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素通
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すどほ
素通りもなるまいとてずつと
這入るに、
忽ち
廊下にばた/\といふ
足おと、
姉さんお
銚子と
聲をかければ、お
肴は
何をと
答ふ。
其以後、
誰も
手を
附けぬ。
漸く
余が
此前を
素通りする
位であつたが、四十
年五
月十二
日に、
余は、
織田、
高木、
松見三
子と
表面採集に
此邊へ
來た。
身體と
頭に
樂がないので、
何時でも
上の
空で
素通りをする
事になつてゐるから、
自分が
其賑やかな
町の
中に
活てゐると
云ふ
自覺は
近來頓と
起つた
事がない。
揃つて
浮足に
成つて、
瑪瑙の
八ツ
橋を
渡ると、
奧の
方に
又一堂。
其處へ
入ると
伽藍の
高天井。
素通りに
進んで、
前庭へ
拔けると、
再び
其處に
別亭あり。
噴水あり。
突當りは、
數寄を
凝して
瀧まで
懸る。
他の田舎の町を
素通りするのと、気持は大差はなかつた。
おい
木村さん
信さん
寄つてお
出よ、お
寄りといつたら
寄つても
宜いではないか、
又素通りで二
葉やへ
行く
氣だらう、
押かけて
行つて
引ずつて
來るからさう
思ひな