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紊乱
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びんらん
ふりがな文庫
“
紊乱
(
びんらん
)” の例文
旧字:
紊亂
劇場がしばしば風紀の
紊乱
(
びんらん
)
と衣裳の華美なるにつきて禁制を
蒙
(
こうむ
)
りしもこの時代にして、江戸平民の文化は刻々円熟の期に達せんとせり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この男としてはどれほどまでにこの行為によって社会を
紊乱
(
びんらん
)
させ巨富を積みましても、刑事上の責任なぞは一切負う必要はないのでして
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
地方の政治は名状し難いまでに
紊乱
(
びんらん
)
してしまった!
悪辣
(
あくらつ
)
な国司どもは官権を
濫用
(
らんよう
)
して、不正を働き、私腹を
肥
(
こや
)
して、人民を
酷使
(
こくし
)
している。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「こら、」と彼は言った、「まだここに街灯をつけてるのか。規則違犯だぞ。秩序
紊乱
(
びんらん
)
だぞ。そんなものこわしてしまえ。」
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
... そして情欲の満足に対してはほとんどいかなる抑制もないから、その風俗の
紊乱
(
びんらん
)
は時に過度に達している4)(訳註)。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
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漢室の
紊乱
(
びんらん
)
はたちまち諸州の野望家のうかがい知るところとなり、争覇の分脈は、諸国の群雄と、複雑な糸をひいて、天下はたちまち大乱になろう
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それはほかでもない、おれたちの中佐が秩序
紊乱
(
びんらん
)
の嫌疑で当局の不興を買っているということなんだ。つまり、反対派の
陥穽
(
かんせい
)
にひっかかったんだよ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
その影響が社会の秩序を
紊乱
(
びんらん
)
し善良な風俗を壊乱するようなものであった場合に、その公開を禁止することである。
蝸牛の角
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
東京の上流社会の
紊乱
(
びんらん
)
は既に書いた。中流社会の堕落と認められている職業婦人の堕落も、以上述べる通りである。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
しかもその行使はほとんどが美への冒涜が多い。むしろ秩序
紊乱
(
びんらん
)
の罪悪がどれだけ芸術の正しい品位を破るか。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
加之
(
しかのみ
)
ならず、その頃の先妻は家政を料理する才が欠けていて、二人が二人とも
揃
(
そろ
)
って経済に無茶であったから、さらぬだに不足がちの家計が一層
紊乱
(
びんらん
)
して
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
大塩は政治の腐敗と、世道の
紊乱
(
びんらん
)
が、なんに由来するかを檄文で書いている。「——天子は足利家以来、別して御隠居御同様、賞罰の
柄
(
へい
)
を御失い候につき」
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
柿のやうに頭の
尖
(
と
)
がんだ掛員は私に
椅子
(
いす
)
をすゝめて置いて、質素な鉄縁眼鏡に英字新聞を
摺
(
す
)
りつけたまゝ、発禁の理由は風俗
紊乱
(
びんらん
)
のかどであることを告げて
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
彼等が看て以て一場の茶話となしたる者、実に国家元気衰頽の原因となり、社会秩序
紊乱
(
びんらん
)
の動機となる也。
文壇一夕話
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
いわゆる
我
(
われ
)
あるを知って
他
(
た
)
あるを忘れ、個人あるを知って国家を思わぬので、
彼我
(
ひが
)
の信用は地に
堕
(
お
)
ちて実業も振わない、社会の徳義は
紊乱
(
びんらん
)
する、風俗は
頽廃
(
たいはい
)
する
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
何となればその偏依あるいは自由を破滅し、あるいは秩序を
紊乱
(
びんらん
)
し、しかして国民的統一を失えばなり。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
巣林子戯曲ありてより、浮世を
難波
(
なには
)
の潟に、心中するものゝ数多くなり、西鶴一流の浮世好色小説の
流布
(
るふ
)
してより、社界の風儀は
大
(
おほい
)
に
紊乱
(
びんらん
)
せる事、識者の共に認むる所なり。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
紊乱
(
びんらん
)
せしめたものである。すべてこれらは死刑に該当するものであるからおまえを死刑に処す
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
しかしとにかく一身の
危
(
あやう
)
きを忘れて一国の
紊乱
(
びんらん
)
を正そうとした事の中には、智不智を超えた立派なものが在るのではなかろうか。空しく命を捐つなどと言い切れないものが。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その風紀を
紊乱
(
びんらん
)
した奴を、安閑としてそのままには置かれないのは当然です、拙者に於ても帰来早々、断然たる放逐処分を貴君に進言するつもりで意気込んで戻って来たのですが
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
費府
(
ひふ
)
は、
桑港
(
そうこう
)
に次で市政の
紊乱
(
びんらん
)
せる所であった、
何
(
な
)
ぜソウなったかというに、費府はクエーカー宗の人々の建てた市で、クエーカー宗では
己
(
おの
)
れを
正
(
ただしく
)
すということに重きを置くものだから
人格を認知せざる国民
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
一方より見れば今日女権の拡張は恰も社会の秩序を
紊乱
(
びんらん
)
するものにして
遽
(
にわか
)
に賛成するを得ずとて、躊躇する者もあらんかなれども、凡そ時弊を矯正するには社会に多少の波瀾なきを得ず。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
見よ彼らが家庭の
紊乱
(
びんらん
)
せる有様を、
数年間
(
すねんかん
)
苦節を守りし最愛の妻をして、
良人
(
りょうじん
)
の出獄、やれ嬉しやと思う間もなく、かえって入獄中の心配よりも一層の
苦悶
(
くもん
)
を覚えしめ、
淫酒
(
いんしゅ
)
に
耽
(
ふけ
)
り公徳を害して
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「よし、それが判ったら、用件に移るが、僕だちは、今も云ったように、国家のために社会の不義不正を摘発しているところで、不幸にして、ここな家庭が
紊乱
(
びんらん
)
しておるから、それを摘発に来たのだ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
一 法典ノ実施ヲ延期スルハ国家ノ秩序ヲ
紊乱
(
びんらん
)
スルモノナリ。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
また群盗の横行に徴してこれを秩序
紊乱
(
びんらん
)
の時代だとする。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
研究に
藉口
(
しゃこう
)
して、こういうものを販売して上流婦人を頽廃せしめ、道義人倫を
紊乱
(
びんらん
)
せしめている人間が、何らの刑法上の罪にも該当せぬということは
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
実際——江戸の夜の暗さのように、その頃の、風紀の
紊乱
(
びんらん
)
というものは、ちょっと、今日からでは、想像もし難い。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頻
(
しき
)
りに内政
紊乱
(
びんらん
)
を策しておると申す、心痛のあまり余は人を遣わして
精
(
くわ
)
しく内偵させ、その事実なることを慥かめてまいった、今日はこれよりその罪条を挙げ
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
現在の新聞紙上で、上流の家庭の
紊乱
(
びんらん
)
が如何に平凡な材料として取り扱われているかは、読者の熟知せらるるところであろう。思えば地震もいろんな揺れ方をしたものである。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
神聖なるべき憲兵が、予審廷にて聞けることを繰り返し語るは、風紀の重大なる
紊乱
(
びんらん
)
なり。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
半裸体
(
はんらたい
)
の女が幾人となくごろごろ
寐転
(
ねころ
)
がっている部屋へ、無断で
闖入
(
ちんにゅう
)
しても、風紀を
紊乱
(
びんらん
)
することの出来るような体力は既に
持合
(
もちあわ
)
していないものと、
見做
(
みな
)
されていたと言ったなら
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
内を司どる婦人が暗愚無智なれば家は常に
紊乱
(
びんらん
)
して家を成さず、幸に其主人が之を
弥縫
(
びほう
)
して大破裂に及ばざることあるも、主人早世などの大不幸に遭うときは、子女の不取締、財産の不始末
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それこそ世間は真偽いかんも確かめぬうちに、バルセローナ銀行頭取の邸を、百鬼夜行の
紊乱
(
びんらん
)
し切った家庭として、全
西班牙
(
エスパニヤ
)
中に喧伝してしまうであろう。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ああマリユス! けしからん奴だ。大道でどなり立て、議論し、討論し、手段を講ずる! 奴らはそれを手段という。ああ、同じ
紊乱
(
びんらん
)
でも今は小さくなって
雛児
(
ひよっこ
)
になってしまってる。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
だが、中央の
紊乱
(
びんらん
)
はもとよりのこと、地方の民治は、支離滅裂な時代ではあった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
うちあけて申しますが藩政は
紊乱
(
びんらん
)
し弛廃し、悪徳と不正で充満しています、貴方はおそらく、……典木さんが赴任して来られたのも、おそらくその点に秘密の使命があるのだと思いますが
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
藤原全盛ってやつが、そもそも、天下を
紊乱
(
びんらん
)
し始めた原因だ。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“紊乱”の意味
《名詞》
紊 乱(びんらん、ぶんらん)
乱すこと。また、乱れること。
(出典:Wiktionary)
紊
漢検1級
部首:⽷
10画
乱
常用漢字
小6
部首:⼄
7画
“紊”で始まる語句
紊
紊亂
紊政