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立退
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たちのき
ふりがな文庫
“
立退
(
たちのき
)” の例文
板前の家はもと下谷の入谷であったので、その方面へ行った時わざわざ区役所へ立寄って
立退
(
たちのき
)
先をきいて見たが
能
(
よ
)
くわからなかった。
羊羹
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
勿論
(
もちろん
)
、これまでにも警官から度々
立退
(
たちのき
)
を命ぜられたが、今日
逐
(
お
)
われても明日は又戻って来るという風で、殆ど手の着け
様
(
よう
)
がない。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかも、そんな筒井の考えにはこの家を売るのに都合のよい
立退
(
たちのき
)
の仕儀にもなり、道中衣裳の費用にも役立つのであった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
渋江氏の一行では中条が他郷のものとして
目指
(
めざ
)
された。中条は
常陸
(
ひたち
)
生だといって申し
解
(
と
)
いたが、役人は
生国
(
しょうこく
)
不明と認めて、それに
立退
(
たちのき
)
を
諭
(
さと
)
した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
煩
(
わづら
)
はぬ先に
不義
(
ふぎ
)
不孝
(
ふかう
)
の
天罰
(
てんばつ
)
ならんか此所まで來る道すがら種々の
艱難
(
かんなん
)
に
逢
(
あひ
)
路
(
ろ
)
用の金をさへ失ひし
其概略
(
そのあらまし
)
を語らんに兩人が
岡山
(
をかやま
)
を
立退
(
たちのき
)
しより
陸路
(
くがぢ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
ところがこの
立退
(
たちのき
)
が何となく
嬉
(
うれ
)
しかった。その
後
(
のち
)
いろいろ経験をして見たが、こんな矛盾は
到
(
いた
)
る所に
転
(
ころ
)
がっている。けっして自分ばかりじゃあるまいと思う。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
家主が無理に
立退
(
たちのき
)
を迫るとか、
煩
(
うるさ
)
いことの多い中に、最早家の
周囲
(
まわり
)
には草の芽を見るように成った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こは
何事
(
なにごと
)
やらんと
胷
(
むね
)
もをどりて
臥
(
ふし
)
たる
一間
(
ひとま
)
をはせいでければ、
家
(
いへ
)
の
主
(
あるじ
)
両手
(
りやうて
)
に
物
(
もの
)
を
提
(
さげ
)
、水あがり也とく/\
裏
(
うら
)
の
掘揚
(
ほりあげ
)
へ
立退
(
たちのき
)
給へ、といひすてゝ持たる物を二階へ
運
(
はこ
)
びゆく。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
貴方もこういう処はお
立退
(
たちのき
)
になって、それへ合体が
宜
(
よろ
)
しゅうござりましょう。ちょうどこの国へ参りがけに加州を通りまして、あすこであの白魚の姉御にも逢いました。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
地所払下
三田
(
みた
)
の屋敷は福澤諭吉の拝借地になって、地租もなければ借地料もなし
恰
(
あたか
)
も私有地のようではあるが、何分にも拝借と
云
(
い
)
えば
何時
(
いつ
)
立退
(
たちのき
)
を命じられるかも知れず
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
近頃電話を借りに行くこともなくなった大家の店には、酒の
空瓶
(
あきびん
)
にもう八重桜が
生
(
い
)
かっているような時候であった。そこの帳場に坐っている主人から、お島たちは、二度も三度も
立退
(
たちのき
)
の請求を受けた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
大先生がお
立退
(
たちのき
)
に
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
其方儀
(
そのはうぎ
)
石川安五郎小松屋
遊女
(
いうぢよ
)
白妙
(
しろたへ
)
同道にて
立退
(
たちのき
)
候節私しの
趣意
(
しゆい
)
を以て
追掛
(
おひかけ
)
彌勒
(
みろく
)
町番人重五郎と申者
支
(
さゝ
)
へ候を
切害
(
せつがい
)
に及び候段
不埓
(
ふらち
)
至極
(
しごく
)
に付死罪申付る
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
能
(
よ
)
く/\原因を聞いて見ると、
今
(
いま
)
の
持主
(
もちぬし
)
が高利貸で、
家賃
(
やちん
)
を
無暗
(
むやみ
)
に
上
(
あ
)
げるのが、
業腹
(
ごうはら
)
だと云ふので、与次郎が
此方
(
こつち
)
から
立退
(
たちのき
)
を宣告したのださうだ。それでは与次郎に責任がある訳だ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
出るには足がかりもなく、釜は熱く成
旁
(
かた/″\
)
にて死に候事と相見え申候、母と嫁と小兒と丁穉一人つれ、貧道弟子
杵屋
(
きねや
)
佐吉が裏に親類御坐候而
夫
(
それ
)
へ
立退
(
たちのき
)
候故助り申候、一つの釜へ父子と丁穉一人
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
今宵
(
こよひ
)
子刻頃
(
こゝのつどきごろ
)
廓
(
くるわ
)
を
立退
(
たちのき
)
候
積
(
つも
)
り
委細
(
ゐさい
)
は大門番重五郎が
情
(
なさけ
)
にてお前樣は柴屋町へ先へ御出なされお
待合
(
まちあ
)
はせ下さるべし何事も御げんもじの節と申
殘
(
のこ
)
し參らせ候かしく
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
“立退(
欠落
)”の解説
欠落(かけおち・闕落)とは、戦乱・重税・犯罪などを理由に領民が無断で住所から姿を消して行方不明の状態になること。江戸時代には走り(はしり)などとも称された。武士の場合には出奔(しゅっぽん)・立退(たちのき)などと呼んで区別したが、内容的には全く同一である。
(出典:Wikipedia)
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
退
常用漢字
小6
部首:⾡
9画
“立退”で始まる語句
立退場
立退所
立退中
立退先
立退度
立退梱
立退路