立交たちまじ)” の例文
下界げかいものとしてはあま靈妙いみじい! あゝ、あのひめ女共をんなども立交たちまじらうてゐるのは、ゆきはづかしい白鳩しらはとからすむれりたやう。
かならつてるが何処どこらずで場所ばしよかぎらない、すべて五十人以上いじやうひと集会しふくわいしたなかにはかならずこの紳士しんし立交たちまじつてないといふことはなかつた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
世間に立交たちまじわって人とつき合うときの心得を説いたものが案外に多い。これも現代にそのまま適用するものが多い。
徒然草の鑑賞 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
引しぼる程苦勞くらう彌増いやまし今迄兄の長庵へ娘二人にあはしてとせまりて居たる折柄をりからなれば此酒盛に立交たちまじりて居るも物うく思ふ物から其場を外して二階に上れば折こそよしと長庵は二人が耳に口を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「聖典講座」「日曜講演」の掲示に立交たちまじる「子供洋服講習会」の立札を見出したとき、わたしの感懐に背いて、いよいよ「時代」の汐さきに乗ろうとする古い町々をはっきりわたしは感じた。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
この外種々さまざま色々の絢爛きらびやかなる中に立交たちまじらひては、宮のよそほひわづかに暁の星の光を保つに過ぎざれども、彼の色の白さは如何いかなるうつくし染色そめいろをも奪ひて、彼の整へるおもては如何なるうるはしき織物よりも文章あやありて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
銀之丞、千六の姿も、むろんその中に立交たちまじっていた。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
揚幕より推出おしいだされて、多勢の見物の見る目恥かしく、しのぶ、小稲とともに狂言のなかに立交たちまじりて、舞台に鞠唄まりうたうたいし声の、あやしく震いたるも多日しばしがほどぞ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たとへば、緩漫なまのろふゆしりへにはなやかなはるめがるのをて、血氣壯けっきさかんわか手合てあひかんずるやうなたのしさ、愉快こゝろよさを、つぼみはな少女をとめらと立交たちまじらうて、今宵こよひ我家わがやりゃうせられませうず。
頼みに貯へはなけれども不自由なくくらし居ればせめては少の手助てだすけでもして亭主の恩に報はんとお花が心付にて下婢の中に立交たちまじり賤き身と成下なりさがりし事是ひとへに天のにくしみ給ふ處と今更思ひ當りしと有し樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すべて五十人以上の人が集会したなかには必ずこの紳士の立交たちまじっていないということはなかった。
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かけ夫が爲勘兵衞事番所へ出たる故舊惡きうあく露顯ろけんして御仕置と相成事畢竟ひつきやう彌七より事おこりたれば同人儀は召捕めしとり次第仕置にも行ふ者なる故其方共へとがめ申付るに及ばず偖々さて/\女には珍敷者めづらしきものなりと大いに賞美しやうび致されける是より後お貞は女伊達をんなだてとなり大の男の中へ立交たちまじりて口を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)