素通すどほ)” の例文
素通すどほりもなるまいとてずつと這入はいるに、たちま廊下らうかにばた/\といふあしおと、ねへさんお銚子てうしこゑをかければ、おさかななにをとこたふ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其以後そのいごたれけぬ。やうや此前このまへ素通すどほりするくらゐであつたが、四十ねんぐわつ十二にちに、は、織田おだ高木たかぎ松見まつみ表面採集へうめんさいしふ此邊このへんた。
身體からだあたまらくがないので、何時いつでもうはそら素通すどほりをすることになつてゐるから、自分じぶんそのにぎやかなまちなかいきてゐると自覺じかく近來きんらいとんおこつたことがない。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そろつて浮足うきあしつて、瑪瑙めなうはしわたると、おくはうまた一堂いちだう其處そこはひると伽藍がらん高天井たかてんじやう素通すどほりにすゝんで、前庭ぜんていけると、ふたゝ其處そこ別亭べつていあり。噴水ふんすゐあり。突當つきあたりは、數寄すきこらしてたきまでかゝる。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
他の田舎の町を素通すどほりするのと、気持は大差はなかつた。
町の踊り場 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
おい木村きむらさんしんさんつておいでよ、おりといつたらつてもいではないか、また素通すどほりで二やへだらう、おしかけてつてひきずつてるからさうおもひな
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)