)
にて
面
(
おもて
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「それはあるにはあるが、そうすると、こうして
仲
(
なか
)
よくしているみんなに
別
(
わか
)
れなければならぬ。
考
(
かんが
)
えると、そのことがつらいのじゃ。」と、おじいさんは、
長
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
、
苦辛
(
くしん
)
をしてきた、
日
(
ひ
)
にやけて
なつかしまれた人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
能
(
よ
)
くその士気を
振
(
ふる
)
うて
極端
(
きょくたん
)
の
苦辛
(
くしん
)
に
堪
(
た
)
えしむるの術あるべきや。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
時下秋冷の
候
(
こう
)
に
候
(
そろ
)
処貴家益々御隆盛の段
奉賀上候
(
がしあげたてまつりそろ
)
陳
(
のぶ
)
れば本校儀も御承知の通り一昨々年以来二三野心家の為めに妨げられ一時其極に達し
候得共
(
そうらえども
)
是れ皆
不肖針作
(
ふしょうしんさく
)
が足らざる所に起因すと存じ深く
自
(
みずか
)
ら
警
(
いまし
)
むる所あり
臥薪甞胆
(
がしんしょうたん
)
其の
苦辛
(
くしん
)
の結果
漸
(
ようや
)
く
茲
(
ここ
)
に独力以て我が理想に適するだけの校舎新築費を
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
の句は余が
苦辛
(
くしん
)
の末に成りたる者、碧梧桐はこれを百合十句中の第一となす。この句いまだ虚子の説を聞かず。賛否を知らず。(八月五日)
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
学問も段〻進んで来るし人にも段〻認められて来たので、いくらか
手蔓
(
てづる
)
も出来て、
終
(
つい
)
に上京して、やはり
立志篇
(
りっしへん
)
的の
苦辛
(
くしん
)
の日を重ねつつ、大学にも入ることを得るに至ったので
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
最も
苦辛
(
くしん
)
した労作と自からも称していた「いちご姫」は昔しの物語の焼直し
染
(
じ
)
みて根ッから面白くなかった。一時は好奇心を牽いた「おじゃる」
詞
(
ことば
)
も
徐々
(
そろそろ
)
鼻に附いて飽かれ出した。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
発明家の
苦辛
(
くしん
)
にも政治家の経営にもまた必ず若干の遊戯的分子を存するはずで
二葉亭四迷:――遺稿を整理して――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
柿は親指と人さし指との間から見えて居る処で、これを画きあげるのは非常の
苦辛
(
くしん
)
であった。そこへ
虚子
(
きょし
)
が来たからこの画を得意で見せると、虚子は
頻
(
しき
)
りに見て居たが分らぬ様子である。
画
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
『門三味線』は全く油汗を
搾
(
しぼ
)
って
苦辛
(
くしん
)
した真に彫心
鏤骨
(
るこつ
)
の名文章であった。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それ故、文芸上の興味が冷め、生活上の苦労に
苛
(
さいな
)
まれていても
一夜漬
(
いちやづ
)
けの
書流
(
かきなが
)
しで好い加減に
鳧
(
けり
)
をつけて肩を抜いてしまうという事は出来ないで、イヤイヤながらもやはり同じ
苦辛
(
くしん
)
を重ねていた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
肝腎
(
かんじん
)
の芸術的興味が
既
(
とっ
)
くの昔に去っていて、気の抜けた酒のような気分になっていたから、
苦辛
(
くしん
)
したのは構造や文章の形式や外殻の修飾であって、根本の内容を組成する材料の採択、性格の描写
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
“苦辛”の意味
《名詞》
酷く苦しむこと。
(出典:Wiktionary)
苦
常用漢字
小3
部首:⾋
8画
辛
常用漢字
中学
部首:⾟
7画
“苦”で始まる語句
苦
苦悶
苦笑
苦々
苦痛
苦患
苦力
苦労
苦手
苦衷