あづか)” の例文
新字:
獨りかの猶太種と覺しき老女のみはこの賑しき物語にあづからで、をり/\姫がことさらに物言掛けたる時、僅に輕く頷くのみなりき。
彼歎きつゝかうべをふりていひけるは、そもかの事にあづかれるはわれひとりにあらざりき、また我何ぞ故なくして人々とともに動かんや 八八—九〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
こと艇尾ていび兩瑞りようたん裝置さうちされたる六枚ろくまいつばさいうする推進螺旋スクリユー不思議ふしぎなる廻轉作用くわいてんさようあづかつてちからあること記臆きおくしてもらはねばならぬ。
親父も喜んでわしに話す元來御目附といへば天下の樞機にあづかる人。其人のうちれば自然海内かいだいの形勢も分かるであらう。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
ここおい闔廬かふろ孫子そんしへいもちふるをり、つひもつしやうす。西にし彊楚きやうそやぶつて(一三)えいり、きたせいしんおどし、諸矦しよこうあらはす。孫子そんしあづかつてちからり。
醫者は斯ういふ經驗をつだらうか? 彼等は自分達の肉體に就いても、患者等のそれと同樣に考へてゐるだけであつて、自分の個性の形成にあづかる所の自分の胃、自分の肺を
かめれおん日記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
盜人にも三分の理といふことは、盜人が七分の背理を三分の理で覆はうとする切實な努力を、つまりはじめから十分の理をもつてゐる人間のあづかり知らない哀切な努力を意味してゐる。
建物たてもの土木工事どぼくこうじ耐震的たいしんてきにするといふようなことは、これまた平日へいじつおこなふべきことではあるが、しかしこれは其局そのきよくあたるものゝ注意ちゆういすべき事項じこうであつて、小國民しようこくみんあづからずともよいことである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
さうしてに二度目どめさけあづからぬばあさんおもて雨戸あまどさらに二三まいひい餘計よけい薄闇うすぐらつた佛壇ぶつだんまへ凝集こゞつた。何時いつにか念佛衆ねんぶつしゆう以外いぐわい村落むら女房にようばうくははつて十にんばかりにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
大阪役の後に、ことごとく天下の端城はじろこぼたれたので、左右良も其數にはれなかつた。併し采地は依然としてをつた。又黒田家の家老としては五十餘萬石の國政をあづかり聞き、五萬餘の士卒を支配した。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
又我が能く少時の夢をび起して、この詩中に入るゝことの、かくまで細かなることを得しは、この老女の振舞あづかりて力ありければなり。
またわが先祖達と我とは、汝等の年毎の競技にあづかりて走る者がかのまちの最後の區劃わかちを最初に見る處にて生れき 四〇—四二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
さて食を供するに至りて、賊の中にはわが肩を敲きて、皿に肉塊を盛りて呉るゝもありき。唯だ彼媼はもとの如く、室隅に坐して、飮食の事にはあづからざりき。