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瞳孔
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どうこう
ふりがな文庫
“
瞳孔
(
どうこう
)” の例文
「頭目、よく見てごらんなさい。ほんものの眼だということは、目玉をよく見れば分りますよ。
瞳孔
(
どうこう
)
も動くし、
血管
(
けっかん
)
も走っている」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
見たばかりで、その病人がもう死にかかっていることはわかった。だが登は規則どおりに脈をさぐり、呼吸を聞き、
瞼
(
まぶた
)
をあげて
瞳孔
(
どうこう
)
をみた。
赤ひげ診療譚:02 駈込み訴え
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
夢中に行く人の如く、身を向けて戸口の
方
(
かた
)
に三歩ばかり近寄る。眼は戸の真中を見ているが
瞳孔
(
どうこう
)
に写って脳裏に印する影は戸ではあるまい。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
誤魔化
(
ごまか
)
すためだと思ったよ。
瞳孔
(
どうこう
)
が散っているし、絞め殺したにしては上気していないし、舌の色が変っているし、毒害は間違いないと思った
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕が、認識のメスを、自らの肉身に刺して血を流す時、僕の自意識の
瞳孔
(
どうこう
)
は、詩人であった時よりも、ずっと豊かな風景の展望を
肆
(
ほしいまま
)
にするのだ。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
▼ もっと見る
「懐中電燈を貸して下さい」と云って、
瞳孔
(
どうこう
)
を照らして対光反射の検査をし、「何か
箸
(
はし
)
の棒のようなものはありませんか」
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ほとんど厳粛といってよいくらいに凝結した顔に、
瞳孔
(
どうこう
)
が開いてしまったような両眼が、闇に消え去った佐山の姿の方に
釘
(
くぎ
)
づけになっている。……間
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
夫人はもしかすると、自分の神経に異状があり、狂気しているのではないかと思った。彼女は鏡の前に立って、
瞳孔
(
どうこう
)
が開いているかどうかを見ようとした。
ウォーソン夫人の黒猫
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
魂が不幸のうちに拡大してついにそこに神を見いだすに至ると同じように、
瞳孔
(
どうこう
)
は暗夜のうちに拡大してついにはそこに明るみを見いだすに至るものである。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
冷たい
瞳孔
(
どうこう
)
のぼやけた視線で、じっと妻の横顔を眺めている。たまらなそうに意味のない吐息を
洩
(
も
)
らす。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
目のまわりに薄黒い
暈
(
かさ
)
のできたその顔は鈍い鉛色をして、
瞳孔
(
どうこう
)
は光に対して調節の力を失っていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼は、父の疲れた顔のなかで、
瞳孔
(
どうこう
)
が大きくみひらかれ目尻から自分に向けられているのを見た。
判決
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
たとえば大写しのヒロインの目の
瞳孔
(
どうこう
)
の深い深い奥底からヒロイン自身が風船のように浮かび上がって出て来たり、踊り子の集団のまん中から一人ずつ空中に抜け出しては
映画雑感(Ⅳ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
だが、心はまだしきりに今朝ジョホール河の枝川の一つで、銃声に驚いて見張った私達の
瞳孔
(
どうこう
)
に映った原始林の
厳
(
おごそ
)
かさと純粋さを
想
(
おも
)
い起していた。それはひどく心を直接に
衝
(
う
)
った。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
瞳孔
(
どうこう
)
もかなり大きく開いてゐるのですが、それの向いてゐる先は天井ともつかず壁ともつかず、かといつて真ん前からさし
覗
(
のぞ
)
いてゐる保姆さんの顔でも千恵の顔でも
勿論
(
もちろん
)
ありません。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
だから
紅鱗
(
こうりん
)
瞳
(
ひとみ
)
と
競
(
きそ
)
い、
瞳孔
(
どうこう
)
人
(
ひと
)
これを見ずという悲しい詩があるくらいだわ、おじさま、そんなに尾っぽをいじくっちゃだめ、いたいわよ、尾っぽはね、根元のほうから先の方に向けて
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
キョロリとした大きい眼の
瞳孔
(
どうこう
)
が明けっぱなしになってしまっているのを見るにつけ、このお子さんは人並のお子さんではないということを思うて、お君はお気の毒の感に堪えられません。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
どこがどうというわけではないが、何だか、前の周さんと違っているのだ。よそよそしいという程でもないが、
瞳孔
(
どうこう
)
が小さくするどくなった感じで、笑っても頬にひやりとする影があった。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
まるで
蛇
(
へび
)
の眼の
瞳孔
(
どうこう
)
の様に、生々しく私の記憶に
焼
(
やき
)
ついている。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
つい先に
瞳孔
(
どうこう
)
をちらつかせたのは道誉の方であった。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平さんの顔は硬く、無表情で、
瞳孔
(
どうこう
)
の散大したような眼は、なにを見るともなく、前方にひろがる暗い空間を見まもっていた。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
誤魔化
(
ごまか
)
すためだと思つたよ。
瞳孔
(
どうこう
)
が散つてゐるし、絞め殺したにしては上氣してゐないし、舌の色が變つて居るし、毒害は間違ひないと思つた
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
両眼はつるし上って、気味のわるい白眼を
剥
(
む
)
いていました。多分
瞳孔
(
どうこう
)
も開いていたことだったでしょう。体温はすこし下って来たような気がします。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そんな時に限って、彼女の意識は何時でも
朦朧
(
もうろう
)
として夢よりも分別がなかった。
瞳孔
(
どうこう
)
が大きく開いていた。外界はただ
幻影
(
まぼろし
)
のように映るらしかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いずれにせよ、彼女の円い、灰色の、まるっきりまばたきしない、むしろ
瞳孔
(
どうこう
)
のなかが廻っているように見える両眼は、そのような問いかけには何の返答も与えないのだ。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
お このおびただしい
瞳孔
(
どうこう
)
青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「やって来た若い軍医は脈をみ、心臓へ聴診器を当て、
瞳孔
(
どうこう
)
を見ただ、それから椅子に腰を掛けて、患者がまちげえなく死ぬのを待ってたっけだ」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
思わざる
辺
(
へん
)
にこの不思議な大発見をなした時の主人の眼は
眩
(
まば
)
ゆい中に充分の驚きを示して、烈しい光線で
瞳孔
(
どうこう
)
の開くのも構わず一心不乱に見つめている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
兄は
依然
(
いぜん
)
として、長々と寝ていました。医者は
一寸
(
ちょっと
)
暗い顔をしましたが、兄の胸を開いて、
聴診器
(
ちょうしんき
)
をあてました。それから
瞼
(
まぶた
)
をひっくりかえしたり、懐中電灯で
瞳孔
(
どうこう
)
を照らしていましたが
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「やって来た若い軍医は脈をみ、心臓へ聴診器を当て、
瞳孔
(
どうこう
)
を見ただ、それから
椅子
(
いす
)
に腰を掛けて、患者がまちげえなく死ぬのを待ってたっけだ」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鏡を出して
瞳孔
(
どうこう
)
を眺めていた医者は、この時宵子の
裾
(
すそ
)
を
捲
(
まく
)
って
肛門
(
こうもん
)
を見た。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
五月躑躅
(
さつき
)
の葉蔭に、学生服の少年が
咽喉
(
のど
)
から
胸許
(
むなもと
)
にかけ
真紅
(
まっか
)
な血を浴びて
仰向
(
おあむ
)
けに
仆
(
たお
)
れていた。青年は芝草の上に膝を折って、少年の脈搏を調べ、
瞼
(
まぶた
)
を開いて
瞳孔
(
どうこう
)
を見たが、もう全く事切れていた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼女の眼はうつろだった、空虚な、
瞳孔
(
どうこう
)
のひらいた眼で、そこにいる誰かを求めでもするように、空を見た。
鵜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すぐに
眼瞼
(
まぶた
)
をひらいて見たが、
瞳孔
(
どうこう
)
はもう力なく開き切っていた。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
くる眼は「狂い眼」の意味らしい、すなわち両眼の
瞳孔
(
どうこう
)
のある部分が、おのおの勝手な方向へ動きだし、それが長く続くと、ついには、眼球が裏返しになるというのである。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
これまでのものと同じ程度のようで、まず左右の
瞳孔
(
どうこう
)
が各自の方向へゆっくりと動き出した。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
文代は涙をこぼしながら、その濡れた頬を姉の手にすりつけ、まるで笑うような声で、肩を震わせて
噎
(
むせ
)
びあげた。……信乃は
瞳孔
(
どうこう
)
のひらいたような眼で、じっと空を見あげていた。
めおと蝶
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
裸の妻は
担
(
はこ
)
び出される良人の血だらけの頭を、双つの乳房のあいだに強くひき緊めながらぞっとするような声で泣き喚いた。草の上へ寝かされた茂吉は知覚を失った大きな
瞳孔
(
どうこう
)
を瞠いたまま
蛮人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼の顔は恐怖のため仮面のようになり、両眼は
瞳孔
(
どうこう
)
がひらいているようであった。西沢の口があいて、歯が見えた。白くなった舌が、力なく唇を舐め、ついで、ひしゃげたような声が聞えた。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そうかと思うと等間隔のまま左へ大きく移動し、安ガラスをとおして見るように
歪
(
ゆが
)
み、こちらの
瞳孔
(
どうこう
)
が
震顫
(
しんせん
)
するように、不安定に揺れながら、また左右へひろがって、二十以上にも数が殖えた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そうかと思うと等間隔のまま左へ大きく移動し、安ガラスをとおして見るように
歪
(
ゆが
)
み、こちらの
瞳孔
(
どうこう
)
が
震顫
(
しんせん
)
するように、不安定に揺れながら、また左右へひろがって、二十以上にも数が殖えた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すると左右の眼の
瞳孔
(
どうこう
)
がまん中へ寄り、そこで止った。
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“瞳孔”の意味
《名詞》
眼球の虹彩の中央にある、光が入ってくる円型の小さい穴。
(出典:Wiktionary)
“瞳孔”の解説
瞳孔(どうこう)または瞳(ひとみ)は、眼の虹彩によって囲まれた孔である。瞳孔は光量に応じて、その径を変化させる。瞳孔径の変化は、網膜に投射する光量の調整に寄与する。
(出典:Wikipedia)
瞳
常用漢字
中学
部首:⽬
17画
孔
常用漢字
中学
部首:⼦
4画
“瞳”で始まる語句
瞳
瞳子
瞳光
瞳裏
瞳々
瞳付
瞳穴
瞳色
瞳黒