トップ
>
絆
>
ほだ
ふりがな文庫
“
絆
(
ほだ
)” の例文
知らん間にそれに
絆
(
ほだ
)
されなさって、——それと一つには、綿貫みたいな誰にも相手にしられんような人間の慰め物にしられるのんと
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
僅
(
わず
)
かな言葉の響きや方式の新らしさに
絆
(
ほだ
)
されて、今頃ふたたび以前と同様な拘束の世界に戻って行こうとする者はよもやもう有るまい。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
誠意に
絆
(
ほだ
)
される時機が来るように思えたりもするのだったが、差向いでいると、どうにも好感がもてず、「こん畜生!」とつい思うのであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ほとんど
日傭取
(
ひようと
)
り同様の臨時雇いになり、市中の電気器具店廻りをしていたが、ふと蒔田が同郷の中学の先輩で、その上世話好きの男なのに
絆
(
ほだ
)
され
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
此間
(
このあひだ
)
ガウチエと云ふ人が新しく書いた「ル・ジヤポン」と云ふ
薄片
(
うすつぺら
)
な本を、アカデミイの一員ジヤン・エカアルの推称した序文に
絆
(
ほだ
)
されて読んで見たが
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
貴様にはこれ/\手当をして
遣
(
や
)
ろうという真実に
絆
(
ほだ
)
されて、表向ではないが、
内々
(
ない/\
)
大藏に身を任して居ります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まだ出発せざる以前より深くも嬢に心をよせ
己
(
おの
)
が胸中のありたけを打ち明けしも、嬢は二人の情に
絆
(
ほだ
)
されていずれとも答えかねしが、今二人のこの申込に対し
月世界競争探検
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
玲子は思いがけなく変った母親の、親切この上もない態度に
絆
(
ほだ
)
されたらしく、なおもシクシク泣き続けていたが、その
中
(
うち
)
にヤットの思いで立上った。涙を拭き拭き
継子
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いくら親切に
絆
(
ほだ
)
されても、今までは見向きもしなかつた侍従が、——と云つても相手はおれだからな。この位平中に思はれたとなれば、急に心も融けるかも知れない。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
叔父「本統に嬉しいよ、アノ『秘書官』の著者よなア」余「エヽエヽ松谷秀子ですか」叔父「爾よ、其の松谷秀子がよ、己の親切に
絆
(
ほだ
)
されて、到頭約束をして呉れた」
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
万に一つも聞いてもらはれたら、それから先は清さんの心次第、お前の親切に
絆
(
ほだ
)
されて一旦かうはなつたれど、それでは小花に義理が立たぬ、これきり思ひ切れとなら
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
縁といい約束といえば、いつも
絆
(
ほだ
)
されているように想像されるが、その中には自由はある。法悦さえ感ずることがある。そんな予感が文芸に絆された少年の心に
媚
(
こ
)
びる。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
こうなると細君も相談相手にならず親友も依頼するに足らなかったか、ついに義理に
絆
(
ほだ
)
されて南軍についた。その決心を
固
(
かた
)
くするまでの苦心はいかに
辛
(
つら
)
かったであろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そは輕々しく事を斷ずれば誤り
易
(
やす
)
く、情また
尋
(
つ
)
いで智を
絆
(
ほだ
)
すにいたればなり 一一八—一二〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
全然情に
絆
(
ほだ
)
されることなく使用人を使うし、算盤を弾くし、食えない生れつきは商売を始めた親父より強そうな嘉造を見ると、朝子はいつも一種の興味と反感とを同時に覚えた。
一本の花
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
取らしたとあっては……わたしは生きている瀬がない……あの時も早う死のうと思ったに、あなたのお言葉に
絆
(
ほだ
)
されて、生き残ったがわしゃ口惜しい! どうしよう、わしゃどうしよう?
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
毫
(
ごう
)
も慈母の
撫育
(
ぶいく
)
に
異
(
こと
)
なることなく、終日その
傍
(
かたわら
)
に
絆
(
ほだ
)
されて、更に他意とてはなき模様なりしにぞ、両親はかえって安心の
体
(
てい
)
にて
親
(
みずか
)
ら愛孫の世話をなしくるるようになり、またその愛孫の母なればとて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
うつかりと君が言葉に
絆
(
ほだ
)
されて………
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ほとんど
日傭
(
ひよう
)
取り同様の臨時雇いになり、市中の電気器具店廻りをしていたが、ふと蒔田が同郷の中学の先輩で、その上世話好きの男なのに
絆
(
ほだ
)
され
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ひどく身を入れてくれているのに
絆
(
ほだ
)
されて、結局そうも云い出しかねてしまったのであるが、今になれば矢張あの時
止
(
と
)
めなかったことが後悔せられた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
四幕目にキニゼイと云ふ妙な名の若侍が彌五郎の娘である
許嫁
(
いひなづけ
)
の愛情に
絆
(
ほだ
)
されて、
今宵
(
こよひ
)
に迫る
仇打
(
かたきうち
)
の
首途
(
かどで
)
に随分思ひ切つて非武人的に未練な所を見せる。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
それも彼の
放蕩癖
(
ほうとうへき
)
や打算のためとばかりは言えず、
枕籍
(
ちんせき
)
の度が重なるにつれて、つい
絆
(
ほだ
)
されやすい人情も出て来て、いつか持株の数が
殖
(
ふ
)
えて行くのであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
賦性豪邁なる柏軒は福山に奉職することを欲せず、兄も亦これを弟に強ふることを欲せなかつたのである。丙辰の
筮仕
(
ぜいし
)
は柏軒が
数多
(
すうた
)
の小事情に
絆
(
ほだ
)
されて、忍んで命を奉じたのであつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
口ほどにもなくあのお爺さんの情愛に
絆
(
ほだ
)
されて、此方のことなんぞ直きに忘れてしまうかも知れず、そのうちに子供でも出来るようになれば
尚更
(
なおさら
)
である
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ところが少将は義興公の情に
絆
(
ほだ
)
されて公の方へ心を寄せてしまった。月見の宴に事よせて討取るつもりの計画も少将がこれを諷して危険に近寄らせなかったので、佐京は怒って少将を殺した。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
僕に取つては観たくも無い
博物館
(
ミユウゼ
)
なんだが、見ず知らずの風来者に
伴
(
つ
)
れられて来て
其
(
その
)
厚意と𤍠心を目撃すると、つい其れに
絆
(
ほだ
)
されて、番人の妻が三度目に階上へ昇らうとする時は僕も進んで口を出し
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
優しい
肌合
(
はだあい
)
があるものだから、だんだんそれに
絆
(
ほだ
)
されて抜きさしがならないようになり、持って来た物までみんな
注
(
つ
)
ぎ込んで、裸にされて放り出されてしまったのだが
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だから庄造もついその声に
絆
(
ほだ
)
されて、細目に開けて覗いてみると、行李だの風呂敷包みだのいろ/\な荷物が積んである押入の、一番奥の突きあたりにある函の中から首を出して
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だから庄造もついその声に
絆
(
ほだ
)
されて、細目に開けて覗いてみると、
行李
(
こうり
)
だの風呂敷包みだのいろ/\な荷物が積んである押入の、一番奥の突きあたりにある函の中から首を出して
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だから庄造もついその声に
絆
(
ほだ
)
されて、細目に開けて
覗
(
のぞ
)
いてみると、行李だの風呂敷包みだのいろいろな荷物が積んである押入の、一番奥の突きあたりにある函の中から首を出して
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
破格の好意なのであって、それは一つには、妙子が全くの「
娘
(
とう
)
ちゃん」でありながらくろうとに交って精進する熱心さに
絆
(
ほだ
)
されたせいもあるが、一つには山村舞の
頽勢
(
たいせい
)
を
挽回
(
ばんかい
)
するには
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼女があのまやかし物の「父の形見」を見せられて一時は情に
絆
(
ほだ
)
されたとしても、遂に全く心を許して復讐の大事を彼に
委
(
ゆだ
)
ねるに至ったのには、尚相当の
径路
(
けいろ
)
があったことゝ想像される。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だん/\それに
絆
(
ほだ
)
されて抜きさしがならないやうになり、持つて来た物までみんな注ぎ込んで、裸にされて放り出されてしまつたのだが、彼女としてはそんなにまでして尽してやつたと云ふところに
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だん/\それに
絆
(
ほだ
)
されて抜きさしがならないやうになり、持つて来た物までみんな注ぎ込んで、裸にされて放り出されてしまつたのだが、彼女としてはそんなにまでして尽してやつたと云ふところに
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
絆
漢検1級
部首:⽷
11画
“絆”を含む語句
脚絆
覊絆
羈絆
絆纏
絆創膏
手甲脚絆
絆纒
印絆纒
草鞋脚絆
脚絆草鞋
巻脚絆
脚絆掛
長繻絆
絆纏着
縞脚絆
繻絆
印絆纏
脚絆穿
紺脚絆
襦絆
...