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しゆす
ふりがな文庫
“
繻子
(
しゆす
)” の例文
此
(
こ
)
の
急信
(
きふしん
)
は××
年
(
ねん
)
××
月
(
ぐわつ
)
××
日
(
にち
)
、
午後
(
ごご
)
三
時
(
じ
)
に
屆
(
とゞ
)
いたので、
民子
(
たみこ
)
は
蒼
(
あを
)
くなつて
衝
(
つ
)
と
立
(
た
)
つと、
不斷着
(
ふだんぎ
)
に
繻子
(
しゆす
)
の
帶
(
おび
)
引緊
(
ひきし
)
めて、つか/\と
玄關
(
げんくわん
)
へ。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
服を着てしまふと、彼女は、
皺
(
しわ
)
にしないようにと思つて、その
繻子
(
しゆす
)
の裾を非常に注意深く持ち上げて
温和
(
おとな
)
しく自分の小さな椅子に掛けた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
その貧しい店先へ買ひものに来てゐる女の人は、もう村の人かなぞのやうな型の
浴衣
(
ゆかた
)
を着て、空色の
繻子
(
しゆす
)
の帯を結んでゐた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
短い黒の
繻子
(
しゆす
)
の服を着て、それに大へんみんなに尊敬されましたから、何かの都合で書記をやめるものがあると、そこらの若い猫は、どれもどれも
猫の事務所:……ある小さな官衙に関する幻想……
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
襟の掛つた少し地味な銘仙、
繻子
(
しゆす
)
の帶、三十近い身柄ですが、美しさや聲の
韻
(
にほひ
)
から言ふと、精々十九か二十歳でせう。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
その所有物の中には、母のかたみだと云ふ桐に鳳凰か何かの縫ひをした玉子色の
繻子
(
しゆす
)
の帶や、水淺黄の奉書
紬
(
つむぎ
)
の裾に浪千鳥の縫ひある衣物などもある。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
三味はやんで、やがて格子ががらりと開いたと思つたら、
繻子
(
しゆす
)
の細帶を結んで
唐人髷
(
たうじんまげ
)
に結つた娘が、そのまま駈け出して湯屋のなかに吸はれるやうに入つたのである。
三十三の死
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
目賀田は色の褪せた
繻子
(
しゆす
)
の蝙蝠傘を杖にして、始終皆の先に立つた。物言へば疲れるとでも思つてゐるやうに言葉は少かつた。校長と雀部が前になり後になりして其の
背後
(
うしろ
)
に
跟
(
つ
)
いた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その後には青い
繻子
(
しゆす
)
の服を鳥のやうに着込んだ女が、卓の上に空の鉢を載せ、その上に蔽ひをしてから、短銃をどんと放つた。鉢の中からは生きた鳩が、眼をきよとつかせながら羽摶き下りた。
受験生の手記
(旧字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
水いろの
繻子
(
しゆす
)
に
繍
(
ぬひ
)
せし細き靴
木
(
こ
)
のもとにして
楡
(
にれ
)
の花踏む
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
きりきりと
締
(
し
)
め直す黒い
繻子
(
しゆす
)
の
一筋
(
ひとすぢ
)
。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
わたしの
繻子
(
しゆす
)
のロオヴの
仮縫
(
かりぬひ
)
を終つて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
繻子
(
しゆす
)
の肌した深紅の
燠
(
おき
)
よ
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
二人が外套をとると、そこに現れたのは
繻子
(
しゆす
)
や寶石で——無論私の贈り物ですが——まばゆいばかりのヴァレンと、將校服の彼女の
連
(
つれ
)
の姿でした。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「豆藏の人寄せに言ふ——うんすんカルタに
繻子
(
しゆす
)
の帶、ビードロ細工に人さらひ——などはどんなもので」
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
山猫
(
やまねこ
)
はなるほどといふふうにうなづいて、それからいかにも気取つて、
繻子
(
しゆす
)
のきものの
胸
(
えり
)
を開いて、黄いろの陣羽織をちよつと出してどんぐりどもに申しわたしました。
どんぐりと山猫
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
笠森稻荷
(
かさもりいなり
)
のあたりを
通
(
とほ
)
る。
路傍
(
みちばた
)
のとある
駄菓子屋
(
だぐわしや
)
の
奧
(
おく
)
より、
中形
(
ちうがた
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
に
繻子
(
しゆす
)
の
帶
(
おび
)
だらしなく、
島田
(
しまだ
)
、
襟白粉
(
えりおしろい
)
、
襷
(
たすき
)
がけなるが、
緋褌
(
ひこん
)
を
蹴返
(
けかへ
)
し、ばた/\と
駈
(
か
)
けて
出
(
い
)
で、
一寸
(
ちよつと
)
、
煮豆屋
(
にまめや
)
さん/\。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
帯も紫がかつた
繻子
(
しゆす
)
ののは畳んで、幅狭い唐縮緬の丸帯を締めた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
濃いお
納戸
(
なんど
)
の
繻子
(
しゆす
)
を張り
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
金
(
きん
)
の入日に
繻子
(
しゆす
)
の黒——
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そして手を洗つてから、絹や
繻子
(
しゆす
)
やきれいな小切れの一ぱい詰つた抽斗を開けてヂョウジアァナの人形の新しい帽子を作りはじめた。作りながら唄を歌つた。唄は
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
女客と言ふのは、二十四、五の中年増、眉の
跡
(
あと
)
も青々とした、凄いほどの美人ですが、
小辨慶
(
こべんけい
)
の單衣はひどく
潮垂
(
しほた
)
れて世帶くづしの
繻子
(
しゆす
)
の帶にも少しばかり山が入つて居ります。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見ると山ねこは、もういつか、黒い長い
繻子
(
しゆす
)
の服を着て、
勿体
(
もつたい
)
らしく、どんぐりどもの前にすわつてゐました。まるで
奈良
(
なら
)
のだいぶつさまにさんけいするみんなの絵のやうだと一郎はおもひました。
どんぐりと山猫
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
繻子
(
しゆす
)
の帯風に吹かるゝ。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
妙に地味な
繻子
(
しゆす
)
の帶を狹く締めて、髮形もひどく世帶染みてますが、美しさは
反
(
かへ
)
つて
一入
(
ひとしほ
)
で、土産物の小風呂敷を、後ろの方へ愼ましく隱して、平次の前へ心持
俯向
(
うつむ
)
いた姿は、
傲慢
(
がうまん
)
で利かん氣で
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
重たき
繻子
(
しゆす
)
の
喪
(
も
)
の
掛布
(
かけふ
)
。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
“繻子(繻子織)”の解説
繻子織(しゅすおり、朱子織とも書く)は、経糸(たていと)・緯糸(よこいと)五本以上から構成される、織物組織(三原組織)の一つである。経・緯どちらかの糸の浮きが非常に少なく、経糸または緯糸のみが表に表れているように見える。密度が高く地は厚いが、斜文織よりも柔軟性に長け、光沢が強い。ただし、摩擦や引っかかりには弱い。
(出典:Wikipedia)
繻
漢検1級
部首:⽷
20画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“繻子”で始まる語句
繻子張
繻子入
繻子奴
繻子枕
繻子目
繻子紐
繻子襟
繻子鬢