トップ
>
膳椀
>
ぜんわん
ふりがな文庫
“
膳椀
(
ぜんわん
)” の例文
ガラクタと言つても大家で、
膳椀
(
ぜんわん
)
も布團も立派に使へるものばかり。土藏へ行くのが面倒で、日用の雜器を此處へ入れて置くのでせう。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
つひに玄関より上りたるに、その次の間には朱と黒との
膳椀
(
ぜんわん
)
をあまた取り出したり。奥の座敷には火鉢ありて
鉄瓶
(
てつびん
)
の湯のたぎれるを見たり。
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
先生は書斎においでですからと言いながら、手を休めずに、
膳椀
(
ぜんわん
)
を洗っている。今
晩食
(
ゆうめし
)
がすんだばかりのところらしい。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
煤
(
すす
)
けた塗り
箪笥
(
だんす
)
や
長火鉢
(
ながひばち
)
や
膳椀
(
ぜんわん
)
のようなものまで金に替えて、それをそっくり父親が縫立ての胴巻きにしまい込んだ。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
勿論
(
もちろん
)
俳味を
専
(
もっぱら
)
とする処から大きな
屏風
(
びょうぶ
)
や大名道具には
札
(
ふだ
)
を入れなかったが
金燈籠
(
きんどうろう
)
、
膳椀
(
ぜんわん
)
、
火桶
(
ひおけ
)
、
手洗鉢
(
ちょうずばち
)
、
敷瓦
(
しきがわら
)
、
更紗
(
さらさ
)
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
加うるに
膳椀
(
ぜんわん
)
の調度までが、一通り
調
(
ととの
)
うて、板についているのは、前にいた人のを居抜きで譲り受けたのか、そうでなければ、お勝手道具一式をそのまま
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
各宿とも旅客用の夜具
蒲団
(
ふとん
)
、
膳椀
(
ぜんわん
)
の
類
(
たぐい
)
を取り調べ、至急その数を書き上ぐべきよしの回状をも手にした。皇軍通行のためには、多数の
松明
(
たいまつ
)
の用意もなくてはならない。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
従ってそれらの部落で
膳椀
(
ぜんわん
)
の代りに木の葉を用いたのが、
伝播
(
でんぱ
)
したとも考えられぬ事はない。
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
新開地を追うて来て新たに店を構えた仕出し屋の主人が店先に
頬杖
(
ほおづえ
)
を突いて行儀悪く寝ころんでいる目の前へ、
膳椀
(
ぜんわん
)
の類を出し並べて売りつけようとしている行商人もあった。
写生紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その裲襠、帯、小袖の
綾
(
あや
)
、
錦
(
にしき
)
。腰元の
装
(
よそおい
)
の、藤、つつじ、あやめと咲きかさなった中に、きらきらと玉虫の、
金高蒔絵
(
きんだかまきえ
)
の
膳椀
(
ぜんわん
)
が透いて、
緞子
(
どんす
)
の
裀
(
しとね
)
が
大揚羽
(
おおあげは
)
の蝶のように対に並んだ。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土瓶
(
どびん
)
へ
入
(
い
)
れた
水
(
みづ
)
を
持
(
も
)
つて
墓參
(
はかまゐ
)
りに
行
(
い
)
つて、それから
膳椀
(
ぜんわん
)
も
皆
(
みな
)
返
(
かへ
)
して
近所
(
きんじよ
)
の
人々
(
ひと/″\
)
も
歸
(
かへ
)
つた
後
(
のち
)
勘次
(
かんじ
)
は
㷀然
(
けいぜん
)
として
古
(
ふる
)
い
机
(
つくゑ
)
の
上
(
うへ
)
に
置
(
お
)
かれた
白木
(
しらき
)
の
位牌
(
ゐはい
)
に
對
(
たい
)
して
堪
(
たま
)
らなく
寂
(
さび
)
しい
哀
(
あは
)
れつぽい
心持
(
こゝろもち
)
になつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
焼けあとには灰や焼け残りの柱などが散らばっていて、井戸側の半分焼けた流しもとでは、
襷
(
たすき
)
をした女がしきりに
膳椀
(
ぜんわん
)
を洗っている。小屋掛けの中からは村の人が出たりはいったりしている。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
佐太郎は気を取り
外
(
はず
)
せり、彼は満面に笑みの波立て直ちに出で行き、近処に法事の案内をし、帰るさには
膳椀
(
ぜんわん
)
を借り
燗瓶
(
かんびん
)
杯洗を
調
(
ととの
)
え、
蓮根
(
れんこん
)
を掘り、
薯蕷
(
やまのいも
)
を掘り、帰り来たって阿園の飯を炊く間に
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
膳椀
(
ぜんわん
)
を買う。
蚊帳
(
かや
)
を買う。買いに行くのは従卒の島村である。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ついに玄関より
上
(
あが
)
りたるに、その次の間には朱と黒との
膳椀
(
ぜんわん
)
をあまた取り出したり。奥の座敷には
火鉢
(
ひばち
)
ありて
鉄瓶
(
てつびん
)
の湯のたぎれるを見たり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
茶の間に近き六尺は
膳椀
(
ぜんわん
)
皿小鉢
(
さらこばち
)
を入れる戸棚となって
狭
(
せま
)
き台所をいとど狭く仕切って、横に差し出すむき出しの棚とすれすれの高さになっている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女達が
膳椀
(
ぜんわん
)
などの取出された台所へ出て行く時分に、
漸
(
やっ
)
と青柳の細君や髪結につれられて、お島は盃の席へ直された。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それも気を付けましたが、長押の金具は
剥
(
は
)
ぎ、
襖
(
ふすま
)
の引手は外し、手洗鉢も
膳椀
(
ぜんわん
)
も、その辺の店にあり合せの品を集めたもので、一つも紋のあるのは出しません。
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
先生は書斎に
御出
(
おいで
)
ですからと云ひながら、手を
休
(
やす
)
めずに、
膳椀
(
ぜんわん
)
を洗つてゐる。今
晩食
(
ゆふめし
)
が済んだ許の所らしい。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
膳
常用漢字
中学
部首:⾁
16画
椀
漢検準1級
部首:⽊
12画
“膳椀”で始まる語句
膳椀食具